2008年02月27日
コンテンツ番号5233
第3回すこやか健康講座「メタボリックシンドロームについて」
市の健康予防事業「第3回すこやか健康講座」が2月27日(水)、市保健センターで開かれ、市民約160人が、専門の医師による生活習慣病やメタボリック症候群についての講演を聴講し、学習を深めました。
「認知症」「歯周病」をテーマとした過去2回に続き、最終回となった今回の講座の演題は、ずばり「ちょっと気になる生活習慣病の話」。講師の津谷内科・津谷泰夫院長が、不規則な生活習慣が引き起こす「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」についてその概要と予防法などについて講演しました。
講師の津谷氏は、明治時代旧坊沢村で開院した同病院の3代目院長。昭和45年に日大医学部卒業後、近畿大学医学部教授などを経て平成5年から現職。
日本では「メタボリックシンドローム」が中高年層に急増し、予備軍を含めると40歳から70歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人があてはまり、全国では約1960万人と推計されています。
今年4月から始まる特定健診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)では、メタボリックシンドロームの概念を応用して予防対策を行う事を目指し、40歳から74歳までの中高年保険加入者を対象に健康保険者に特定健診を実施することが義務化され、メタボリックシンドローム該当者、または予備軍と判定されたものに対して特定保健指導を行うことが義務づけられています。
津谷氏は、はじめにこの制度について触れながら、「生活習慣病とは、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症に深く関与していると考えられている疾患の総称。一方メタボリックシンドロームは、これに内臓脂肪型の肥満が加わった状態で、直接動脈硬化を引き起こす最大の危険因子」と、かつては『成人病』だった健康指導のキーワードが、10年程前からは生活習慣病、最近ではメタボリックシンドロームと変遷してきたことを紹介しました。
また、「メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を示す目安であることから、ウエストサイズの数値と、3つの健診数値から診断する。腹囲は、男性では85以上、女性では90以上。合せて、血中脂質、血圧、血糖の数値のうち2つが基準値に当てはまると、そう診断される」と基準を示しました。
続いて、「内臓脂肪が過剰にたまった状態というのは、貧しい時代には考えられなかった現象。脂肪組織にはもともと脂質をためる機能があるが、組織からはアディポサイトカインと呼ばれる生理活性物質が分泌され、体をうまくコントロールしている。しかし、内臓脂肪が過剰にたまった状態では、悪玉のアディポサイトカインがたくさん出過ぎたり、善玉のアディポサイトカイン(アディポネクチン)の分泌が低下してしまうという現象が起こり、多くの病気につながる」と、内臓脂肪がたまった状態の腹部の断層写真などを見せながら、脂肪が過剰に溜まることで起こるメタボリックシンドロームのしくみや病気が発症しやすくなるメカニズムを説明しました。
この上で、「この症候群に陥るのを防ぐには、第一に肥満を防ぐこと、規則正しい生活習慣を続けることが大切」と述べ、そのために、摂取カロリーを抑制した食事と、軽めの運動を最低10分、30分以上をめやすに行ってほしい、と呼びかけていました。
また、「目標をもって続けること。日本肥満学会では、現在の体重を3、ウエストを3縮めるサンサン(=3・3)運動を勧めている。また喫煙が血管障害に及ぼす影響も大きい」と述べ、運動や食生活の工夫、禁煙など普段からの心がけと節制の必要性を説いていました。
講座には、今回も阿仁、森吉、合川、鷹巣の4地区から大勢の市民が送迎バスで参加、また鷹巣地区では、高齢者大学「高鷹大学」の“学生”も聴講し、専門用語をやさしく噛み砕いた津谷先生のわかりやすい話に、メモを取りながら熱心に聞き入っていました。
■あなたは大丈夫?
メタボリックシンドロームの基準に照らし、診断してみてください。
【Check1】あなたの腹囲(ウエスト周囲率)は?
男性:85以上 女性90以上
【Check2】あなたの健診結果は?
血中脂質:
トリコグリセリド値(中性脂肪)150mg/dl以上
HDLコレステロール値 40mg/dl以上
血圧:
収縮期(最高)血圧値 130mmHg以上
拡張期(最低)血圧値 85mmHg以上
血糖:
空腹時血糖値 110mg/dl以上
※Check1に該当し、Check2に2項目以上該当するとメタボリックシンドロームと診断されます。
(2008.2.27)