2010年02月03日
コンテンツ番号7697
症状の改善で健康な睡眠を
平成21年度第3回すこやか健康講座が2月3日(水)、市保健センターで開かれ、各地区から参加した市民約70人が、「睡眠時無呼吸症候群」について理解を深めました。
講座は、市民の生活習慣病予防など健康づくりを目的に開かれているもので、毎回テーマを変え、5回の開催が予定されています。今回は、児玉内科クリニック の児玉達彦院長が、「睡眠時無呼吸症候群とは〜健康と睡眠」と題し、講演しました。
睡眠時無呼吸症候群 (SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気。全国では約200万人がこの症候群であるといわれ、2003年に山陽新幹線の運転士が居眠りをした問題をきっかけに、報道などでも取り上げられることが増え、広く知られるようになりました。
児玉院長は、この事件の切り抜き記事をスライドで見せながら、「これは睡眠時無呼吸症候群の特徴をよく捉えた事件。睡眠中に喉が塞がってしまい無呼吸を繰り返すため、熟睡感がなくなりその結果日中に眠くなったためと推測される」、と病気の特徴を説明しました。
その上で、「無呼吸になるのは空気の通り道である上気道が閉塞し、狭くなるため。扁桃肥大や少顎症、鼻の構造的な問題、飲酒による筋緊張感の低下などさまざま。症状としては、
- いびきをかく
- 日中の眠気
- 熟睡感がない
- 起床時に頭痛がある
- 眠っている間に呼吸が止まる
といったものがある。肥満や夜尿症、うつ状態などもその兆候の一つ」と原因と症状について解説。
また、「肥満になるのは、不眠で生活のリズムが狂い、食事の回数なども増えてしまうため。この病気は生活習慣病の一つとも言われ、メタボリック症候群とも互いに関連している。不眠が原因となって高血圧や心筋梗塞などの合併症も引き起こす」、と悪循環をもたらしてしまうことの怖さを指摘しました。
合併症には、高血圧、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、糖尿病、脳卒中などがあり、心疾患は平均値の1.2倍から6.9倍、脳卒中については10.8倍も危険性が高まるといわれているそうです。 無呼吸と心臓への負担については、注射器の口を塞いで押子を筒から引き抜くのに大きな力が必要な様子を見せながら、「無呼吸の場合、心臓に大きな負担がかかるが、まさにこの状態」と、分かりやすく例えていました。
診断については、「10秒以上の無呼吸が一晩7時間の睡眠中に30回以上、1時間当たりでは5回以上起こったらこの病気を疑うべき。傾向としては、太った壮・中年の男性に多い。思い当たる症状があったらすぐ受診してほしい。眠気の程度、いびき、耳鼻科疾患、生活習慣などについて問診を行い診断する。睡眠時の症状は自分では気がつかないのでパートナー同席が望ましい」とアドバイスしていました。
治療には、「まずはじめに自分の生活を見直すこと。肥満やお酒の過飲は大敵。たばこも無呼吸症状を促進させる」と生活習慣を改めることを勧めた上で、内科的・外科的治療法を紹介。内科的には、機械で呼吸を調整するCPAP(シーパップ)装置の利用の例を上げ、実際に装着して使用感などを説明しました。
外科的には、咽頭や扁桃、アデノイドが原因で気道を塞ぐのを防ぐために手術によって取り除く治療法を紹介し、「ただし、外科手術での根本治療は、閉塞の原因が特定できている場合が原則」と、医師と治療法を十分話し合うことを勧めていました。
最後に児玉院長は、▽質の悪い眠りは生活を破壊する▽生活習慣病と密接に関係している▽合併症の悪化をもたらす▽その結果社会にも悪影響を及ぼす、といった弊害を上げ、「健康な眠りを取り戻すことが第一。睡眠に関する疾患は睡眠時無呼吸症のほか、不眠症、抑うつなどさまざまだが、少しでも心あたりのある方は医師に相談し、適切な治療と指導をうけてほしい」と呼びかけていました。
第3回講座は2月15日(月)、「歯周疾患の予防と治療について」をテーマに、秋田県健康推進課主査(医学博士)田村光平氏による講演が行われます。聴講は自由ですが、事前に北秋田市健康推進課までご連絡ください(北秋田市保健センターTEL:0186-62-6666)。なお、今後の講座日程はこちらです。
参考/これまでのすこやか健康講座から(抜粋)
(2010.2.3)