2008年06月15日
コンテンツ番号2020
第59回全国植樹祭、北欧の杜公園を会場に盛大に開催
(2008.6.15)
手を振って歓迎に応えられる天皇皇后両陛下
ブナ、トチ、秋田スギの3本をお手植えされた天皇陛下
「手をつなごう 森と水とわたしたち」をテーマとした第59回全国植樹祭が6月15日(日)、天皇皇后両陛下御臨席のもと県立北欧の杜公園で開催されました。
全国植樹祭は、豊かな国土の基盤である森林・緑に対する国民的理解を深めるため、(社)国土緑化推進機構と都道府県が共催で開催する国民的イベント。国土緑化運動の中心的な全国行事として毎年春季に開催されています。
秋田県での開催は昭和43年に旧田沢湖町(現仙北市)で開かれて以来2回目。地球温暖化が世界的な問題となる中、全国からの招待者らが、大切な森を未来へつなげる願いを込めて24種約1万2千本の苗木を植えました。
植樹祭の参加者は招待者、出演者、運営にあたる実施本部員を含め約1万2千人。このうち、全国からの招待者は北秋田市民をはじめ約7700人。バスで訪れた招待者は、午前7時過ぎから会場内に設けられた植樹会場で、ブナやミズナラ、ミズキやヤマモミジなどの広葉樹を植樹しました。
招待者は植樹のあと、県と市職員の案内で式典会場に入場、イベント広場では綴子獅子踊り、竿燈、なまはげ太鼓などの郷土芸能が伝統の妙技で入場者を歓迎しました。
記念式典は午前11時、天皇皇后両陛下をお迎えした後、市内4高校をはじめ県内6つの高校で編成する吹奏楽隊によるファンファーレで開幕。市内の中学生による合唱隊が君が代を斉唱し、国旗、県旗、大会旗の三旗が掲揚されました。
大会会長の河野洋平衆議院議長、寺田県知事あいさつの後、天皇陛下が前日に起きた岩手・宮城内陸地震に触れられ「遺族や災害を受けた人々の悲しみや苦しみに深く思いをいたしております。一刻も早く人々の生活の平安が取り戻されることを願っています」と被災者を気遣われるとともに、「このたびの全国植樹祭を契機として、更に多くの人々の間に森づくりに参加していく機運が高まることを願います」とお言葉を述べました。(あいさつ全文→大会会長、県知事、天皇陛下のおことば)
全国の緑化功労者などの表彰の後、両陛下によるお手植え・お手播きが行われ、お手植えでは「森」の字をかたどり、天皇陛下がブナ、トチ、秋田スギの3本を、皇后陛下はカツラ、ミズキ、ヤマモミジ3本の苗を植樹、お手播きではこれらの樹種の種を播かれました。お手播きされた種子は、県の森林技術センターが育成管理して苗木に育てた後、県内の公共施設等に「記念樹」として配布されることになっています。
お手植え、お手播き行事では、介添え役の緑の少年団の小学生がしっかりと役目を務めるとともに、両陛下から「緑の少年団は楽しいですか」などとのお声がけにも「はい、楽しいです」と、はきはきと返事をしていました。
代表者記念植樹、三世代記念植樹のあと行われた「秋田の森、川、海〜豊かなめぐみの循環〜」をテーマとしたアトラクションでは、バレエスクールの踊り手、市内の小学生、前山郷土芸能保存会、市商工会の有志らが秋田の豊かな森から湧き出る水が川となって海に達し、雨となって再び森に戻るという自然の循環をダイナミックな演技で表現しました。
式典終盤では、旧千畑町(現美郷町)出身で元東京大学総長の佐々木毅・国土緑化推進機構理事長が大会宣言を読み上げました(→大会宣言全文)。続いて、寺田知事が、次期会場地となる福井県の西川一誠知事に緑の地球を表した植樹祭のシンボルを手渡しました。
式典終了後のエピローグでも、綴子大太鼓など市内の郷土芸能が会場を盛り上げるとともに、イベント広場に出店した物産業者らは、自慢の特産品などを来場者に盛んにPRしていました。また、午後からは県内からの参加者を中心に植樹が行われるなど、この日一日をかけて行われた大イベントを通し、「県民総参加の森づくり」を全国に発信しました。
なお、記念式典に先立ち開かれたプロローグの「環境デザイントーク」では、作家で前公立秋田美術工芸短期大学長の石川好(よしみ)さんと建築家の安藤忠雄さんが秋田の自然と建築の関わりなどをテーマに対談、安藤さんは「鉄やコンクリートなど建築用の資源がなくなると、木材が大きな資源になる。そうなると秋田杉を世界に流通させることも期待される」「植樹祭の意義は、実際に木を植えるとともに、参加した皆さんが心の中に森を作ることかもしれない」などと語っていました。(→トークの概要はこちら)
また、旧西木村(現仙北市)出身の西木正明さん、秋田市出身で脚本家・作家の内館牧子さん、旧比内町(現大館市)出身で元国連事務次長の明石康さんらが参加した「水と緑のリレーメッセージ」では、それぞれ、豊かな秋田の自然が個性的な秋田の人や文化を育てる源となっていることを紹介。このうち明石さんは、「県内でも地域によって異なることばのなまりなど秋田の多様な文化を大事にしてほしい。その多様性をプライドに世界に羽ばたいてほしい」と、若い世代に向けてメッセージを送っていました。(→リレーメッセージの概要はこちら)
県内の市町村から一組ずつ参加する三世代記念植樹では、北秋田市からは米内沢字中道岱の高橋直美さん(69)一家が選ばれました。高橋さんは、妻のテル子さん、娘夫婦の吉田等さん(42)・由美子さん夫妻、孫の利菜さん(13)、翼くん(9)の6人で参加。「天皇皇后両陛下の前で植樹できたことは一生の思い出。植えた苗は記念として大きく育ってほしい。家族が全員元気で暮らせるように願っている」と話していました。
また孫の利菜さん(森吉中学校1年)は、「木が大きくなるのが楽しみ。植樹祭をきっかけに緑がふえてほしい」と話し、未来につながる自然豊かな北秋田市を思い描いていました。
このほか、式典への出演者、招待者など植樹祭に参加された皆さんに参加にあたっての感想を聞きましたので、こちらで紹介いたします。