2009年05月08日
コンテンツ番号10758
平成21年5月8日
北秋田市長 津谷 永光
本日ここに、平成21年北秋田市議会第2回臨時会の開催にあたり、議員各位に敬意を表しますとともに、市政を担当するにあたって私の所信の一端を申し述べ、議員並びに市民のみなさまのご理解とご協力をいただきたいと思います。
私は去る4月12日に行なわれた市長選挙において、市民有権者の厳粛な信託を受け、第2代北秋田市長として、市政運営の重責を担うことになりました。
市長就任後、市民のみなさまはもちろんのこと、市外の方々や秋田県外の方々からも励ましの声をいただくなど、改めてその責任の重さを感じております。一方、愛するこの北秋田市をより一層明るく元気な住みよいまちにする、そしてそのすばらしいまちを次世代の子どもたちに引き継ぐ、という重大な仕事に自分が関われる喜びを感じながら、まずは行動することを旨として走り始めている状況であります。
私は、今回の選挙で『市民が主役、力強さと優しさあふれる希望のまち北秋田市』そして、『元気を出そう北秋田市』と訴えてきたわけですが、私がみなさまにお約束をする北秋田市のまちづくりに向けた5つの基本政策について、その決意と考えを述べさせていただきます。
1点目は、『行財政改革の推進と財政の健全化』です。
市は依然として財政の硬直化が解消しておらず、大変きびしい状態が続いております。
将来にわたって健全な財政を維持し、持続可能な地域社会を構築するためには、行財政改革をより一層推進していくことが必要です。旧4町時代からの事業を含め既存の施策を再検討し、常にコスト意識を持って徹底的にムリ・ムダを排除しながら財源を確保し、優先度の高い事業から実施することで次の世代にツケをまわさない行政運営を進めてまいります。
そのためにも、事業や政策に対する評価制度の導入や、事業の経済性・有効性・投資効果などを検証して市政に反映させる仕組みの構築を推進してまいります。
職員の大量退職がつづくなか、権限委譲などで市役所業務がいままで以上に増大することが予想されますが、機構改革の効果を検証し、スピード感ある住民サービスの提供と行政のスリム化を目指してまいります。
さらに、議会を始め市民に対し、徹底した情報の公開と分かりやすい説明をおこなって情報の共有化を図り、市民の不安払拭と課題解決に努めてまいります。
2点目は、『地域医療と福祉の充実』です。
市民病院に関して申しますと、10月1日開院のスケジュールまでわずか5カ月に迫った現在、「基本協定書の締結」という最も重要な案件が未解決のままであり、議員各位には多大なるご心配をおかけしているところです。
私は、できる限り早い時期に指定管理者である厚生連と話し合いを持って円満に解決したい考えであり、精力的に交渉を継続してまいります。
現在、計画内容などを精査しておりますが、市民の生命と健康を守るための自治体の責任と公費負担のあり方ということも視野に入れて、指定管理者としての厚生連に対し経営努力を強く求めてまいります。進行状況等につきましては適宜議会に説明の機会を設けたいと考えておりますので議員各位の特段のご協力をお願いする次第であります。
市民が安心して質の高い医療サービスが受けられる環境づくりは最も重要であり、市民病院を核とした、阿仁・米内沢病院、合川診療所との連携による経営の効率化や、大館北秋医師会並びに開業医との協力体制を強化しながら、北東北エリアの医療ネットワークを構築して医師派遣の支援体制を整えるなど、医療サービスの充実を図るとともに、継続して国・県・大学等に医師の派遣を要請してまいります。
障がい者や高齢者への手厚い行政サービスは必要でありますが、いわゆるハコモノを作るだけが福祉ではなく、ヘルパーや福祉サービスを提供する担い手への処遇改善や、家庭内で介護支援を続けている家族への行政からの支えが必要であると考えます。
そのため、障がい者・高齢者と、支え手家族に優しい福祉の充実を図ります。
また、予防医療という考えから、よりきめ細かく健診の必要性を周知して受診の促進を図り、「自分たちの健康は自分たちで守る」といった市民の意識を定着させるよう、地域に根付いた健康づくり体制を整えます。
3点目は、『日常生活の安全安心対策』です。
いつまでも安心して暮らし続けていくことは全ての北秋田市民の願いです。その願いを実現するために、市民がたがいに優しく支えあい、楽しく、安心して、いきいきと暮らせるような、地域で支えあう社会をつくってまいります。
市民が、自分でできるものはできるだけ自分で頑張ってもらうという、自主努力の「自助」、どうしても一人では無理だと、そういうところは地域や周りで共に助け合うという「共助」、そして、そのように必死に努力して生きている市民に行政が優しく手を差し伸べるという「公助」の仕組みをしっかりと構築してまいります。
特に、高齢化の進展が早いと言われる北秋田市であるからこそ、ご高齢の方々と私たち子どもや孫の世代が、一緒に暮らし、一緒に長生きを祝っていく土壌をつくり、みんながともに優しく支えあえる、そんな文化を全国に発信してまいります。
