2025年01月15日
コンテンツ番号18313
農家の仕事始め、伝統行事で五穀豊穣を祈願
(2025年1月15日)
今年1年の農家の仕事始めと五穀豊穣を祈願する小正月伝統行事の「雪中田植え」(櫻井豊青年部長)が1月15日(水曜日)に大太鼓の館前で行われ、秋田たかのす農業協同組合(小笠原隆志代表理事組合長)と関係者が田の神にお神酒などを供えて豊作を祈願しました。
この「雪中田植え」は、農家が1年の仕事始めの儀式として六尺(1.8メートル)四方の水田に見立てた雪の田んぼを作り、稲わらや豆がらを束ねた「稲」を植え、1年の作柄、豊凶を占う民俗行事で庭田植えとも呼ばれています。
かつては、干ばつや台風などの邪気を祓い、神聖な田の神に五穀豊穣を祈る儀式として秋田県内でも古くから行われていて、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残しています。現在では北秋田市「綴子」のほか、県内でも限られた地域で伝承されているようです。
ここ綴子地区にも長く伝わる「雪中田植え」も一度途絶えましたが、昭和58年に稲作づくりに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎氏(綴子上町)によって復活されました。しかし、同61年に高橋氏が他界したことで、また途絶えてしまいましたが、同63年より地域の農業後継者となる旧綴子農業協同組合青年部がその遺志を受け継いで再復活させ、現在は秋田たかのす農業協同組合青年部が継承して今日に至っています。
この日の儀式を前に、櫻井青年部長は「本日は地域農業の発展を祈願し、農業を守っていくために、会場の皆さまと一緒に『雪中田植え』を行いたい」などとあいさつしました。
次に、小笠原代表理事組合長が「近年、自然災害など異常気象もあり大変な状況であるほか、海外に目を向けても紛争などが続き、何でも手に入ることができないことになりつつあり食糧も例外ではない。昨年、食糧・農業・農村基本法が25年ぶりに改正され、食糧の生産から安全保障、そのような問題の今年が元年となるため、農協としてもしっかりと取り組んでまいりたい。そして、これからの農業が魅力あるものにしていくためにも、行政とともに取り組んでまいりたい。地域の水・農地・環境を守るには、農家皆さんの努力も必要となる。地域で農業を営むことでこれらの環境が維持され、次世代に引き継ぐためにもよろしくお願いしたい。今年こそ災害もなく大豊作となることを祈念する」などとあいさつしました。
また、来賓の津谷市長が「年の初めに、田の神様に災害のない五穀豊穣を願う『雪中田植え』。物価高騰などの厳しい中、農家の方々は農業を維持しながら地域も守ってくれている。市としても、皆さまと一緒に地域農業を守っていくために努めてまいりたい。今年の出来秋が五穀豊穣と恵まれる素晴らしい1年となることを祈念する」などと祝辞を述べました。
続いて儀式に移り、同青年部の亀山春樹さんが田植え人を務め、けら、菅笠姿の昔ながらの装いで、約30センチ間隔で4条4株ずつ計16束の「苗」を丁寧に植え付けました。
田植えを終えた後、虫除け(病害虫防除)のためにスス払いのワラほうきで雪田をお祓いし、田の目印としてそのワラほ
きを雪田の中心に逆さに立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒などを供え、参加者全員が豊作と米価の上昇などを祈願しました。
来月2月1日(土曜日)には、作占いとなる「雪中稲刈り」が同所で行われる予定となっていて、その際に稲が直立していれば実が入らない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏のそれぞれ凶作を意味します。また、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作など、1年のお告げが出るとされています。
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あいさつする櫻井青年部長 -
あいさつする小笠原代表理事組合長 -
祝辞を述べる津谷市長 -
「雪中田植え」に参加した皆さん -
「田植え人」を務めた亀山さん -
昔ながらの装いで丁寧に植え付け