2018年09月14日
コンテンツ番号3440
観光政策についてなど2議員が一般質問
(2018年9月14日)
平成30年北秋田市議会9月定例会の本会議が、9月14日(金)に議事堂で再開され、2議員が「観光政策について」や「小阿仁川の水害対策について」などの事項について一般質問を行いました。
このうち、地域連携DMOについての質問に対し、津谷市長は「二次アクセス解消を目的とした交通システムの構築や交通手段の提供のほか、当エリアでしか体験する事のできない魅力的な観光商品やサービスの提供、エンターテイメントの企画開発、古民家のリノベーションによる富裕層向け宿泊拠点の整備といった事業により、観光客の回遊性を高め、滞在時間の延長化に伴う観光消費額の増加による地域経済の活性化を図っていきたいと考えており、今後も秋田犬ツーリズムとの一層の連携により事業を進めながら、当市の観光振興に繋げていきたいと考えています」などと答弁しました。
また、一般質問後、「平成30年度北秋田市一般会計補正予算(第4号)」が追加提案され、大綱質疑が行われました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
大森光信 議員(みらい)
(順位:2-1)
1.農業政策について
①平成30年産主食用米の見通しについて
- 本市生産量の見通しは
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需要に伴った数量と考えているか
平成30年産米については、本年1月に農業再生協議会からの生産の目安が16,183トンと示されており、これを踏まえて各農業者が生産調整の計画書を提出していますが、計画書の推計では15,134トンと目安より1,049トン少ない状況となっています。また、JA等の米集荷業者や法人等の大規模経営体は、実需者や米卸業者との直接取引も多いことから、需要に伴った生産量だと捉えています。
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全体の消費量が減少している中、中食、外食の需要が高まっている現在、市としても多収品種の作付けを奨励する必要があるのではないか
現在の米の消費量のうち中食・外食の割合は、全体の約30パーセントを占めており重要なターゲットとして捉えていますが、その消費量は米価や人件費の上昇により減少しているとの見方も示されています。現在、JA等の米集荷業者や法人等では、実需者や米卸業者との直接取引の中で、品種等の要望に応じた作付けと指導がなされていますので、市としては現状を見守りたいと考えています。
②農協の合併について
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JA鷹巣町とJAあきた北央が平成31年2月に合併する予定だが、市は何を期待するか
JAの合併により、農家の皆さんが信頼を寄せて安心して営農をできるようになり、この地域における農業経営が足腰の強いものとなることを期待しています。
③北秋田ブランドについて
- ブランド確立に向けて、どのような取り組みがなされているか。また、その効果はどのように表れているか
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ブランド維持のため農協及び生産者と協議された品質基準は運用されているか。また、それを受けて市場の評価はどうか
ブランドは1市だけでは知名度が低いため、農産物の販売促進のためにも、広い範囲で取り組みを展開している現状にあります。たとえば、枝豆やしいたけ等は秋田県全体での売り込みにより、販売促進を兼ねたブランド化を進めており、秋田比内地鶏についても同様の取り組みを展開しています。
なお、キュウリについては、他市からのキュウリもJA鷹巣町の共同選果によって市場へ出荷しており、高い評価を受けているとのことですが、当然ながら、市場や消費者が求めているのは、安心・安全な農産物の生産と出荷でありまして、市場は生産履歴の記載を条件に受け入れをしており、JAでは生産者に対して生産履歴の記帳を指導し、適正な生産が行われています。特に、秋田比内地鶏については飼養管理マニュアルが徹底されており、高い評価を受けているとのことです。
そして、生産量は少ないものの、北秋田市特有の田子ヶ沢のセリや小様キュウリ、太田ゴボウなどの地域ブランドを持つ青果物につきましても支援は行っておりますので、引き続きJAや生産者の意見を伺いながら生産振興策を図っていきます。
なお、GAPへの取り組みにつきましては、今後もJAや関係機関の指導を得ながら、実施生産者が増加するよう推進していきます。 -
