2010年01月18日
コンテンツ番号7642
アルコールが脳に与える影響について学ぶ ~お酒の過飲は“ボケ”の大きな原因」〜
平成21年度第1回すこやか健康講座が1月18日(月)、市保健センターで開かれ、各地区から参加した市民約150人が、アルコールが脳に与える影響などについて学習しました。
講座は、検診受診者や健康づくりに関心のある市民を対象に開かれているもので、毎回テーマを変え、5回の開催が予定されています。今回は、秋田大学保健管理センター所長で医学博士の苗村(なむら)育郎教授が「アルコールが脳と心に及ぼす影響〜ボケない生活習慣」と題し、血圧やアルコール、不眠が脳に与える影響などについて講演しました。
苗村教授は、はじめにボケの引き金となる因子として高血圧、コレステロール、アルコール、不眠の4つを上げ、「ボケになるのは多くの場合、食事などの生活習慣や健康管理の悪さが原因。高血圧や高コレステロールは脳を委縮させてしまう。血中脂肪濃度が高い人は60歳以上の女性に多く、総コレステロール値が200を越える人は、70歳前後でボケる人が多くいる」と指摘しました。
また、「毎日2、3合以上のお酒を飲む人は危険。お酒をたくさん飲む人はボケやすいタイプの典型。アルコールは脳の前頭葉という部分を著しく委縮させてしまう。20年以上3合から4合の晩酌を続けた人は、平均60台半ばでボケてしまう」、と過飲の危険性について強調。
加えて、「ボケの治療には7、8兆円もの医療費がかかるともいわれ国の財政にも影響している。患者が増えるとそれだけ若い世代に負担をかけてしまうことになる。生活習慣病の予防のためには、子どものうちから健康と栄養について学ぶことが大切。しかし、指導者の育成には5年から10年かかることや財政上の理由から進んでいないのが現状」、と子どもへの健康指導の必要性などについても言及しました。
不眠については、「眠れないと血圧が高くなり、高血圧が悪化すると脳に大きなダメージが生じる。放置すると小さな脳梗塞が発生し、ボケの原因になる。したがたって、まずは不眠の治療を行うこと。その上で血圧の治療を並行して行うことが多い。不眠治療には1時間単位で睡眠をコントロールする薬もできているので、精神科を受診したら眠れない時間など具体的な症状を話して睡眠薬を処方してもらうなど適切な治療を受けることが大切」、と説いていました。
苗村教授は講演の最後に、死亡した患者の前頭葉が委縮した実際の脳の写真や病気の患者のCT画像を見せながら「くも膜と脳の間に隙間があるので、脳が委縮しているのがわかると思う。これらはアルコール性脳委縮といわれる症状で、長い間多量のアルコールを飲み続けた結果。すき間の大きさなどで何年お酒を飲み続けたかもわかる。脳はいったん傷いてしまうともとには戻らない」と説明。お酒の過飲がボケの原因になり、その結果本人や家族の生活の質を大きく損なってしまうことの怖さを訴えていました。
第2回講座は1月27日(水)、「メタボリックシンドロームの予防について」をテーマに、財団法人秋田県総合保健事業団の医師・浜出達彦氏による講演が行われます。聴講は自由ですが、事前に北秋田市健康推進課までご連絡ください(北秋田市保健センターTEL:0186-62-6666)。なお、今後の講座日程はこちらです。
参考/これまでのすこやか健康講座から(抜粋)
(2010.1.18)