2009年01月30日
コンテンツ番号6717
すこやか健康講座「歯周疾患の予防と治療」
平成20年度「第2回すこやか健康講座」が1月31日(金)、市保健センターで開かれ、各地区から参加した市民約150人が、歯の専門家による講演に耳を傾けました。
講座は、市民の生活習慣病予防を目的に開かれているもので、毎回テーマを変え、5回の開催が予定されています。今回の講演会のテーマは、「歯周疾患の予防と治療について」。講師には、秋田県健康推進課主査で歯科保健に携わる歯学博士の田村光平氏を迎えました。
はじめに田村主査が、80歳までに20本以上の自分の歯を残そうという運動「8020運動」について触れ、「人間の歯は全部で28本。80歳で20本以上自分の歯が残っている人は、何でも好きなものが食べられて健康が生活を送っている人が多く見られるが、10本以下の場合、柔らかいものしか食べられず、病気がちで寝たきりや認知症の人も多い」と、歯の健康が体の健康と密接な関わりがあることを説明。その上で、年齢と歯の数の統計や秋田県民のむし歯の状況などを紹介しました。
20本以上自分の歯をもつ人の割合は、各年代で秋田県が全国平均よりも低く、8020達成者の割合についても、80歳から84歳までの区分で全国平均が21.1%なのに対し、秋田県は13・0%、85歳以上の区分に至っては全国平均8.3%に対し秋田県はゼロ%と極端に低く、その原因の一つに、8020運動について知っている人が少ないなど、歯の健康について関心が低いことが原因の一つに上げられるそうです。
また、80歳で残っている自分の歯の数も全国平均が8.9本なのに対し、秋田県は3.9本と半分以下、これを失った歯の数で比較すると、秋田県民は80歳までに24.1本が失われていることになるそうです。各年代別でも秋田県は全国平均より悪く、参加者も示された数値に驚いていました。
「年を取って歯がなくなるのは仕方がないと考えている人が多いが、それは誤った常識。悪くなった歯は自然治癒することはない。むし歯の場合は詰め物などの人工物で欠けた部分を補っているだけ。正しい歯磨きと健診、治療で歯を失わないように心がけましょう」と、田村主査。
スライドでは、県民のむし歯の状況や3歳児、12歳児の地域別のむし歯本数などの統計数値やグラフのほか、むし歯の写真、むし歯の原因となる歯垢や歯石が歯に付着している写真なども紹介しながら話を進めました。
むし歯や歯周病の原因となる細菌の除去については、病気が進行するメカニズムを説明しながら、「歯ブラシなどで機械的に清掃するのが一番。洗口液では歯垢表面の細菌を殺すだけで中の細菌には効果がない」と、歯磨きの励行がむし歯を防ぐ第一の手段であることを強調しました。
また、「唾液は口の中で最も重要な細菌に対する防御機能を果たしている。唾液は噛むことで分泌されやすくなるため、食事の際はしっかりと噛むことが大切。舌をよく動かしたり口を動かす練習をすることで刺激が生まれ、唾液の分泌が促進され、食事も美味しく楽しくなり、生活の質の向上につながる」と、唾液と口腔ケアの重要性についても指摘していました。
加えて、「入れ歯を入れることも口腔ケアの一つ。歯がない人は入れ歯で咀しゃく機能が回復する。また合わない入れ歯が病気の原因になっていることも多い」と述べ、入れ歯を直す前は車椅子を使っていた高齢者が、直した後、高齢者がその後、元気に歩き回っている様子がビデオで紹介されると、会場から「おー」と感心する声が上がっていました。
最後に田村主査は、「人は口から食べる以外に生きていくことはできないので、口の健康は全身の健康に影響する。日ごろから歯科保健に感心を持ち、歯の健康を保ってほしい」と呼びかけていました。
(2009.1.30)