2011年04月17日
コンテンツ番号3845
川の匂いを確かめ旅立つ鮭の稚魚
(2011.4.17)
伊勢堂岱遺跡世界遺産登録推進サケ放流事業「カムバック・サーモン」が4月17日(日)、同遺跡近くを流れる湯車川で行われ、市民ら約70人が参加し鮭の稚魚約2万匹を放流しました。
この放流事業は、伊勢堂岱遺跡の世界遺産登録推進の一環で行われたもので、鮭の放流を通じて湯車川を鮭が遡上する川として環境保護を図り、同遺跡周辺を「カムバック・サーモン」の中心地になるよう目指し、合わせて同遺跡の世界遺産登録推進に重要な周辺環境の保存を目的に行われました。主催は、市教育委員会、鷹巣漁協、同遺跡ワーキンググループ。
開会式では、はじめに津谷市長が「この湯車川は、縄文時代から鮭が遡上していたと伝わっているようで、現在も鮭の遡上が確認されています。世界遺産に登録を進めている伊勢堂岱遺跡ですが、他の国指定遺跡を見ても、伊勢堂岱遺跡のように近くで鮭が遡上する川があることは極めて珍しく、今回はこのすばらしい文化遺産や自然環境を広く内外にアピールできる絶好の機会。この伊勢堂岱遺跡や湯車川は、今自分たちが作ったものではなく、縄文時代から昔の方々が守って今日まで引き継いでくれました。私たちは、豊かな自然環境や文化遺産を後生に引き継ぐ義務があるので、このことを噛みしめながら稚魚を放流し、数年後には大きくなった鮭が戻ってくるように、環境の保全と伊勢堂岱遺跡の世界遺産登録を目指していきたい」などとあいさつ。
つづいて、主催者である市教育委員会の三澤仁教育長は「この湯車川に遡上する鮭は、当時の縄文人にとって欠かせない食べ物であり、そして現在、我々も同じくサケを食べているので、そのつながりを感じます。今日は縄文人に思いを寄せて、皆さんで鮭を放流し、大きくなって戻って来いと見送ってやりましょう」などとあいさつ。
同じく、主催者で鷹巣漁協の湊屋啓二組合長は「この湯車川は、秋田県内水面漁場管理委員会で魚が育ち増えていくという認定のもと、鷹巣漁協で漁業権を設定している川。今日放流する鮭の稚魚は、2万匹以上。鮭の回帰率は、1%から3%と言われているので、200匹から600匹の鮭が約4年後の平成27年には帰ってくると思います。今日は子どもたちにも放流をお手伝いしてもらいますが、鮭が帰ってくる年を忘れないで見に来てほしい。また、市では伊勢堂岱遺跡の世界遺産登録推進と合わせ、この放流事業を毎年継続したいという意向なので、漁協としても全力で協力して、このすばらしい川に鮭が上ってきて、訪れる人の目を楽しませてくれ、また、縄文への思いを馳せる地域になることを期待します。そして、漁協はもちろんですが、地元小ヶ田の皆さんにも鮭の保護、河川の保全に協力いただき、みんなで鮭を育てていきたい」など述べ、協力を呼びかけました。
今回放流したのは、昨年の12月から今年の1月にかけて、藤里町の藤琴川鮭鱒生産者組合でふ化した体長約5の稚魚、約2万匹。
放流では、参加者が鮭の稚魚の入ったバケツを持って川岸に並び、「大きくなって帰ってくるんだよ」「元気に戻って来てね」などと声をかけながら、やさしく放流していました。放流された鮭の稚魚は、湯車川の匂いを確かめるように泳ぎ回り、湯車川の流れに乗って旅立っていきました。