2011年08月21日
コンテンツ番号3999
郷土色豊かな民俗芸能が公開
(2011.8.21)
第6回北秋田市民俗芸能大会が8月21日(日)、市文化会館で開催され、市内外から詰め掛けた大勢の観衆が郷土色豊かな芸能の数々を楽しみました。
市内各地区の集落には、たくさんの個性豊かな郷土芸能が伝承されています。しかし、一般的には地区の祭典やお盆の時期、集落内で公開されていることから、ほかの地区の市民が目にする機会が少ないのが現状です。また、後継者不足などの理由から廃れてしまった芸能も多く、保存・伝承が課題にもなっています。
大会は、市内で演じられている芸能を一堂に集めて市民に公開し、民俗芸能への理解と関心を深め、保存・伝承につなげることなどを目的として始まったもので、第6回目となった今年の大会には、前山郷土芸能保存会、阿仁からめ節踊り保存会、福田獅子舞保存会、綴子下町大太鼓保存会、今泉駒踊り郷土芸能保存会の5団体が出演したほか、ゲストとして仙北市から昇風会・手踊り鈴木みつる社中による飾山囃子と手踊りが披露されました。
開演に先立ち、津谷市長が「今日は北秋田市から5つの団体のほか、特別ゲストとして仙北市から昇風会・手踊り鈴木みつる社中の方々にお出でいただきました。伝統芸能を行っている方々同士のふれあうことも必要ですし、優れた伝統芸能を見聞きすることによって将来に向かって伝えていくことができます。それぞれ地域で民俗芸能を伝えている方々は、子ども会や小学生にも教え、後継者育成に励んでいます。市としても大切な宝である古くからの歴史ある伝統文化をしっかり守るだけでなく繋げ、記録、保存、伝承にこれからも力を入れていきたい。今日はすばらしい伝統の文化・芸能をじっくり楽しんでいただきたい」などと歓迎のあいさつをして、公演が始まりました。
オープニングで登場したのは、今泉駒踊り郷土芸能保存会(簾内文雄会長)による「今泉駒踊り」。今泉の駒踊りは戦国時代の騎馬の様子を武芸化した踊りで、300年以上前に合川の八幡岱より伝えられたと言われています。当時、佐竹義宣公が来訪した際、旅の疲れを癒すため踊られ、その後も豊年満作を祈り農閑期やお盆に踊り継がれたようです。大正6年に集落が大火事となり、歴代からの駒や衣裳が消失し、踊りも囃子も絶えましたが、昭和47年に始まった青年会のふるさと運動を契機に8年がかりで復活。保存会が昭和54年に発足し、毎年8月14・15日に今泉の各町内を巡っています。この日は、戦場に向かう出陣(ぶっ込み)から、次第に戦いが激しくなり、やがて終えて去る(七五三の肩乗り)までの様子を勇壮に演じました。
2番目に登場したのは、阿仁からめ節踊り保存会(佐藤昭春会長)による「阿仁からめ節」。少なくとも300年ほど前から唄い継がれてきたと云われており、鉱山の坑道口前に掘り出され(鉱石)を金槌で叩いて細かくし撰鉱する「つぶし」が「からめ」といわれ、つらい労働の疲れを癒すための女工たちの作業唄として踊りとともに伝えられています。この日は、20人ほどの踊り手が、赤い紐の前掛け姿で働く様子を表現した踊りを披露しました。
3番目に登場したのは、前山郷土芸能保存会(小笠原忠夫会長)による「前山奴踊り」。前山地区に伝わる郷土芸能は、大名行列に始まり獅子踊り、奴踊り、雑魚釣り舞で、今から約250年前江戸中期、先祖の供養、豊年満作と厄除けを祈願するため村社・雷皇(らいこう)神社に奉納したのがその起源であると伝えられています。奴踊りの後の釣りの好きな兄弟のしぐさをこっけいに演じる「雑魚(じゃこ)釣り舞」では、ユーモアたっぷりな演技を繰り広げました。
4番目に登場したのは、ゲスト出演の昇風会・手踊り鈴木みつる社中(藤島智昭代表)の皆さんによる「飾山囃子と手踊り」。角館のお祭りの曳山運行の囃子と優雅な手踊りが披露され会場からは一段と大きな拍手が送られました。
5番目に登場したのは、福田獅子舞保存会(鈴木浩二会長)に「福田獅子舞」。福田地区に古くから伝わる獅子舞いは、日本海運によって、米代川流域にもたらされた奉納神楽を能代港町で文化2年頃、修業伝授したのが始まりとされています。昭和39年、後継者難で継承が途絶えた時期もありましたが昭和49年に熱意のある有志で復活をとげ昭和50年に保存会が結成し引き継がれています。「ささら」役に誘導され、目に見えない悪魔を退治し役目を終えて昇天する大獅子舞いが物語的に披露されました。
最後は、綴子下町大太鼓保存会(藤島勝政会長)のよる「綴子下町獅子踊り」。大名出陣行列・獅子踊り・奴踊り・ヤツパレ等の一連の「大太鼓祭り行事」として約750年前から継承されており、現在は毎年上町と下町が交互に奉納しています。この日は、露払い太夫の口上、棒使い(野次払い)、獅子踊り、奴踊りが上演されました。
市内外から訪れた満場の観衆は、上演されたそれぞれの勇壮で優雅な郷土色豊かな各地区の芸能をたっぷりと堪能していました。
カメラスケッチ
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