2008年01月25日
コンテンツ番号5351
市保健センター、生活習慣病予防事業
市の健康予防事業「第1回すこやか健康講座」が1月25日(金)、市保健センターで開かれ、市民約220人が、認知症についての専門家による講演に耳を傾けました。
講座は、市民の生活習慣病予防を目的に開かれているもので、毎回テーマを変え、2月までに3回の開催が予定されています。今回の講演会の演題は、「認知症を正しく理解しよう!」。講師には、秋田県脳血管研究センター神経内科学研究部長兼神経内科科長の長田乾(けん)氏を迎えました。
講演会では、はじめに長田氏が、「30年ほど前の映画、有吉佐和子原作の『恍惚の人』では、森繁久弥演ずる痴呆老人の年齢は77歳だったが、最近の映画『明日の記憶』では、渡辺謙演ずる現役ばりばりのビジネスマンが48歳で認知症にかかる。65歳以下の痴呆を若年性痴呆といい、同じ病気(の延長)と考えられている」と、認知症が高齢者特有のものではないことを紹介。
また、認知症の患者数は高齢者化率と比例することから、認知症老人は2015年には全国で262万人、2020年には292万人に増加すると推計されていることや、全国で高齢化率が最も高い秋田県では、現時点での患者数が2.4万人、予備軍が6.3万人と推計される、などと、日本と秋田県の統計を示しながら、「病気を治す薬はまだみつかっていないが、進行を遅らせることはできる。また、10年以内には薬もできるだろう。ただし、できるだけ早く治療をはじめることが大切」と予防対策が課題となっている状況を説明しました。
秋田県の人口 | 112万人 |
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高齢者の人口(28%) | 31.4万人 |
認知症患者(高齢者人口の7.5%) | 2.4万人 |
認知症予備軍(高齢者人口の20%) | 6.3万人 |
認知症予備軍の3年後の認知症 | 1.8万人 |
講師の長田医師による秋田県の認知症の推計。認知症は高齢化に比例するため、その予防策が大きな課題となっています
その上で、認知症老人がリフォーム詐欺の被害にあった事例や、交通事故で加害者となった事例を紹介しながら、「この病気は直接死につながる病気ではないが、それが原因で事故に遭う・起こす、犯罪の被害を受ける、生活に支障が出るなどの問題が起きる。周囲ができるだけ早く気づき、支えてあげることが必要」とし、
▽同じ話しや質問を繰り返す▽日付、曜日、場所を正確に把握できない▽人や物の名前を思い出せない▽電話の伝言を忘れる▽みだしなみに無頓着になる、といった、認知症が疑われる人に見られる兆候のいくつかを例示しました。
聴講者の中には、少し不安そうな表情で話を聞く人もいましたが、長田氏は、「例えば新聞を片付けた場所を忘れることと、片付けたこと自体を忘れることは性格が異なる。心配なのは後者。人の名前を思い出せなかったりすることは、加齢によるもので、正常範囲」と、加齢に伴う物忘れと認知症の鑑別について説明を加えました。
このような、認知症の現状や症状の例を説明しながら長田氏は、特にアルツハイマー病による危険因子には、加齢や遺伝子、高血圧といった生物学的なもののほかに、ライフスタイルも含まれていることを挙げ、「高血圧などの病気をきちんと治療し、脳を生活習慣病から守ること、常に新しいことに挑戦し、脳を鍛えること、音楽鑑賞やリズムで体を動かすことも効果的。また、家に閉じこもらず社会との接点を増やし、家庭では笑い声の絶えない朗らかな環境が理想的」と、予防策を述べていました。
加えて、「脳を助ける食生活も大切」と、▽カロリーを摂り過ぎないこと▽毎日7種類以上の野菜と果物を食べること▽青魚(魚油)を食べること、また、▽穀類、豆類、芋類を多めに摂取する▽バターやラードの変わりにオリーブオイルを使う▽獣肉をあまり食べない、といった、食生活のコツと注意点を紹介しました。
講座には、阿仁・森吉・合川地区の参加者はバスの送迎で保健センターに参集。今回のテーマは関心も高く、満場の聴講者は、投影機を使ったわかりやすい説明にうなづきながら、認知症について、学習を深めていました。
講座はこの後、2月13日と27日の2回開かれる予定です。聴講無料。お問い合わせは市保健センター(TEL:62-6666)まで。
■第2回すこやか健康講座
2月13日(水)13:30〜15:00
テーマ:「歯周疾患の予防と治療について」
講師:北秋中央病院歯科口腔外科長小松賢一氏
■第3回すこやか健康講座
2月27日(水)13:30〜15:00
テーマ:「メタボリックシンドロームについて」
講師:津谷内科医院院長津谷泰夫氏