2007年08月26日
コンテンツ番号9703
第2回北秋田市民俗芸能大会
(2007.8.26)
北秋田市の郷土芸能を紹介する「第2回北秋田市民俗芸能大会」が26日、市文化会館で開催され、市内外から詰め掛けた満場の観衆が郷土色豊かな芸能の数々を楽しみました。
本市には、鷹巣地区から阿仁地区まで、たくさんの個性豊かな郷土芸能が伝承されています。しかし、一般には地区の祭典やお盆の時期、集落内で公開されていることから他地区の住民が目にする機会が少ないのが現状。また、後継者不足などの理由から廃れてしまった芸能も多く保存・伝承が課題にもなっています。
大会は、市内で演じられている芸能を一堂に集めて市民に公開し、民俗芸能への理解と関心を深め、保存・伝承につなげることなどを目的として始まったもので、第2回目となった本公演には、竜森郷土芸能保存会(鷹巣地区)、綴子大太鼓保存会(同)、李岱駒踊り会(合川地区)、上杉大名行列保存会(同)、阿仁前田獅子踊り保存会(森吉地区)、熊野神社餅搗踊り保存会(同)、根子番楽保存会(阿仁地区)の7団体が出演しました。
開演に先立ち、岸部市長が、「市内には数多くの貴重な伝統文化が伝承されている。こうして一堂に会して鑑賞できるのも合併効果の一つ。今日は郷土色豊かな民俗芸能を最後まで楽しんで」などとあいさつ、公演が始まりました。
オープニングで登場したのは、七日市・上舟木集落に伝えられている「上舟木駒踊り」。現在は後継者難から、周辺集落を交えた竜森地区の有志で作る竜森郷土芸能保存会(相馬鉄郎会長)が保存・伝承に努めています。戦国時代、合戦で戦う騎馬の様子を表現したといわれる激しい踊りを子どもと大人、そしてお囃子が一体となって披露し、観衆を素朴で多彩な郷土芸能の世界に引き込みました。
県の無形民俗文化財にも指定されている「阿仁前田獅子踊り」は、佐竹義宣公が水戸から秋田へ国替えとなったとき、家臣たちが考案した道中芸がルーツといわれ、前田集落では若勢たちにより藩政時代の中ごろから継承されてきました。
踊りは参勤交代を模した行列から始まり、獅子踊り、奴踊り、駒踊りと続き、締めくくりに「棒使い(俗称ヤチハライ」が演じられました。通し公演ではさらに万歳と神楽が披露されることもあるそうです。将来の後継者となる前田小学校の児童も各場面でさっそうと演技を決め、大きな拍手を浴びていました。
米内沢横町に伝わる「餅つき踊り」は、もともと未婚の男性が女装して踊ったとわれているユニークな起源を持つ踊り。現在踊り手は女性となり、無病息災、安産などの祈願を込めた熊野神社恒例の奉納行事として踊り継がれています。
浴衣姿にたすきをかけ、手ぬぐいや臼と杵などの小道具を扱いながら踊る様子はとても洗練されています。踊りで搗(つ)いた餅を食べると虫歯が痛まないなどといわれ、踊り終わってから振舞われた餅には、大勢の観衆が「こっちにも」と手を差し伸べていました。
トリをとったのは阿仁根子集落に伝わる「根子番楽」。平成16年には国の重要無形民俗文化財に指定された伝統芸能です。根子番楽の演目は、かつては二十番ほどあったそうですが、現在では、九演目が継承されています。この日は、演目の中でもリズミカルで人気の高い「鞍馬」「曽我兄弟」など三演目が披露され、会場を魅了しました。
このほか、綴子大太鼓保存会による奴踊りや獅子踊り、上杉、李岱の駒踊りなど、普段は集落の外で演じられることの少ない芸能が3時間半にわたり披露され、観衆は席を立つこともなく、懐かしく郷土色ゆたかな各地区の芸能の数々をたっぷりと堪能していました。
※参考
- 北秋田市第1回民俗芸能大会(平成18年9月3日公演)
- 第29回秋田県民俗芸能大会(平成17年9月10日公演)