本市の農業産出額は目論見通り増えているか
当市においては、農家の皆様の経営安定を目指し、複合経営を推進しており、特に園芸作物振興のため、国・県の事業のほか、市単独での事業を進めています。
なお、市では主要な園芸農産物ごとの販売額目標を定めていますが、農業者の高齢化や従事者の減少、気象や市場単価の影響により、ここ数年は現状維持に留まっています。
しかしながら、園芸メガ団地に取り組む法人や、新規に菌床しいたけ栽培に取り組む法人も出てきていますので、今後は枝豆やキュウリ、キャベツ、菌床しいたけ、リンドウの農業産出額の増加が見込まれます。
2.観光政策について
①地域連携DMOについて
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現在までの成果と今後の展望について
当市においては、県や内陸線等の様々な主体による観光誘客の取組みが行われていますので、秋田犬ツーリズムに限定した成果を申し上げる事はできませんが、ここ数年のエリア全体における「観光客入込客数」、「宿泊者総数」、「外国人宿泊者数」は増加傾向にあります。
また、内陸線への乗車や、森吉山阿仁スキー場へ訪れる外国人旅行客が増加しており、その多くが台湾からの観光客であることを考慮しますと、これまで行ってきた台湾へのトップセールスに加え、秋田犬ツーリズムと連携した取り組みの成果も現れてきているものと考えています。
今後の展望については、秋田犬ツーリズムでは「エリア全体の外国人旅行客が増加傾向にあることから、今後も十分な経済効果が見込める」との分析を行っており、更なるエリア全体の価値向上のため、従来のターゲットである台湾のほか、体験やストーリーを重視する欧米の富裕層などをターゲットに加え、インバウンドの増加を図ることとしています。
そして、本定例会に関連予算を提案しているとおり、二次アクセス解消を目的とした交通システムの構築や交通手段の提供のほか、当エリアでしか体験する事のできない魅力的な観光商品やサービスの提供、エンターテイメントの企画開発、古民家のリノベーションによる富裕層向け宿泊拠点の整備といった事業により、観光客の回遊性を高め、滞在時間の延長化に伴う観光消費額の増加による地域経済の活性化を図っていきたいと考えており、今後も秋田犬ツーリズムとの一層の連携により事業を進めながら、当市の観光振興に繋げていきたいと考えています。 -
事務局に職員を出向させ、連携の強化を図るべきではないか。
秋田犬ツーリズム設立の際に設置された行政や関係団体で構成する連絡調整協議会により情報共有を図っているほか、事務レベルでの打合せとして月1回程度の打合せ会議を行っており、事業の進捗状況確認や取組み方針等の情報共有が図られています。
②住宅宿泊事業法(民泊新法)における諸課題と本市の姿勢について
- 市の考え方と今後について
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懸案である宿泊施設不足の解消に向けて、前向きに取り組むべきではないか
秋田県によると、県全体では5件の住宅宿泊事業届出が受理されており、うち秋田市1件、県南地域4件、県北地域においては、大館、能代地域では数件の問い合わせがあったそうですが、当市においては問合せがない状況となっています。
近年では、団体型から個人型へと旅行スタイルが変化しており、それに伴う宿泊ニーズも多様化していることから、民泊サービスの推進は、ニーズに対応するための手法の一つとして考えられます。
しかしながら、当市としては6月定例会の一般質問において答弁しましたとおり、まずは「宿泊施設パワーアップ事業」により既存宿泊施設の機能強化を図りながら現在のニーズに近づけ、持続的経営へと繋げていきたいと考えています。
また、今年度で3年目となる「おもてなし宿泊支援事業」により、宿泊事業者からは魅力的な宿泊プランが自発的に提案されるようになり、年間稼働率の上昇にも繋がっていますので、今後とも旅行者の宿泊ニーズの把握に努めながら対応を検討していきたいと考えています。
3 商工業政策について
①商工業者の後継者不足について
- 現状を把握し、対策を講じているか
- 商工会と連携し、後継者不在による廃業を未然に防ぐ努力が必要ではないか
②移住定住事業への活用について
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企業存続のため第三者に継承してもらうことを視野に入れた、移住定住対策は考えられないか
