2008年07月05日
コンテンツ番号2349
竜森小の歩みと思い出を語る
(2008.7.5)
鷹巣地方史研究会(岩谷利男会長)主催第1回「ふるさとの歴史教室」が7月5日(土)、市中央公民館で開かれ、会員ら約40人の参加者が今年度で閉校となる竜森小学校の歴史について研さんを深めました。
同研究会では、事業として会員らの寄稿による機関紙「鷹巣地方史」の発行や史跡などの見学・研修に加え、一般の方も気軽に地域の歴史を知る機会にと、毎回テーマを変えながら歴史教室を開催しています。
今回の講師は、前北秋田市議会議長で元竜森小学校PTA会長の清水修智さん(73)。「竜森小学校の諸活動と学校林の思い出について」と題し、創立以来の同小の歩みや学校の伝統である学校林の植林活動、子ども自転車大会での活躍などについて思い出を語りました。
竜森小は明治11年、七日市小学校竜森分校として与助岱に設立されました。同25年には竜森尋常小学校として独立校になり、40年には鳥越(三の渡)に移転しました。昭和に入り戦中の国民小学校時代を経て戦後の昭和22年には七日市村立竜森小学校と改称、31年には町村合併により鷹巣町立小学校となりました。

講師を務めた清水修智さん
昭和45年には葛黒小学校と統合、47年に現在地に移転し平成時代を迎えました。この間、ピーク時の昭和32年には193人だった児童数も少子化の影響で47年には127人、62年には31人と減少し、この頃から複式学級を余儀なくされることになりました。
新市誕生後、小学校の再編統合計画がスタートし、現在児童数12人の竜森小は適正規模の維持などを目的に今年度で閉校し鷹巣南小学校と統合することになっています。
同小の伝統は昭和29年頃から半世紀以上続く学校林での植林・育林活動。周囲を広大な国有林に囲まれ林業が盛んだった土地柄を生かして行われているもので、特に昭和34年から5年連続で全県学校植林コンクールで一位に入賞したほか、38年には全国植林コンクールで特選(全国一校)となり、文部大臣賞や農林大臣賞を受賞しています。その後も平成5年には内閣総理大臣賞を受賞するなど毎年のように秋田県や全国の学校林活動コンクール、緑化コンクールなどで入賞しています。
清水さんは、こうした学校と諸活動の歩みを振り返りながら、「竜森小のPTAは学区内の全戸で構成されている。会長は昔から保護者ではなく地域の代表が就任した。電話設置の陳情や施設や備品の設置などの環境整備も地域ぐるみで協力して行っていた」と、学校が地域とともにあったことを紹介。「昭和38年に植林コンクールで全国特選となったときは、林野庁での授賞式出席のために地区の各家々が旅費を出し合って児童代表や引率者らを送り込んだ。帰ってからは同様に鶏を供出し合って盛大に祝賀会を開いたもの」と当時を思い起こしていました。
また、「43年には視聴覚教育を充実させようと教育委員会には知らせずにPTAでテレビとラジオを6台づつ入れたが、教育委員会から『電気工事の予算がない』と言われて工事も自前で頼んだものだった」と話していました。
同小のもう一つの伝統は昭和57年から始めた交通安全子ども自転車大会への参加。地区大会では昭和58年から26連勝、県大会では平成8年から13連勝し、東京での全国大会にも14回参加しています。
「今でこそ全県大会では『今年もまた竜森小が優勝です』とアナウンスされるが、連覇以前は自転車などすべて自前だった大正寺小学校などになかなか勝てなかった。初優勝したときはこのときも地域全体で喜びあったもの」と、懐かしそうに振り返っていました。
講演後、聴講者からの「来年はいよいよ統合となるが、学校林活動などはどうなるのか」との質問に清水さんは、「“竜森”の名称はなくなるが、100年以上続いた竜森小の伝統は南小となっても引き継いでほしい。それが地域の願い」と話していました。