その上で、高齢者が生きがいを感じながら自立した生活を送れるような安全・安心の暮らしを守るよう最大限の努力をいたします。
内陸線につきましては、県と北秋田市・仙北市が協調しながら存続の方向性が打ち出されたわけですが、内陸線の利活用はもちろんのこと、内陸線の駅と病院や商業施設などへの二次アクセスをどうするのか、交通弱者の生活の足をどうするのか、ということを最も重要な施策と位置付け、地域ごとに、路線バス、市内循環バス、乗合タクシー、ボランティア移送サービスなど、地域の実情に沿った交通政策を、地域の方々のお知恵をいただきながら取り組んでまいります。
また、平成19年の豪雨は当地域に大きな被害をもたらしました。この災害を通じて、地域住民と行政が一体となって、状況を的確に把握し、迅速な応急対策を実施するための初動体制を確立することがいかに重要であるかを、改めて強く認識させられたところです。
そのため、「災害に強いまちづくり」を推進してまいります。
「新型インフルエンザ」が世界的流行の兆しを見せておりますが、「対策連絡室」を設置して市民の電話相談等の窓口を設け、迅速な対応を図っております。「危機管理」の面からも今後の動向に注視してまいります。
4点目は、『産業の活性化』です。
北秋田市の基幹産業は農林業であり、農林業の活性化が地域の活性化、ひいては地域の発展につながるものと考えます。農林業の活性化とともに二次産業、三次産業をともに発展させる、いわゆる六次産業の育成に取り組んでまいります。歴史文化と豊かな自然を活かした環境と健康志向の観光立市を目指すとともに、生産、加工、販売、情報をトータルした総合産業を創出して地域産業の活性化と誘客による地元商店街のにぎわいづくりに取り組んでまいります。
また、食品の産地偽装問題などで「食の安全」については消費者も高い関心を持っており、地元食材による地産地消はこれからも広がりが期待されます。それが地元商店からの購買促進へとつながるものと考えます。
北秋田市版一村一品運動とでも言うべき「おらほの自慢、きらりと光る地域づくり」運動の推進を提唱いたします。そのため、トップセールスによる販路の開拓にも積極的に取り組んでまいります。
林業では、市の面積の80%以上を占める9万7千㌶もの広大な森林資源を活用した「バイオマスタウン構想」による関連産業の創出と企業の誘致に取り組みます。
地球温暖化防止対策の重要性を強く認識し、環境を重視した循環型社会の形成にも大きく貢献するものだと考えます。廃棄物として捨てられていた端材や未利用であった林地残材などの利用で地元産業の支援にもつながるものであります。
「スキー場」の問題につきましても、議員各位にはご心配をおかけしているところですが、ゴンドラがなくなると観光ルートや内陸線にも大きな影響がでてまいります。県の考えも聞きながら対応を検討し、適宜、議会にご説明いたしたいと考えております。
5点目は、『人材の育成』です。
今日、少子化が社会的な問題となっておりますが、将来にわたる本市の発展と次世代を担う人材の育成、また、そのための環境づくりが必要であると考えております。
子どもは地域の『宝』です。安心して子どもを生み育てる環境づくりを目指すとともに、すこやか子育て支援事業などの福祉サービスの充実や、地域における多様な子育てサービスの充実など、家庭・地域・学校の連携による人材育成を図ります。心豊かでたくましく生きる力を身に付け、郷土の発展を支えていく人材の育成に努めてまいります。
また、教育を語らずして、子育てを語ることはできません。北秋田市がこれまで培ってきた教育力を、ハード・ソフト両面から、さらに伸ばしていくことが重要です。子どもが多くを学び、吸収し、その可能性を未来へ限りなく広げていく、そうした大切な時期を過ごす就学環境の整備に力を入れていきたいと考えています。さらに、校舎や教育施設のグレードアップなどハード面での整備も促進してまいります。
どんなに素晴らしい夢を語っても、実行力がなければまったく意味がありません。市役所に必要なのは信頼感と実行力だと考えます。
市民のために働く「やる気と元気」のある職員の育成とともに行財政改革を進めてまいります。その上で、市民の声が市政に反映されるシステムづくりなど、アイデアを練りながら施策を講じてまいります。
以上、5つの基本政策を述べさせていただきました。
私は、この5つの基本政策に力を注いでいくことが、『力強さと優しさあふれる希望のまち北秋田市』としていくために必要だと考えています。
私自身、ご信任いただいた北秋田市のトップリーダーとして、基本政策に強い信念とこだわりを持ち、常にぶれることなく方向性を指し示し、かつ、自らも全力で知恵を絞っていくことを、ここにお約束させていただきます。
加えて、今後、更なる具体策を練り上げていくためにも、職員はもちろんのこと、ぜひとも、議会のみなさま方をはじめ、市政に携わる幅広い関係者の方々、そして、市民のみなさまのお知恵とお力添えをいただきますよう重ねてお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。