2009年02月26日
コンテンツ番号6855
すこやか健康講座「がん予防の話」
平成20年度「第4回すこやか健康講座」が2月26日(木)、市保健センターで開かれ、各地区から参加した市民約160人が、がん予防について学習しました。
講座は、市民の生活習慣病予防を目的に開かれているもので、毎回テーマを変え、6回の開催が予定されています。今回は北秋中央病院の神谷彰院長が、「がん予防の話」と題し、講演しました。
神谷院長は、はじめにがんについて
- 初期症状が顕著に現れない
- がん細胞は周囲の正常な細胞を弱らせる
- 完治する可能性も十分にある。種類によっては初期段階であれば完治する
などと特徴を解説。
また、日本人の死亡率の年次推移や部位別の死亡割合などの統計数値をグラフで示しながら、「心疾患や脳血管疾患を上回り圧倒的に多いのががん。また、男性では肺がん、胃がん、肝がん、大腸がんの順で死亡率が高く、女性は大腸がん、胃がん、肺がん、乳がんの順」と、統計からみた死亡率の傾向を紹介しました。
がんの原因については部位ごとに説明。このうち、胃がんは「はっきりとした原因は不明だが、食生活を中心とした生活習慣に強く依存している。塩分の多い食事、熱すぎる料理、過食や早食いもリスクを高めるといわれる」と述べ、特に全国と比べて秋田県の胃がん死亡率が高いことを指摘し、秋田県人に多い塩分の取りすぎが原因の一つではないかと、話していました。
高齢化により増える傾向にある大腸がんについては、脂肪が多く繊維質が少ない欧米型の食事が原因の一つと見られていることを上げ、「脂肪を多く摂取すると脂肪の消化酵素である胆汁がたくさん出る。胆汁に含まれる胆汁酸が発がんに関与していると考えられている。また食物繊維が不足すると、便が体内に留まる時間が長くなるが、胆汁酸が腸に触れる時間も長くなり、発ガンのリスクが高くなる」と述べ、動物性脂肪を控え、野菜など食物繊維を多く摂取することを勧めていました。
女性特有のがん・乳がんについては、女性ホルモンであるエストロゲンの影響によって、
- 出産経験がない
- 高齢での出産
- 排気ガスなどに含まれる外来性エストロゲンが体内に入る
ことなどがリスクを高めることに加え、高脂肪摂取、肥満などもがん誘発の一原因とされていることを指摘していました。
その上で神谷院長は、「がんの予防法として最も効果的といわれているのは禁煙と食生活の改善。たばこの煙りの中には数十種類の発がん物質が含まれているといわれている。たばこを吸う人と吸わない人を比較すると、吸う人には明らかに発がんの危険性が増える可能性がみられ、それも多くの臓器にわたっている」と、たばこの害について解説しました。
また、「偏食せずに他品目の食べ物をバランスよく摂取することが望ましい。塩分や動物性脂肪の摂り過ぎは禁物。お酒はほどほどに。野菜や食物繊維を多く含む食物をたくさんとってほしい。適度な運動も大切」と食生活や日常生活の心がけについて説いていました。
最後に、「これまで、早期発見、早期治療といった、検診(健診)などに重点を置いた二次予防が中心だったが、がんの危険因子解明も進み、がんの発生をふせぐ一次予防も可能になってきた。検診で早期発見に努めるとともに、日々の心がけが、がん予防につながることを意識してほしい」と、述べていました。
(2009.2.26)