2009年03月19日
コンテンツ番号7030
今年度金家住宅に続き2件目 出土品436点
国の文化審議会(会長:西原鈴子東京女子大学教授)は、3月19日(木)、本市の胡桃館遺跡出土品を含む40件の美術工芸品を国宝または重要文化財に指定することなどを文部科学大臣に答申しました。
胡桃館遺跡は現在の鷹巣中学校野球場とその周辺から出土した平安時代(約千年前)の遺跡。9世紀後半から10世紀初めの役所跡、または寺院だった建物とみられ、4棟の建物とそれらを囲む柵列、「守」「寺」などと読める墨書土器片などが出土しました。
一説によると遺跡は、同時期の十和田火山の噴火による土石流で埋没したと考えられています。当時の建物が建ったままで残っていた例は、奈良・京都の神社、仏閣を除いて、ほとんどありません。
指定されたのは、出土した建築部材358点、木簡2点、須恵(すえ)器・土師(はじ)器23点、附随する建築部材50点の計436点。主として昭和42年から3年間、秋田県教委と鷹巣町教委が発掘調査を行い出土した遺物で、現在は遺跡地内に建てられた収蔵庫で保管されています(昭和55年、県有形文化財に指定)。
指定資料では、「古代建築の遺存例は寺院の礎石建物に限られているが、本例は掘立(ほったて)柱建物・土台建物が一部とはいえ構築されたままの状態で検出されたことにより、通例の調査では窺い知ることのできない地上部分の構造、具体的な部材の組み合わせ方などを知ることができる稀有な資料である」とされています。
指定を受けて岸部市長は、「指定はひとえに関係者の文化財に対する愛着と保存に対する尽力の賜物。遺跡は今年度から再調査を行っているが、地中レーダー探査では新たな建物跡も確認でき、今後も遺跡の解明に取り組んでまいりたい」とコメントを発表しました。
また、この日文化庁からの発表後、中央公民館で開かれた記者会見には、遺跡を管理する市教育委員会の長岐直介生涯学習課長と担当者、市文化財保護審議会の嶺脇勉会長が出席。長岐課長は、今回の指定について、「このたびの指定は遺跡そのものの価値と、平成19年度から奈良文化財研究所と合同で実施した赤外線調査や年輪年代測定などの最新の科学技術を応用した調査成果が評価され、国の重要文化財に指定されたものと思う。 調査は来年度も継続する。調査成果は市民に公開し、関心を高めていきたい」と説明しました。
嶺脇審議会長は、「胡桃館遺跡の国指定は待ち望んでいたことだけに喜びでいっぱい。奈良文化財研究所をはじめ関係者の指導に深く感謝している。地域の皆さんが今回の指定を機に先人の残した貴重な遺産に心を寄せていただければ幸い」と述べていました。
胡桃館遺跡の指定により、北秋田市内の国指定重要文化財は、昨年10月に指定された米内沢本城の金家住宅に続き、4件目になります。
市では今年度、国指定史跡の伊勢堂岱遺跡が世界遺産暫定リストに登録が決まったほか、金家住宅と胡桃館遺跡の重要文化財に指定され、三重の喜びとなりました。
北秋田市における重要文化財
- 旧阿仁鉱山外国人宿舎(建築物:平成2年)
- 絹本着色松に唐鳥図(絵画:平成15年)
- 金家住宅(建築物:平成20年)
- 胡桃館遺跡出土品(考古資料:平成21年)
※このほか、伊勢堂岱遺跡は「国指定史跡(平成13年)」、根子番楽は「国指定重要無形民俗文化財(平成16年)」
参考(過去の記事から)
(2009.3.19)