2008年08月31日
コンテンツ番号2371
豊かな郷土色を楽しむ
(2008.8.31)
北秋田市の郷土芸能を紹介する「第3回北秋田市民俗芸能大会」が8月31日(日)、市文化会館で開催され、市内外から詰め掛けた満場の観衆が郷土色豊かな芸能の数々を楽しみました。
市には、鷹巣地区から阿仁地区まで、たくさんの個性豊かな郷土芸能が伝承されています。しかし、一般には地区の祭典やお盆の時期、集落内で公開されていることから他地区の住民が目にする機会が少ないのが現状。また、後継者不足などの理由から廃れてしまった芸能も多く保存・伝承が課題にもなっています。
大会は、市内で演じられている芸能を一堂に集めて市民に公開し、民俗芸能への理解と関心を深め、保存・伝承につなげることなどを目的として始まったもので、第3回目となった今年の大会には、米内沢共勇会(森吉地区)、今泉駒踊り郷土芸能保存会(鷹巣地区)、福田獅子舞保存会(合川地区)、五味堀餅搗踊り保存会(森吉地区)、綴子大太鼓保存会(鷹巣地区)、阿仁からめ節保存会(同)、阿仁吉田かざはり太鼓(阿仁地区)の7団体が出演しました。
開演に先立ち、岸部市長が、「北秋田市には数多くの伝統芸能が伝えられおり、各集落の祭典などで公開される芸能は、昔から演じる人にも、見る人にも潤いをもたらしてきた。しかし、後継者難で保存・伝承が課題にもなっている。第3回目となった今大会では、普段見ることのできない各地区7つの芸能が披露される。最後までごゆっくり楽しむとともに、保存と伝承にご理解を」などとあいさつ、公演が始まりました。
オープニングで登場したのは、森吉・五味堀集落に伝わるユニークな芸能「餅搗き踊り」。五味堀集落は、阿仁鉱山が盛んだった頃、阿仁川舟運の中継基地として栄え、大正末期から昭和初期にかけて起きた阿仁前田小作争議の拠点事務所があったところ。踊りは、青森県下北半島の東通村の田植え餅搗き踊りがルーツといわれ、今から約100年前に伝わり、小作争議で荒廃した人心を和らげた、といわれています。
餅搗き役(歌い手)と合い取り役の女性を円陣の中心に据え、「♪もちつきおどりはめでたいな、郷土で名高い森吉山・・・」と、調子の良い囃子に合わせ、女性と子供の演じ手約30人ほどが扇子をかざしながら輪になって歩を進める独特の踊りが会場を魅了しました。また、踊りが終わってから出演者から会場に紅白の餅が振舞われ、大きな歓声が上がっていました。
米内沢共勇会獅子踊り保存会による駒踊り。激しい動きが合戦での騎馬の様子を表現します
『米内沢共勇会獅子踊り保存会による駒踊り』動画をダウンロード1
『米内沢共勇会獅子踊り保存会による駒踊り』動画をダウンロード2
3番手に登場したのは米内沢共勇会獅子踊り保存会による「駒踊り」。米代川、阿仁川流域の集落には、共通した流れを汲む獅子や駒踊り、奴踊りといった芸能が伝えられています。これらは、佐竹義宣侯が常陸から秋田へ国替えを命じられたときに、主君や武将の士気を鼓舞するために演じられた道中芸がルーツとされています。共勇会獅子踊りは、参勤交代を模した行列、奴、駒、獅子踊りなどで構成され、駒踊りは、徳川家康の長男、岡崎城主(三郎家康)の出陣、乱戦などの場面を芸能化したものといわれています。
ステージでは、合戦で戦う騎馬の様子を表現したといわれる勇壮な踊りを15人ほどの駒が舞台狭しと熱演し、観衆を魅了しました。
このほか、約700年の伝統を持つ綴子上町獅子踊り、市指定無形民俗文化財の福田獅子舞、一時途絶えたものの青年会のふるさと運動が契機となって復活した今泉駒踊り、阿仁鉱山の女工が辛い労働の疲れを癒すために300年前から踊り継がれてきた、といわれる阿仁からめ節、その昔風張村と呼ばれていた阿仁吉田集落の歴史を伝える創作太鼓・阿仁吉田かざはり太鼓が次々と披露されました。
各地区から訪れた満場の観衆は、約2時間の間席を立つこともなく、郷土色ゆたかな各地区の芸能の数々をたっぷりと堪能していました。
※参考
- 第1回民俗芸能大会(平成18年9月3日)
- 第2回民俗芸能大会(平成19年8月26日)
- 第29回秋田県民俗芸能大会(平成17年9月10日)