2008年07月01日
コンテンツ番号2366
新たな発見なるか 胡桃舘遺跡を再調査
(2008.7.1)
昭和30年代から40年代にかけて発掘調査が行われ、約1100年前の建物跡などが出土した胡桃舘(くるみだて)遺跡の、地中レーダーによる遺物の詳細分布調査が1日から始まり、新たな発見に期待が寄せられています。
胡桃舘遺跡は、西暦915年の十和田湖火山の噴火によって発生したシラス洪水で埋没したといわれている平安時代の遺跡。昭和36年に鷹巣中学校運動場の整地作業中に須恵器杯や土師(はじ)器鉢が出土したことから、昭和42年から3年間にわたって国と県による調査が行われ、建物4棟と柵列が2列、掘立柱列のほか、木簡(文字が書かれた木札)などが見つかっています。
建物は柵で囲まれ、2棟の建物は住居跡、残りは高床の建物と役所のようなところと考えられ、うち2棟は地面に土台(土居)を据えて板を水平方向に組んでゆく板校倉(いたあぜくら)という工法で建てられていました。土居や壁に使われた板材など、1千年以上前の建築材が当時のまま出土した例は奈良・京都の神社仏閣を除いてはほとんどなく、きわめて貴重とされています。
市教委では、遺跡の重要性から昨年、国の研究機関である独立行政法人奈良文化財研究所(以下、奈文研)と合同で最新技術を用いた建築遺材の年輪年代測定、墨書の有無などについて調査を実施しています。
今回の調査は、発掘当時と比べ遺跡周辺の開発が進んでいること、また遺跡を保護するためにも遺物がどこまで埋まっているかその範囲を特定する必要があることなどから、平成20・21年度の2カ年で調査を行うことにしたものです。
遺跡はシラス洪水の土石流で埋まっており、地表から3m下に存在することから、従来の発掘調査では困難。そのためエジプトのピラミッドをはじめ近年の考古学で大きな成果を残している地中レーダー探査が有効と考え、この調査方法で実績のある奈文研に委託しました。
この日の午後、奈文研のスタッフ3人が調査機器一式を積んだ車で鷹巣中学校野球場を訪れ、早速調査を開始しました。調査対象は、ほぼ野球場の外野部分にあたる85m×60m程の範囲。炎天下、ベビーカーを改造したような車体に積んだレーダーを50おきに何度も往復し、その反応を電子的に記録しました。
調査機関は4日までの4日間。7月3日には、伊勢堂岱遺跡検討委員会による視察も予定されています。市教委では、レーダー探査の結果を分析した上で文化庁と協議し、今後の対応を検討することにしています。