2012年01月25日
コンテンツ番号1573
市の生活習慣病予防事業「第4回すこやか健康講座」が1月25日(水)、市保健センターで開かれ、市民約50人が歯周病予防について、専門家による講演に耳を傾け理解を深めました。
講座は、市民の生活習慣病予防を目的に開かれているもので、毎回テーマを変え今年度は5回の開催が予定されています。今回の講演会の演題は、「歯周病〜え?この病気 歯が原因?〜」。講師には、加賀谷歯科医院の加賀谷保院長を迎えました。
加賀谷氏は「25歳以上の8割の人が歯ぐきに異常があると言われています。そして、歯を失う一番の原因は歯周病(歯槽膿漏)です。歯周病は、歯を支えている周囲の組織の病気です。成人の半分以上の人が歯周病を有していて、40歳以上の人の歯を失う原因の80%が歯周病というデータがある」などと、歯周病の現状をスライドを使いながら説明。また、歯を家、歯周組織を家の土台として例え、家が壊れるのが虫歯で、土台が崩れていくのが歯周病などとわかりやくす説明しました。
加賀谷氏によると、歯周病の一番の原因は、歯垢(しこう=プラーク)で、その正体は何種類もの細菌のかたまり。歯垢1には1億個以上の細菌が存在していて、細菌は、歯と歯周組織のすき間である歯周ポケットに侵入し、細菌が出す毒素や酵素で歯周組織を溶かし歯周ポケットを深くし、歯を支えている骨も溶かしてしまい、更に歯周病が進むと歯は抜け落ちます。歯周病を発生させる他の要因として、肥満、喫煙、ストレス、遺伝、糖尿病などの持病、噛み合わせ、不適合な冠やつめものなどが原因になる場合もあるそうです。
歯周病は全身の様々な病気に関わっている事が報告されています。細菌の入った食べ物や唾液が誤って気管に入り肺炎を起こす「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」も歯周病菌が関わっていると言われています。65歳以上の主な死因別死原因(内閣府=平成23年度版高齢社会白書)では、肺炎の16%は、悪性腫瘍の40%、心疾患の23%に次いで多く、肺炎の中でも多くは誤嚥性肺炎が原因と言われ、口の中をきれいにすると、それだけ肺炎は防げる可能性があります。ある施設で、歯科衛生士が口の中の清掃をする口腔ケアを実施したところ、インフルエンザの発症率が、口腔ケアを実施したグループは実施しないグループの約10分の1であったという報告もあります。
歯周病が関わる病気の中には、細菌性心内膜炎というものもあります。これは、歯周ポケットの中の細菌が炎症を起こすと歯ぐきの血管が拡張し、口の中の細菌が血管の中に入り込み、静脈を通って細菌が心臓の内側の膜に付いて発症する病気で、心臓から細菌が動脈を通って全身に回り、様々な病気の原因になると言われています。また、よく耳にする動脈硬化は、コレステロールから取り込まれて作られる、アテロームという沈着物が血管を狭くするものですが、その動脈硬化を起こした血管から歯周病菌が見つかっています。動脈硬化が心臓の血管(冠動脈)で起こると狭心症や心筋梗塞につながることから、歯周病は心臓病のリスクを高めると言われて、その影響は、冠動脈疾患で1.5倍、心疾患による死亡で1.9倍、心筋梗塞の発作で2.8倍とされています。
そのほか、歯周病の影響が考えられる病気は、動脈硬化が頭で起きる脳梗塞や認知症、腎炎、高脂血症、骨粗しょう症、敗血症、早産、低体重児出産などがあります。歯周病は全身の重篤な病気に影響している可能性があると言われています。
また、糖尿病があると免疫力が落ちるので、歯周病を悪化させると言われ、逆に歯周病による慢性的な炎症があると、インスリンの働きをさまたげ高血糖につながり、糖尿病が治りにくくなるとされていますので、歯周病の治療をすると血糖値が下がると言われています。
加賀谷氏は「歯周病は万病のもと。歯周病を予防すれば重篤な病気の発症や進行を抑えることができる」と歯周病予防の重要性を強調しました。また、加賀谷氏は、いつまでも自分の歯をだいじにするため、▽規則正しい生活と食習慣、▽しっかりと正しい歯みがき、▽定期的な歯科健康診断の3つの歯周病予防のポイントを上げたほか、治療方法や噛むことの効用など事例を紹介し、歯周病予防の重要性を呼びかけていました。
次のすこやか健康講座は2月6日(月)、「高血圧」をテーマに、午後1時30分から北秋田市保健センターで開催されます。
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北秋田市健康推進課 電話0186-62-6666