当市の中小企業経営者や法人組織等は、概ね北秋田市商工会に加入しており、商工会では後継者不足による廃業を未然に防ぐため、平成28年4月から会員企業を中心に延べ751社から事業承継の意向についてのヒアリング調査を実施し、確認しています。
当市としても、商工会や関係機関と連携を図りながら企業存続の為に努力していきますが、大森議員ご提案の第三者への承継という点については、企業経営者の情報提供が可能であることが条件となりますので、今後開催される移住定住相談会等でその情報提供が可能かを検討していきたいと考えています。
三浦倫美 議員(共産党議員団)
(順位:2-2)
1.小阿仁川の水害対策について
①農地等復旧支援について
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被害実態と復旧作業等の進捗状況は
初めに、5月18日から19日にかけて発生した豪雨災害については、農地7箇所、農業用施設5箇所の被災箇所を国の災害復旧事業に申請しており、国による実地査定も一部を除き終了しました。このうち、小阿仁川流域の杉山田地区から三木田地区にかけては、農地1箇所、農業用施設1箇所となっており、今後は残りの査定を受けた後に復旧工事を発注し、来春の耕作に支障がないよう進める予定としています。
また、一部では国の災害復旧事業を活用せずに農業用水路等の土砂の撤去等を実施しており、杉山田地区と雪田地区においては、土地改良区が事業主体となり農地の均平作業が終了しています。
次に、8月15日から16日にかけて発生した豪雨災害については、現在調査中ではありますが、農地10箇所、農業用施設9箇所の被災箇所を同じく国の災害復旧事業に申請するよう作業を進めています。
なお、杉山田地区と雪田地区では、水路や農地への土砂堆積と表土の流出が発生しており、8月22日に現地確認を行い、国の災害復旧事業において用排水路の土砂の除去を実施する予定です。 -
市、県、国等の復旧支援制度の利点と課題は何か。国の制度を活用できなかった現状も国へ伝え、活用しやすい制度の提案をするべきではないか
国の災害復旧事業は、被害額が40万円以上の被災箇所が対象であり、農業者の受益者負担は農地が5パーセント、農業用施設が2パーセントの負担となっています。
また、国の事業に係る市の負担としては、査定設計や実施設計のほぼ全額、工事費についても国の補助金以外を市が負担する事となりますが、補助金の受給には国の査定が必要であり、早期の工事着手には高いハードルが課されています。
そのほか、県の災害復旧事業の活用に必要となる市要綱の策定については、現在制定時期を見極めていますが、県においても、広い面積の土砂堆積により結果的に農業者の負担が高いというケースや、国の事業が活用に至らなかったというケースがある事を把握していますので、制度が活用しやすいものであるよう、改めて県等を通じて国へ伝えていきたいと考えています。 -
今後の「中・長期的支援策」は具体的に検討されているか
この度の小阿仁川の水害に対し、農業共済制度や転作に対する交付金等を総合的に勘案し、市として支援が必要か、必要であれば何をすべきかを探っていきます。
②小阿仁川の河川整備について
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被災地に寄り添った河川改修を進めるためには、被災地、市、県、各関係機関とのきめ細かい情報交換、合意形成が大切です。さらなる連携体制の強化を図っていくべきではないか
6月定例会において三浦議員からの一般質問でもお答えしましたとおり、被災された方々の一日も早い不安解消のため、要望活動等を行っているところであり、7月13日開催の「小阿仁川水系対策委員会総会」では、河川改修要望の強化を確認し、8月30日開催の「北秋田市・郡選出秋田県議会議員との意見交換会」においても小阿仁川河川改修の要望をしました。
管理者である秋田県は、5月の豪雨後に鎌沢橋下流部の伐木等被害軽減の対策を講じていますが、この度「被害が多発して緊急に対策が必要な箇所の築堤等に着手する」との報告を受けています。このことは非常に喜ばしい事ですし、対象地域の方々にとりましても大きな前進ではないかと考えていますので、今後も地域へのていねいな説明や情報提供を行うに当たり、秋田県はもとより市の各部署間においても連携を図りながら取り組んでいきます。 -
県、国へ河川整備の予算拡充を求め、今後も粘り強く要望活動の継続と強化を図るべきではないか
最終的な目標は事業の完了ですので、新規箇所や現在事業中の箇所、そして未着手の早期完成に向けて、今後も小阿仁川水系対策委員会をはじめ要望活動を行っていきます。