2017年08月02日
コンテンツ番号3696
翻訳アプリで外国人からの救急要請にも対応
多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」を使用した救急想定訓練が、8月2日(水)に消防本部で行われ、各分署の救急隊員約20人が参加し、外国人の救急事案を想定した訓練が行われました。
救急ボイストラは、国立研究開発法人 情報通信研究機構が開発した多言語音声アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」をベースとして、救急現場で使用頻度の高い会話内容を定型文として登録し、外国語による音声と画面の文字により、円滑なコミュニケーションを図ることが可能なものです。また、定型文以外の会話でも、音声翻訳が可能になっています。さらに、話した言葉が日本語文字としても表記されることから、聴覚障碍者などとのコミュニケーションにも活用が可能です。英語や中国語、韓国語をはじめ15言語に対応しています。
この度、北秋田市消防本部では、外国人観光客の増加に伴い、救急要請に備えるため導入し、各分署の救急隊5隊すべてに配置したものです。
この日の救急想定訓練では、はじめに中嶋誠消防長が「消防庁より、救急ボイストラを全国の消防本部に配置するとの通知を受けた。これに合わせ、当本部としても、市の観光振興事業の展開に合わせて、インバウンド対策として取り組むことになった。これまで外国人の救急搬送歴は数例しかなかったが、その対応では言葉の壁があり苦慮した経験がある。この度のタブレットを使用した救急ボイストラは、この問題を解決できるものと期待している。はじめての取り組みであることから、運用について外国語が堪能な2人の講師に協力してもらい、対象となる外国人から見た場合の意見も伺い検証しながら運用開始を図りたい」などとあいさつを述べました。
講師は、市教育委員会学校教育課のロバート・ショーン・コリガン JETプログラムコーディネータと韓国語が堪能な市商工観光課の奈良田鮎子主任。このうち、英語の定型文を使った訓練では、市内の縫製工場で外国人労働者が就業中に倒れたことを想定。現地に到着した救急隊が、ショーンさんにボイストラの日本語の定型文を英語に変換し、年齢や症状、既往歴などを質問。ショーンさんがタブレットに英語で回答した日本語訳をもとに、血圧測定などの救急処置にあたりました。
訓練を終え、講師からは「質問文では、Yes.Noを選択できるが、質問ではない文章もあり、それに対してYes,Noを求められるため戸惑う」「文法がしっかりした言葉は正確に伝わるが、話言葉だと精度が若干落ちるような気がする。単語でも十分会話は成り立つと思う」などの意見がありました。
また、隊員からは「最初の接触のときに日本語で自己紹介して、すぐに処置を始めたので、ショーンさんがびっくりされていた。タブレットに頼らず、自分たちが救急隊であることを英語で説明する必要がある」「血圧を測るなど身体に触れるときは、十分な説明をして不安を解消してあげることが必要」「救急隊は現在3人で対応しているが、タブレットを操作する隊員が余分に必要になる。通報時に外国人とわかる場合は4人の対応が必要ではないか」などの改善点が出されました。