2017年06月11日
コンテンツ番号3646
勇壮、優雅な舞で詰めかけた観客を魅了
国重要無形民俗文化財に指定されている民俗芸能「根子番楽」の特別公演が、6月11日(日)に阿仁根子の番楽伝承館で行われました。根子番楽保存会(佐藤昭夫会長)が勇壮、優雅な舞を披露し、詰めかけた観客を魅了しました。
「番楽」とは山伏神楽の一種で、かつて修験道の山伏たちによって行われていた神楽です。11月から正月にかけて、山伏たちが権現の獅子頭をまわして村々を巡り歩き、息災延命、悪魔祓いの祈祷を行っていた時に、その宿泊先の民家等で古風な舞を演じたものとされており、東北地方に分布し、日本海側で「番楽」、太平洋側では「山伏神楽」「権現舞」などと呼ばれています。
根子番楽は古くから同地区に伝えられ、現在は根子番楽保存会や子ども会によって保存・継承されている民俗芸能。古来の神楽や能楽に起源を持つともいわれ、歴史的・芸術的に価値の高いことから、昭和39年(11月17日)には秋田県無形民俗文化財に、平成16年(2月8日)には国重要無形民俗文化財に指定されています。
特に、歌詞の内容が文学的に優れていることと、舞の形式が能楽の先駆を成す幸若舞以前のものであることが賞賛されており、舞はテンポの速いリズミカルな囃子に合わせて舞う勇壮活発な武士舞と、古雅で静かなリズムが特徴の古典的舞の二つに大別されています。
根子番楽は、毎年8月14日のお盆と、9月12日(現在は9月12日に近い日曜日)の根子神社祭典の際に根子番楽保存会により公開されていましたが、定期公演以外に公演の機会を設け、多くの人に鑑賞してもらおうと、昨年から根子番楽後援会(佐藤恭一代表)が特別公演を6月と10月に開催しています。
この日の特別公演には、同地区の住民のほか、市内外から郷土芸能ファンが大勢訪れ、会場は200人余りの観客で埋まりました。
開演は午後1時。演目前の口上のあと、舞台の両脇に控えた笛と太鼓、鉦などの軽快なお囃子に乗って小学生による舞「露払い」から始まりました。このあとは、能のように面を付けた演じ手が天地長久を祈って舞う「翁舞」、狂言のようにコミカルなしぐさの「三番叟」、牛若と天狗の兵法比べを表すという勇壮活発な「鞍馬」など、この日は9演目が次々と披露され、観客は独特の小気味よいテンポで演じられる舞の数々に惜しみない拍手を送っていました。