2023年04月01日
コンテンツ番号15704
縄文の里への遡上を願い、サケの稚魚を放流
(2023年4月1日)
伊勢堂岱遺跡世界遺産登録推進サケ放流事業の「第13回カムバック縄文サーモン」が、4月1日(土曜日)に世界文化遺産・国指定遺跡「伊勢堂岱遺跡」の下を流れる湯車川で行われ、市民約60人が参加して、サケの稚魚約2万3,000匹を放流しました。
この放流事業は、「伊勢堂岱遺跡」の世界遺産登録推進の一環として、同遺跡の一般公開前の毎年この時期に行われ、平成23年から始まり今回で13回目を迎えました。
かつて縄文人も遡上したサケを食料として活用していたと考えられており、湯車川をサケが遡上するふるさとの川の環境保護を図りながら、遺跡周辺を「カムバック縄文サーモン」の中心地として、世界遺産登録の推進に大きく貢献することを目的に、市教育委員会が主催、伊勢堂岱遺跡ワーキンググループ(佐藤要代表)、鷹巣漁業協同組合(湊屋啓二組合長)の共催で行われてきています。
この日の放流事業には、ワーキンググループ、ボランティアガイド、ジュニアボランティアガイド、地元自治会、一般市民など約60人が参加しました。
「伊勢堂岱縄文館」で行われた開会式では、主催者を代表して津谷市長が「空港、高速道路が近く、そしてサケがのぼってくる豊かな環境の伊勢堂岱遺跡があることは、北秋田市民にとっても大きな誇りである。このカムバック縄文サーモンの事業を通じて、参加した皆さんにこの日のことを覚えていてもらいたい。今後も地域全体で遺跡の保存、活用、発信などに取り組んでまいりたい。今日は素晴らしい放流にしましょう」などとあいさつしました。
続いて、同遺跡ワーキンググループの佐藤代表が「この時期、進学や就職などで地域を離れる方が多いと思うが、放流したサケのように大きくなってこの地域に帰ってきてもらえたらありがたい」などとあいさつを述べました。
このあと、昨年遡上したサケの映像が流され、最後に鷹巣漁業協同組合の湊屋組合長が「男鹿市から平均6.5センチほどのサケの稚魚を運んできた。今回放流すると、平均4年後、約4、5キログラムで70センチほどに成長したサケがこの湯車川に戻ってくる。回帰率は0.7パーセントくらいといわれているため、2万3,000匹となると160匹から230匹くらいが戻ってくると思われる。厳しい環境の中で海を回遊し戻ってくるというすごい魚であり、縄文人も毎年このサケを貴重な食料として食していたと思われる」などとサケの成長についてなどの説明と諸注意を交えてあいさつを述べました。
参加者は、事業スタッフから稚魚をバケツに小分けしてもらい、津谷市長とともに放流したあと、元気に湯車川を泳ぐ稚魚の姿を見守りました。
近年では、放流事業の継続効果もあり、10月中旬から11月上旬ころに体長約70センチのサケの遡上が確認されており、昨年も約4年前に放流したと思われる複数匹の遡上したサケが地域住民や来訪者を楽しませています。