2017年01月10日
コンテンツ番号3546
学習指導の取り組みを発表
平成28年度北秋田市教育センター所員発表会・教育講演会が、1月10日(火)に文化会館で行われ、教育関係者など約250人が参加して各学校での学習の取り組みや講演を聴き、効果的な学習指導などを学びました。
北秋田市教育センター(佐々木馨・所長)は、北秋田市の教育に関する調査研究や教職員の研修により教育振興を図ることを目的として設置されており、北秋田市立学校及び教育委員会事務局関係の全職員が所員となり組織しています。
この日の所員発表会は、当センター事業の一環として毎年行われているもので、各校での実践事例などを発表し、互いの教育活動に役立てることを目的に実施されてます。
開会行事では、はじめに佐々木所長が「今の小学生の多くは2100年まで生きる。複雑で変化の激しい社会で、教育現場こそが将来を予測して常に変化しなければならないと感じている。2100年でも変わらない教育の不変な部分と、時を追って変わっていく社会に対応し、何が不変で何が変わるのかを見定めていく目が大切になってくる。本日の所員発表と講演会では、よい学び、未来の学びにつながるヒントを発見し、自らの教育実践を振り返る好機となることを期待している」などとあいさつ。
続いて、来賓の津谷市長が、子どもたちの地域活動や部活動、文化活動の成果を挙げ「子どもたちのふるさと文化の発信や地域との交流の場が広がったと感じている。これは、地域の特色をとらえながら、職務にあたっている先生方の熱心な指導のおかげと考えており、今後もふるさと北秋田を愛し、将来の北秋田や日本を担っていく子どもたちの育成と、地域とともに歩む学校を目指して取り組んでもらいたい」などとさらなる教育活動の充実に期待を寄せました。
このあと所員発表が行われ、阿仁中学校の櫻井真紀子教諭、上小阿仁小中学校の細田智子栄養教諭、鷹巣小学校の五代儀基教諭が、それぞれの学校での取り組みや体験談などについて発表しました。
このうち、阿仁中学校の櫻井教諭は「ふるさと売り込み大作戦」と題して発表。3年生がこれまで行ってきた「職場体験学習や福祉体験学習、ふるさと探検学習などを踏まえた総合的な学習の集大成として、阿仁の特産品を販売する体験をとおして、ふるさとをよく知り愛する心を養うこと、自分の適性や将来の職業について考える機会とすることを学習のねらいとして、修学旅行の最終日に東京で、阿仁の特産品の販売を体験するプロジェクトを立ち上げた」などと学習の内容を紹介しました。
「東京で特産品を売る」と話したとき、生徒たちの最初の疑問は「何を売るの」でした。「阿仁の特産品は」と問いかけ、販売可能な商品を提案し話し合う中で、新たな商品のアイデアが出され検討した結果、テレビでも紹介された『マタギの里バター餅』、ナツハゼ・マルメロ・リンゴの『手作りジャム』、秋田杉で作った『くまの箸置き』、棚田に訪問したグループが提案した『棚田米』の4つ販売商品が決まり、東京都板橋区のパッピーロード大山商店街のイベント会場で販売することを計画しました。また「東京で阿仁の特産品を売る」という課題に対して、生徒たちの疑問は「どうやって売るの。どうすれば売れるの」でした。商品を販売するにあたり、商品知識や売り込み方をプロから学ぶ機会を提案し「秋田を発信するプロに学ぶ集会」を開催。講師の地元すずき農産の鈴木豊さんやくまのたいら企画の大穂耕一郎さん、秋田内陸線アテンダントの加賀谷美由樹さんから、商品知識や販売のコツなどを具体的に教えてもらいました。さらに市役所からは、観光ポスターやのぼり、法被、観光パンフレットなどの販売促進グッズを調達しました。
販売当日は、午前8時45分に店舗に集合し、市の観光ポスターを貼ったり、商品の効果的な陳列方法を工夫したり、棚田米の小分けをしたりなど「阿仁中ショップ」の開店準備をして、午前10時に開店。「笑顔、明るい声、自然な感じで、キャッチコピー」など講師から学んだ商品PRを実践して販売しました。販売チームは「初めは緊張したけど、お客さんに質問されたりして話が弾み楽しくなった」とうれしそうに話していました。商品は2時間30分でほぼ完売し、生徒たちは大興奮で達成感にあふれていました。
最後に櫻井教諭は「ふるさと売り込み大作戦は、生徒全員でつくり上げたミュージカルのようなものと考えている。大山商店街という舞台で特産品を販売する。この成功のために生徒の主体性、想像力、チームワークが大いに発揮された。何よりも、この実践をとおして、ふるさとを愛するたくさんの人に出会い、ふるさとのために頑張っているたくさんの人の思いに触れたことが、とても貴重な体験だったと感じている。生徒が今回学んだことを、今後の自分の人生につなげ、ふるさとを愛しながら生きていってほしいと願っている」などと述べました。
また、所員発表のあとには教育講演会が行われ、名城大学大学院 大学・学校づくり研究科教授の曽山和彦氏が「教室でできる特別支援教育」と題して講演。参加者は、所員の発表や講演に熱心に耳を傾けながら、今後の学習指導に役立てようと要点を資料に書き込んでいました。