2009年03月19日
コンテンツ番号7039
竜森小で閉校式 4月から鷹巣南小と統合
市の学校再編に伴い4月から鷹巣南小学校に統合される竜森小学校(明石勝美校長、児童数12人)の閉校式が3月21日(土)、同校で行われ、131年の歴史に幕を閉じました。
同校は明治11年8月、七日市小学校小猿部分教室として与助岱に設立。同25年に竜森尋常小学校と改称、昭和に入り国民学校時代を経て22年に現在の校名になりました。45年には葛黒小学校と統合し、47年、旧竜森中学校跡地に新築された現校舎に移転。昨年9月には創立130周年記念式典が行われました。
昭和30年代には200人を超えていた児童数も過疎化や少子化の影響で年々減少し昭和56年からは複式学級でのクラス編成を余儀なくされています。これまで送り出した卒業生は国民学校時代を含め1941人。
周囲を広大な山林に囲まれ林業が盛んだった土地柄から学校林を持ち、昭和20年代から行っている地域ぐるみの学校植林活動は学校の伝統となっています。昭和30年代には文部大臣賞や農林大臣賞、平成5年には全国緑化推進学校林活動の部で内閣総理大臣賞を受賞しています。また、交通安全子ども自転車大会では全県13連覇を重ねるなど小規模校としてのユニークな活動でも知られています。
式典には、卒業生や地域住民を含め約220人が出席。はじめに岸部市長が、「竜森小学校は在校生、卒業生、そして地域の人たち皆の拠り所であった。この歴史ある学校との別れはたいへん寂しい。しかし、これまで積み重ねられてきた子どもたちと先生たちとの心の通った学びの日々、それを支えてくれた家族、地域の皆さんの心遣いなど、温かさに満ちた精神は、これからも永遠に引き継がれていくものと確信している」、と式辞を述べました。
同校の卒業生でもある明石校長は、「子どもたちと一緒に母校の閉校式に立ち会えたことに心から感謝したい」と心境を語り、これまで積み重ねられた育林活動や自転車競技大会、郷土芸能伝承活動など同校の伝統となってきた学校活動の成果を一つずつ紹介。
その上で、「教育関係者をはじめ地域の方々の熱い情熱が『小さな大学校』に導いてくれた。設立当時の目的は果たされ、鷹巣南小学校に引き継がれる。学校はなくなるが、ますます地域の絆が深まることを願う」と語り掛けました。
堀部雅彦PTA会長、伊勢善和北教育事務所長、吉岡興議長のあいさつのあと、昭和42年にPTA会長就任以来、同校の教育振興に尽力された清水修智さんに感謝状が贈られました。
このあと、17日に卒業した6年生をふくめた12人の児童全員がステージに上がり、「児童呼びかけ」で、学校の歴史や活動の一端を紹介。昨年6月行われた第59回全国植樹祭で、天皇皇后両陛下の介添え役という大役を果たしたことなどこれまでの足跡を振り返り、「竜の子はいつも輝いてきた。小さな学校でも努力すればできる。竜森魂を忘れず一生懸命頑張る。ありがとう竜森小」と呼びかけました。
式典の最後に、明石校長が岸部市長に校旗を返納、主席者全員で校歌を斉唱し131年の歴史に幕を下ろしました。(最後の校歌斉唱)
式典終了後、全員が校庭に移動し記念碑を除幕。記念碑には表に同校の校歌の歌詞と楽譜、裏面には沿革が刻まれています。
閉校式のあと、思い出を語る会が開かれ、参加者が惜別の思いを胸にそれぞれの思い出を語り合いました。来賓あいさつのうち、昭和60年から62年まで3年間校長を務めた田村昭子さんは、「へき地校の『へき』は中心からはずれている、という意味だが、当時の児童たちもみな明るく素直な子たちばかりで竜森小の『へき』は明るい青色を表す紺碧(こんぺき)の『碧』のイメージだった。また、育林活動では、保護者の家庭ばかりでなく学区内の全戸がPTAとして手伝ってくれた。地域ぐるみで学校を支える竜森小の伝統が幾世代にもわたって引き継がれ来たように思う」と、振り返っていました。
学校は、体育館を残し解体されることになっています。記念碑を設置した校庭は、ミニ公園として整備することが検討されています。
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(2009.3.21)