2019年02月20日
コンテンツ番号8650
第42回消防職員意見発表秋田県大会が、2月15日(金)に秋田市のホテルメトロポリタン秋田で行なわれ、全県の消防本部代表の12名が日頃の職務の課題について意見を発表しました。
当消防本部からは佐藤光世副士長が出場し、「火災に関する警告表示」について意見発表し、見事優秀賞を受賞しました。
秋田県大会で発表した内容は以下のとおりです。
「火災に関する警告表示」
「どうしようやってしまった」すべては、1本の電話から始まった。自分の家が火災だという連絡を聞きつけ、男性は祈る思いで車を走らせた。・・・しかし、そこに煙を上げ、燻り続けていたものは、変わり果てた「我が家」だった。これは私が実際に出場した、火災現場での出来事です。「ちゃんと消したつもりだったのに」頭を抱えながら言ったその言葉が、今でも私の胸に残っています。この火災では、たばこの火の消火が不十分であったこと、そして、多くの可燃物がある中での喫煙が、火災へと繋がりました。
総務省消防庁の統計によると、全国で年間3700件もの火災が、この「たばこ」が原因で起きています。これは原因別で見ると1番多い件数となります。これだけ火災の起因となる「たばこ」について、私は恥ずかしながら、真剣に考えたことがありませんでした。私はこの火災で、消防職員でしか聞くことのできない罹災者の声を聞き、火災から命、そして、財産を守る消防職員として、この現状をなんとかしたいという、強い使命感にかられました。
皆さんは、「たばこの安全な取扱い方法」をご存じですか。私はこれについて、実際にたばこを買い、どのような掲示がされているのかを調べてみました。するとそこには、なんと書かれていたと思いますか。そうです。「何も書かれていない」のです。「ちゃんと消した」と言っていた、その消し方が、どこにも書かれていないのです。それどころか、火災の危険性を記すものが、何一つ書かれていないのです。ここに、大きな落とし穴がありました。では一体、どこで消火方法を知り、また、火災の危険性を知りえるのでしょうか。「たばこ火災」がなくならない原因は、ここにあったのです。たばこを安全に愉しむためにも、火災の危険性と安全な消火方法を、たばこを手に取った人の、目につくところに記す必要があると考えます。
そこで私は提案します。たばこのパッケージに「火災に関する警告表示」を。
現在、たばこのパッケージには、「健康に関する警告表示」が掲示されています。そこへ新たに、火災の危険性と、安全な消火方法を加えた「火災に関する警告表示」を掲示します。これにより、入手ルートは様々ですが、その末端である、たばこ本体に掲示することで、この「警告表示」が必ず目に入り、防火意識の向上に繋がります。更に、「たばこの消火方法」と謳い、そこへ安全な消火方法を明記することで、今回のような、誤った消火が原因による火災を無くします。この掲示がないが故に、取扱い方法は、喫煙者に委ねられており、中には危険な取扱い方法だと気付かず、火災に発展しているケースもあります。この掲示は、たばこ火災の抑止力となります。
これを提案するにあたり、喫煙者に、「たばこの危険性」について質問をしたところ、健康に関する回答が100%近く得られ、更に、「どこでそれを知ったか?」という問いには、「パッケージに書いているから」という回答が数多く得られました。これにより、パッケージによる警告の効果を確認することが出来ました。喫煙者に注意喚起をする上で、これを使わない手はありません。
火災現場でのあの言葉が教えてくれた。このパッケージを見ることで、変わる人がいる、守れる未来がある。
この発表までの間にも、たばこ火災は発生し被害を出している。火災のことを誰よりも思う消防職員として、これほど悲しいことはありません。
「火災を起こさず幸せであってほしい」この消防職員の思いを届けたい。パッケージに載せて・・・