2017年04月30日
コンテンツ番号3590
引き継がれる縄文人の心
市民ふれあいプラザコムコムと伊勢堂岱縄文館の開館1周年記念事業「考える縄文」が、4月30日(日)に市民ふれあいプラザで行われ、市民ら約350人が縄文時代をテーマにした、記念対談や演舞で縄文文化への理解を深めました。
市民ふれあいプラザコムコムは、生涯学習、芸術文化、子育て、産業観光などの多様な機能を集積し、中心市街地の活性化と市民交流の推進を図り、地域の新たな活力創造とにぎわいの創出を目的として、昨年4月30日に開館しました。また、伊勢堂岱縄文館は、史跡伊勢堂岱遺跡の保存と活用を図り、教育、学術および文化の発展に資するため、昨年4月23日に開館しました。
開会にあたり、津谷市長が「昨日までにコムコムには25万5618人、縄文館には1万650人の方々に来館してもらった。皆さんのおかげで、たいへんすばらしいスタートを切ることができた。両施設とも、地域の活性化や地方創生という重要な役割を担うものであり、将来にわたり、市民の皆さんに愛される施設になるよう育てていきたい」などあいさつを述べました。
続いて、縄文館で来館者のために上映しているガイダンス映像に出演している「桜月流美劔道(おうげつりゅうみつるぎどう)」が芸能神事の歌舞とヤマト言葉を融合させ、縄文遺跡で奉納する独自の舞「縄文ツルギサイ」の演舞を披露し、幻想的で華麗な舞で大勢の市民らを魅了しました。
このあと、同じく縄文館で上映しているガイダンス映像を監修した、国学院大学名誉教授の小林達雄さんと、映像のナレーションを担当した元NHKエグゼクティプアナウンサーの加賀美幸子さんが「考える縄文」をテーマに記念対談を行いました。
小林さんは「縄文時代は、一つの枠組みで1万年以上も続いた文化。縄文人たちは、自然といつまでも仲よくする生活スタイルを選択した」とし、縄文人の生活様式や食文化などを解説。また、縄文土器は器として作られたものだが、その機能として不要な文様や突起物などの装飾が見られることは、ほかの時代にないことを指摘し「縄文土器の文様や突起物は、飾っているのではなく、物語性の文様と考えられる。縄文人が内に秘めている思いのたけを土器に表現している」などと述べ、最後に「縄文人の自然との共存共栄、共感共鳴する文化や気持ちは脈々と引き継がれ、今でもすべての日本人の心の中に残っている」と話しました。
加賀美さんは、小林さんの話を聞き「縄文人は、自然の中の生活や文化を大切にして過ごすことが、思想や哲学であり心だった。自然と対話し続けた文化的な遺伝子を感じる」と応じました。