2018年10月25日
コンテンツ番号3463
樺細工棚を長岐邸に展示
(2018年10月25日)
第5代鷹巣農林高等学校長である柘植六郎(つげろくろう)氏が所有していた樺細工棚が、10月25日(木)に市役所で河田弘美さんから北秋田市に寄贈されました。
今回寄贈された樺細工棚は、柘植氏の孫にあたる奈良大学文学部国文学科教授の上野誠さんから、旧鷹巣農林高校同窓会の河田弘美事務局長に今年の春に届けられ、郡立農林高校(旧鷹巣農林高校)の誘致や畜産業、産業振興に多大な功績を残した長岐貞治氏ゆかりの市指定文化財である「長岐邸」で展示されることになりました。
この棚は、柘植氏が鷹巣農林高等学校の退職記念に教員および生徒から贈られたものです。柘植氏亡き後、柘植氏のご子息の上野康正氏が引継ぎ、昨年91歳で逝去された御母堂が管理していましたが、家じまいの際に、鷹巣農林高校ゆかりの品として河田さんに届けられました。
棚の大きさは、縦49センチ、横62センチ、奥行き27センチ。伝統的な技法によるヤマザクラの樺(桜皮)細工で、茶筒や文箱など比較的小さいものが一般的ですが、ふんだんに桜皮が使用された大きな作品は珍しく、貴重なものです。
この日市役所を訪れた河田さんは津谷市長に棚の経緯などを説明しながら「柘植氏が鷹巣農林高校に在職していた時が一番楽しい時代であったようだ。ぜひ長岐邸において、皆さんに柘植氏のことを知ってほしい」などと話しました。
寄贈にあたって津谷市長は「本当に貴重なものを寄贈していただき感謝する。多くの市民の皆さんに見てもらえるように、大事に保管する。柘植氏の貴重な資料と一緒に長岐邸に展示したい」などと感謝の言葉を述べました。
長岐邸では、来年の5月頃に展示される予定です。(常設展示ではありませんのでご注意ください)
柘植六郎氏(鷹巣農林高校第5校長)
柘植氏は、東京帝国大学農学科を卒業した農業のエキスパートで、鷹巣農林高校長時代にはやまぶどう液「ビコラ」や桑の根から抽出した育毛剤「マルベリーサップ」など、農林加工品の開発を手掛け、地域の物産開発に貢献されました。
柘植氏が盛岡高等農林(現岩手大学)農学部長時代の教え子として岩手県の詩人・宮沢賢治が挙げられ、宮沢賢治は柘植氏を慕い詩集「春の修羅」ほか作品の中で「柘植先生」として登場させています。