2006年02月25日
コンテンツ番号11042
「人の心のあたたかさ」 鷹巣東小学校5年 高橋佳那子さん
私の父は、左足をけがして、秋まで入院をしていました。ギプスをしていたので足をつくことができず、松葉づえを使っていま した。
病室には、病気のため足を切断した人、うでを手術した人、父 と同様に松葉づえの人、車いすの人がいました。自分で食事を運 ぶことが大変そうでしたが、食事の時間になると、その人たちのためにまわりの人たちがいろいろ手伝ってあげていました。入院 してきたばかりの人にも、みんなで声をかけて手伝ってあげていました。同じかん者さんではあっても、動ける人が、体の自由がきかない人のためにやさしくしてあげている。そんな様子を見て、何だか心がぽかぽかとあたたかくなりました。
母にこのことを話すと、母は、「まわりの人たちはあたり前のこ と、ふつうのこととしてやってあげているから、見ていて心がぽ かぽかになったんじゃないのかなあ。」と言いました。その言葉を聞いて、「人にやさしくできること」は人としてあたり前のことで、特別なことじゃないんだと思いました。相手を思いやる気持ちを あたり前のこととして行動に表すから、相手にもそのやさしさが伝わるのでしょう。そして、やさしさをもらった人は「ありがと う」の気持ちを言葉や笑顔で伝えるから、病室の中があたたかくなるんだと思います。
ホタルたちは、羽がちぢんでいるからとか飛べないからとばかにしたり、仲間はずれにしたりしないで応えんしてあげます。つかまりそうになった仲間の身代わりにまでなります。仲間を大切にするという気持ちがいっぱいでした。男の子たちも同じです。足のきかないひろちゃんのためにホタルを見せてあげようとする気持ち、人を思う気持ちがいっぱいでした。ひろちゃんのためににげることもわすれて、一生けん命光ってあげるホタルもそうです。ホタルが放った光のようにやさしい心が静かに、そして強く広がっているような気がしました。
やさしさとは、一方通行ではないと思います。たがいに思いやる気持ちがあれば、やさしさは輪になって広がっていくのです。 やさしさの輪がどんどん大きくなって、世界に広がれば、きっと戦争がなくなり、みんなが協力し、助け合って生きていけると思 います。
私は、あたり前のこと、ふつうのこととして、人にやさしくで きる人になりたい。そして、やさしさや思いやりの輪を身近なと ころからどんどん広げていける人になりたいです。その輪が、やがては世界の人々の心でと切れず、大きくつながってほしいと思 います
【講評】
「とべないホタル」を読んで感じた、互いに思いやる気持ちや心のあたたかさを、お父さんの入院中に見た光景と重ね合わせて書き表しているすばらしい作品です。やさしい気持ちが世界に広がることを思う佳那子さんの気持ちを、これからも大切に持ち続けていってほしいと思います。