2010年08月29日
コンテンツ番号6029
第5回北秋田市民俗芸能大会
第5回北秋田市民俗芸能大会が8月29日(日)、市文化会館で開催され、市内外から詰め掛けた約200人の観衆が郷土色豊かな芸能の数々を楽しみました。
市には、各地区の集落に、たくさんの個性豊かな郷土芸能が伝承されています。しかし、一般的には地区の祭典やお盆の時期、集落内で公開されていることから、ほかの地区の市民が目にする機会が少ないのが現状です。また、後継者不足などの理由から廃れてしまった芸能も多く、保存・伝承が課題にもなっています。
大会は、市内で演じられている芸能を一堂に集めて市民に公開し、民俗芸能への理解と関心を深め、保存・伝承につなげることなどを目的として始まったもので、第5回目となった今年の大会には、李岱駒踊り、熊野神社餅搗き踊り、阿仁前田獅子踊り、根子番楽の4団体が出演しました。
開演に先立ち、三澤仁教育長は「市内のそれぞれの地区には、300年〜400年前から脈々と受け継がれてきた伝統文化が保存されている。ビデオなどで記録できなかったため、口伝えや先人からの指導により、何代にもわたって伝えられてきたものです。演者は、激しい踊りを一生懸命演舞します。皆さんからは、あたたかい大きな拍手をお願いします」などとあいさつし、公演が始まりました。
オープニングで登場したのは、李岱駒踊り保存会による「李岱駒踊り」。起源は定かではないが、口伝によれば300年以上遡るという。佐竹氏が秋田転封のさい踊ったという道地ササラを習得して始められたといわれています。当初は男性のみの「若勢団」による奉納踊りとして続けられてきました。戦後一時休みましたが、青年会に受け継がれ、女子の参加も得て、「李岱駒踊り会」と「親子会」が中心に活動しています。毎年8月13日に、集落内6カ所以上で講演しています。今回は囃子に合わせて、灯篭、長刀、棒、奴が入場し、奴踊りの態勢ができるころに駒が入場する「ぶっこみ」と「奴踊り」「駒踊り」が上演されました。
2番目に登場したのは、熊野神社餅搗き踊り保存会による「熊野神社餅搗き踊り」。米内沢新町におよそ400年ほど前から伝えられており、当時は未婚の男性たちの娯楽として自然に歌いだされたものです。赤い衣裳に黄色のたすきを掛け、豆絞りのほっかぶりに草履履きで女装して踊られました。昭和30年代になると、自然に老若男女を問わず踊りの輪に入るようになり、夜が明けるまで踊り続けたこともある。現在は、熊野神社の例祭前夜祭にあたる8月29日に社前で奉納されています。無病息災、五穀豊穣、安産などの祈願をこめた踊りとして、富凶の如何を問わず欠かさず踊りが継がれています。今回は「餅搗き踊り」のほか「メラシ踊り」や「猫竜(ねこじゃ)」「通り音頭」「ケンバヤシ」が上演されました。
※写真をクリックすると各演目の動画がご覧いただけます。
3番目に登場したのは、県指定無形民俗文化財に指定されている阿仁前田獅子踊り保存会による「阿仁前田獅子踊り」。慶長年間(1596年−1614年)に伝えられ、佐竹義宣公が水戸から秋田に転封されたときに、その家臣たちが長い旅路の慰め行事として、また行軍を鼓舞するためにに藩主に見せた芸能が発端と伝えられています。当地に伝えられたのは、徳川中期といわれ、以来若勢(現在の郷友会)たちにわり義務的に保存されています。踊りの内容は、行列、獅子、駒踊り、棒使い、万才、神楽でこれらの芸を総称して阿仁前田獅子踊りといわれています。毎年8月13日に集落内3カ所で披露します。今回は「行列」や「獅子踊り」「駒踊り」「奴踊り」「ヤツハライ」が上演されました。
最後を飾ったのは、国指定重要無形文化財に指定されている「根子番楽」。根子集落に伝わる一説には、源氏の遺臣あるいは、平家の落人たちが根子の村に移り住んで番楽が行われるようになったとありますが、全国各地に残されている番楽は、それぞれの伝承されてきた地域や組織によって舞曲や様式に違いを見せています。特に歌詞の内容が文学的に優れていることと、舞の形式が能楽の先駆を成す幸若舞(こうわかまい)以前のものであることが賞賛されていますが、舞は、テンポの速いリズミカルな囃子に合わせて舞う勇壮活発な武士舞と、古雅で静かなリズムが特徴の古典的舞の2つに大別されています。かつては、表舞12番、裏舞8番合わせて20番が上演されていましたが、現在は表裏合わせて9演目が継承されています。今回は、「露払い」「翁舞」「鞍馬」が上演されました。
各地区から訪れた満場の観衆は、約2時間の上演時間に席を立つこともなく、勇壮で優雅な郷土色豊かな各地区の芸能の数々をたっぷりと堪能していました。
※関連記事
→第1回民俗芸能大会(平成18年9月3日)
→第2回民俗芸能大会(平成19年8月26日)
→第3回民俗芸能大会(平成20年8月31日)
→第4回民俗芸能大会(平成21年10月4日)
→第29回秋田県民俗芸能大会(平成17年9月10日)
(2010.8.29)