2004年10月24日
コンテンツ番号5282
鷹ノ巣駅前に作曲家・後藤氏の業績を顕彰
鷹巣町在住の作曲家、後藤惣一郎さん(栄字前綱、82歳)が作曲した「から松」(北原白秋作詞)の音楽碑が10月24日(日)、駅前の「Day・愛・(であい)ひろば」の一角に建立され、この日、除幕式など一連のセレモニーが行われました。
「から松」は白秋の詩に後藤さんが作曲、昭和38年4月の全国作曲コンクール(文部省など主催)で第1位に入選したもので、その後、中学校音楽教科書に採用され、日本を代表する合唱曲の一つとして愛唱されています。
音楽碑は、後藤さんの教え子や音楽関係者などが平成14年に実行委員会(中嶋喜代実行委員長)を立ち上げ、歌と後藤さんの音楽家として業績の顕彰のため建立が企画されたもので、事業には多くの人々が賛同、建設費も募金によって賄われ、この日のセレモニーとなったものです。
正午から行われ式典では、初めに後藤氏さんの指揮により100人あまりの出席者が「から松」を合唱、歌声が穏やかな秋の空にこだまする中での開会となりました。この後、後藤氏と後藤氏の家族、関係者により除幕が行われ、黒みかげ石の石碑が姿を表しました。
設置された場所は広場内の観光案内版の隣。歌碑の表には作曲者の後藤さんと、作詞の北原白秋の名前、「から松」の一番の歌詞、楽譜の一部、また裏には、後藤さんが鷹巣小の教師時代の教え子で元秋田経済法科大学長の井上隆明さん(秋田市)による碑文などが刻まれています。
除幕の後、中嶋喜代氏が実行委員会を代表してあいさつ、「歌と後藤先生の業績を顕彰しようと平成14年に実行委員会を結成、多くの方々の協力を得てこの日を迎えることができた。音楽碑には、みなさんの真心と喜びが刻まれている。またこの事業は、「まちづくり」や「地域おこし」の意味もあった。この音楽碑でまちが元気を取り戻せるよう、願っている」と述べていました。
後藤さんは元教諭。昭和55年に米内沢小学校校長を最後に退職された後も音楽家として活動されており、「浜辺の歌」を作曲した成田為三の研究家としても知られています。鷹中や南中をはじめとする近隣の小中学校の校歌や町村民歌の多くは後藤さんの作曲によるものです。
来賓の式辞の後、あいさつに立った後藤さんは、「この歌を作曲したのは、米内沢小学校に在職していたときで、阿仁合線(現秋田内陸線)の車窓から見えるから松が曲想の元となった。その内陸線駅前に音楽碑を建てていただけたのはたいへん感慨深い。『から松』の3番の歌詞には、人生をたくましく生きようとする白秋の思いが表現されているが、この事業を成し遂げられた実行委員の皆さんには、まさに歌詞のとおりの力強さを感じています」と、『から松』の歌詞の意味を引用し、感極まりながら感謝の気持ちを語っていました。
この後、鷹巣阿仁広域交流センターに会場を移して行われた式典と祝賀会には、後藤さんの教え子や教師時代の同僚、実行委員など多くの関係者が出席、式典では後藤さんへの花束贈呈などのセレモニーが行われ、また祝賀会では来賓によるテーブルスピーチで氏の音楽活動や業績などが紹介され、出席者もあらためて音楽家としての後藤さんの業績の大きさを実感していたようすでした。
(2004.10.24)