2009年11月09日
コンテンツ番号5681
中央公民館講座「インフルエンザ」
市中央公民館公開講座「インフルエンザ」が11月9日(月)、同公民館で開かれ、受講生が新型インフルエンザの正しい知識について理解を深めました。
同公民館の定期講座「グッドライフ」の公開講座として開催されたもので、同講座の受講生や鷹巣地区の高齢者大学「高鷹大学」健康クラブの会員など約80人の市民が耳を傾けました。
講師は、秋田県健康環境センターの主任研究員で医学博士の斎藤博之氏。講座では、ウイルスが専門の斎藤氏が、はじめにO157やインフルエンザなど現代の感染症への対応を国の興亡の過程にたとえ、「歴史の中では、かつて『帝国』だった国がいくつも滅びている。その原因は、社会不安を鎮めるために行政当局が奔走しても、本当に必要な対策が後回しになり徐々に社会体制が疲弊、崩壊してしまったため。歴史を繰り返さないためには、国民一人ひとりが冷静に行動することが大切」と、病気に対する正しい知識を身につける必要性について述べました。
その上で、インフルエンザの病原体であるウイルスについて、▽最少の生命体▽人体に入ってから活動を開始する▽抗生物質は効かない▽治療は症状を抑えて免疫による自然回復を待つ、などの特徴を紹介。ウイルスの流行要因としては、▽人の密集▽感染性排泄物の不適切▽トイレ、下水道の不備、などが挙げられ、特に人の密集する場所では咳やおう吐での空気感染が最も主要な感染経路となることを説明しました。
また、スライドを使って1918年(大正7年)に世界的に大流行したスペイン風邪や1968年の香港風邪流行の際の写真などを紹介し、写真に写っている多くの人々がマスクを着用していることについて、「り患している人が感染を広げないためには有効だが、健康な人が着用しても効果は限定的」とマスクの効能について触れ、「大流行すると不安から軽症患者が病院に殺到し、病院の過剰負担になることがある」と、冷静な行動を求めました。
このように、ウイルスやインフルエンザの基礎知識を説明した上で、「新型インフルエンザ」として取り扱われているが、そもそも今回のインフルエンザは『新型』の条件を満たしておらず、季節性インフルエンザ(普通のインフルエンザ)の一種とみるのが現実的」と持論を展開。
加えて、「死者の数なども報道されているが、今回のウイルスによって劇的に死者が増えるとは想定されていない。そもそも基礎疾患のある人が普通のインフルエンザで死期を早める例が年間1万人以上、交通事故の死者数が5千人から6千人であることなどを考えると、これはマスコミ報道によって不安が増大しているだけ」と指摘します。
さらに新型インフルエンザ報道について、「報道では、『感染力が強い』『タミフル耐性がある』『恐ろしい病気だ』として報道されるケースがあるが、今回のウイルスは弱毒型で、タミフルが効き急速に回復する。感染力と毒性とは別のもの。またどんな薬でも耐性ウイルスはあり、特別なことではない。『恐ろしい病気』、とは鳥インフルエンザとして知られる強毒のH5型と混同している。これは『新型』という言葉を安易に用いたことが大きな理由」と、誤解の多いことを説明しました。
個人でできる対策として斎藤氏は、▽普通のインフルエンザの予防接種を受けておく▽人ごみに行かない▽手洗いの励行▽死なないのでパニックにならない、などを挙げ、「普通のインフルエンザとみなして対応すること。過剰過ぎる対応は社会を疲弊させる」、と病気を正しく理解し、冷静に行動することの大切さを説きました。
なお、市と秋田県のインフルエンザへの対応についてはこちらでご確認ください。
(2009.11.9)