2017年08月27日
コンテンツ番号9273
有事に備え本番さながらの訓練
(2017年8月27日)
平成29年度秋田県消防協会大館北秋田支部総合防災訓練が、8月27日(日)に鷹巣地区一円および北秋田市民病院で実施され、地域住民や消防団員、民間企業、関係団体など約400人が参加し、大規模火災防ぎょ訓練や避難所開設運営訓練などが本番さながらに行われました。
同訓練は、住民の防災意識の徹底・高揚や災害応急対策における広域的な相互連携による災害対応力の向上を通じた地域防災力の強化が求められているため、災害対応力の向上にむけて、住民の『自助』意識に基づく避難の徹底と『共助』による円滑な避難所設置・運営体制の構築、人命救助・被災者支援を迅速に行うための防災関係機関相互の『公助』の確立を図ることを目的としています。
この日の訓練は、午前8時59分に能代断層帯を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生。北秋田市では震度6強の強い揺れを観測し、鷹巣地区を中心に被害が発生したほか、道路、橋梁、通信、電気および水道等の公共施設、ライフラインにも甚大が被害が発生している模様。これにより、市は直ちに災害対策本部を設置するとともに、互いに連携を図りながら、各防災関係機関の協力を得て、情報収集、救助、救急救護および消火等の初動体制やライフラインの復旧、治安の維持などの災害対策を実施することを想定しました。
地震発生の放送とともに訓練が開始され、市役所本庁舎では、身の安全を守るため基本的な行動をとる「シャイクアウト訓練」を実施。職員は一斉にテーブルの下に身をかがめて自身の安全の確保に努めました。揺れが治まったこと確認し、直ちに災害対策本部が設置され、職員同士が連携し情報収集、救助、救急救護および消火の初動体制やライフラインの復旧と治安維持など、さまざまな被害の対応を想定した「災害対策本部図上訓練」を実施しました。
また、市役所周辺の花園町・宮前町・東横町・上横町では、地区一帯で火災が発生したことを想定した「大規模火災防ぎょ訓練」を実施。地区内の数カ所で火災が発生、火事ぶれ、通報、初期消火を行ったほか、ポンプ車やはしご車など15台の消防車が地区内に配置され、各消防団が連携してホースを延長し、水膜ホースから放水して延焼をくい止めたほか、複数の火点に一斉放水し、大規模火災を鎮圧しました。
消防団による消火活動と同時に、地域住民は一時避難所である米代児童公園に自主避難を開始。そのあと、市民ふれあいプラザの安全が確認されたことにより、災害対策本部が施設内に避難所を開設しました。避難所に移動した住民の皆さんは自治会ごとに、受付や情報掲示を行う総務班、施設内の管理を行う施設班、救護所の設置やけが人に対応する救護班、支援物資等に対応する食料・物資班など、それぞれ役割を分担し、住民が主体となった避難所運営を図りました。
さらに、多目的ホールの一角では住民が協力して、段ボールを組み合わせて避難者の居住スペースを確保し、支援物資の搬入を行ったほか、鷹巣日赤奉仕団による炊き出しなど、本番さながらの訓練を展開しました。
北秋田市民病院では、災害による来院患者および救急車の受入れ体制の確認をする「災害医療救護訓練」を実施。地震発生を想定し、はじめに院内災害対策本部を設置。受入れ体制の確認後、患者の受け入れを開始し、トリアージポストにて、運ばれてきた患者のけがの状況を確認したあと、重症度によって4色に分けられた各診療エリアに患者を振り分け、けがの処置を行いました。本番で落ち着いて行動できるよう、様々なけがを想定し、適切な処置の仕方や、ホワイトボードへ患者の情報のまとめ方を確認しました。
訓練後の閉会式では、統監を務めた津谷市長が「今回の訓練では、さらなる防災意識の向上を目的として、初期の安全を確保するシェイクアウト訓練や多数の傷病者に対応する災害医療救護訓練などを新しく加えるとともに、災害対策図上訓練と土砂災害救出訓練は、訓練の規模を拡大するなど、先に発生している災害の実態に即した訓練を実施した。いつどこで発生するか予測がつかない脅威から命を守るためには、日ごろからの備えと初期段階の対応が重要になってくる。訓練で学んだことを地域の中で生かして、地域全体でさらに防災意識を高めてもらいたい」などとあいさつ。
最後に北秋田市消防本部の中嶋誠消防長が「近年、火災や地震、洪水など全国的に大規模な災害が発生している。災害発生時は、迅速な対応ができる心構えと早めの避難が重要で、特に高齢の方や避難に支援が必要な方は、市が発令する避難準備情報に従い避難を開始してもらいたい。地震や台風、洪水などの災害はいつ起こるかわからない。テレビやラジオ、市が発令する災害情報に耳を傾けて、思い込みやデマに惑わされないようにしてほしい。この防災訓練が、皆さんの心強い備えになることを願っている」などと講評しました。