2023年04月17日
コンテンツ番号15751
伊勢堂岱遺跡の認知度向上と見学環境の充実へ
(2023年4月17日)
世界遺産「伊勢堂岱遺跡のXR化」事業で北秋田市と大日本印刷株式会社とで進めていた最新のデジタル技術による鑑賞システムの公開が、一般公開前の4月17日(月曜日)に伊勢堂岱縄文館で報道関係者等を対象に行われました。
この「伊勢堂岱遺跡VR化事業」は、同遺跡をリアルとバーチャルを融合したXR(Extended Reality)で体験できる鑑賞システムとして、年間を通して伊勢堂岱遺跡の魅力を国内外に発信し、国内外から北秋田市への来訪を促し地域活性化を目指すとしています。
このXR化事業導入の背景として、北秋田市は国内有数の豪雪地帯であり、環状列石を積雪から守るために冬季の遺跡を公開していないことなどが課題となっていました。そこで、国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用したこの事業により、オンラインでいつでも・どこからでも「伊勢堂岱遺跡」の魅力に触れられる「新しい文化体験」を提供できるとして、文化遺産を適切な状態で維持しながら、鑑賞や学術的な活用のための公開を両立させるものです。
この日に行われた合同記者発表会で、津谷市長は「令和3年7月にユネスコ世界文化遺産に登録されてから2年を迎えようとしている。この間、コロナ禍の中であっても多くの方々が見学に訪れていただき、遺跡の価値や魅力を知っていただくための様々なイベントなどを開催することで、遺跡の認知度向上に努めてきた。一方で、対面でのガイドがしづらくなったことや、冬期間の遺跡見学ができないという課題も抱えていた。このようなことから、北秋田市では伊勢堂岱遺跡のXR化事業に取り組み、遺跡や出土品のデジタル化を行い、ホームページや伊勢堂岱縄文館内のタッチパネルモニターから閲覧できるようにした。小さい出土品もまるで手に取るように見ることができ、私もとても感激している。そして、ガイドの皆さんからも喜びの声があった。伊勢堂岱遺跡のさらなる認知度向上と見学環境の充実が図られるものと期待している。今後とも市民と行政が一体となって、貴重な遺跡をしっかり保存し、地域ににぎわいを創出できるよう活用に取り組んでまいりたい」などとあいさつしました。
続いて、市教育委員会生涯学習課世界遺産推進係の榎本剛治係長が「世界遺産『伊勢堂岱遺跡のXR化』事業について」、大日本印刷株式会社マーケティング本部の池尾和彦副本部長と株式会社DNPプランニングネットワーク ソーシャルビジネス推進部の飯室大輔部長が「XRを活用した『新しい文化体験』・地域活性化の取り組みについて」として、それぞれ説明しました。
【XRを活用した「新しい文化体験」の特徴】
3D鑑賞システム〔みどころビューアⓇ〕…希少な土偶たちを手に取れるように3D(3次元)で鑑賞
出土品の質感や細かい文様を高精細デジタルアーカイブ技術で再現。「伊勢堂岱縄文館」で利用者自身が操作して、さまざまな角度で出土品の細部まで鑑賞することができます。
2D鑑賞システム〔みどころキューブⓇ〕…個性的な出土品同士の関係性や特徴を学ぶ
画面上のキューブ型のインターフェースを操作して、多くの出土品が発見された場所・深さを見ることができます。出土品同士の位置的なつながりや積み重ねられた歴史が視覚的に感じられます。画面上で出土品を選択することで、詳しい解説を閲覧できます。
※本システムは、オンラインでもご利用いただけます。
360°VR鑑賞システム〔バーチャル散策〕…4つの環状列石を360度のVR空間で巡る
スマートフォンやパソコンで操作して、遺跡巡りを体験できます。実際の遺跡には景観に配慮して説明看板がありませんが、当システムの画面上には各種情報が表示され、遺跡の特徴をより深く理解できます。ドローンで撮影した映像で、遺跡の規模や4つの環状列石が並ぶ珍しい様子も一望できます。
※本システムは、オンラインでもご利用いただけます。
【関連する施策】
子どもも大人も楽しめる土偶のペーパークラフト
縄文の人々が暮らす中でつくりだした土偶の独創的な造形をペーパークラフトにしました。あらゆる年代の人々が気軽に楽しみながら、文化財である土偶の魅力に触れることができます。このペーパークラフトは伊勢堂岱縄文館のミュージアムショップで販売するほか、同館での体験型プログラムとして活用します。また、学校での郷土授業や生涯学習などでの利用も提案していきます。
令和5年度の伊勢堂岱遺跡の公開は、4月22日(土曜日)から10月31日(火曜日)の期間で、公開時間は9時から16時30分までとしています。
また、同遺跡ジュニアボランティアガイドは、4月29日(土曜日)と30日(日曜日)、5月3日(水曜日)から5日(金曜日)の5日間行い、午前の部は10時から12時、午後の部は13時から15時までとなります。
たくさんのご来場をお待ちしています。