2005年02月13日
コンテンツ番号7748
たかのす風土館「佐藤卓史ピアノリサイタル」
新進気鋭のピアニスト、佐藤卓史(たかし)のリサイタルが2月13日(日)、たかのす風土館で開催され、詰め掛けた音楽ファンが美しく重厚なピアノの調べに魅了されました。
佐藤さんは秋田市生まれで、現在東京芸術大学音楽科3年に在籍。幼少時からピアノを始め、小学校4年生のとき全県ピアノコンクールで大賞を受賞するなど、数々のコンクールに入賞、高校は両親の方針で埼玉県に転居し芸大付属高校に入学、プロを目指すという音楽に徹した生い立ちを送っています。
芸大入学後も、昨年の第30回日本ショパン協会賞を最年少で受賞するなど、さらに才能を発揮、将来を嘱望されたピアニストとして活躍しています。
佐藤さんの父・孝逸さんは元教諭で綴子の二本杉出身。卓史さんも秋田市で過ごしていた幼少時からお父さんの実家には何度も来たことがあり、この日の公演には、ご親戚の皆さんも大勢駆けつけていただいたようです。
リサイタルで演奏された曲は「楽聖」と呼ばれているベートーベンと、ピアノの詩人と呼ばれているショパンの曲をそれぞれ2曲。ベートーベンの曲は、宗教的で重厚な調べのピアノソナタ「第12番 変イ長調 作品26」と交響曲でも有名な「『エロイカ(英雄)』の主題による15の変奏曲とフーガ 作品35」。
そしてショパンは悲しげな旋律が美しいノクターン「二つの夜想曲」と、悲壮感や激しさにあふれたピアノ・ソナタ「第3番ロ短調 作品58」の2曲。この4曲を、間に15分の休憩をはさみ、およそ2時間の間、気迫あふれるフレッシュな演奏で聴衆をとりこにし、19世紀に生きた二人の巨匠の曲を若手らしく自由に表現した演奏会となりました。
また終演後、佐藤さんのご両親や親戚の皆さん、秋田市時代師事したピアノの先生などおよそ30人が参加して「佐藤卓史を囲む会」が開かれ、小さい頃の思い出や学生生活、演奏活動などの話題で会話が弾んでいました。
佐藤さんは、囲む会の中でのあいさつで「鷹巣は何度か来たことがありますが、このようなホールがあるのは知らなかった。音の響きもよく、みなさんの前で演奏できて良かった。今日演奏したベートーベンは、演奏するのは難しいが毎回発見のある曲。またショパンは特にピアノソナタの「第3番」などは自分でも好きな曲ですが、演奏後はいつも反省している曲です」と、控えめに語っていました。
また、4歳の頃からピアノの指導をしていた目黒久美子さん(秋田市)は、「立派になった卓史君のおかげで幸せな気分。今日の演奏曲は少し難しい曲だったけれど、ダイナミックな演奏で、小さな音も大きな音も聴く人にわかってもらえたと思う。また、最後にお客さんから『ブラボー』と声をかけてもらえたのが、私にとっても嬉しかった」と、恩師として、また佐藤卓史の一ファンとして喜びを語っていました。
佐藤さんの演奏会は、県内では今年11月と12月に秋田市のアトリオンで開催される予定です。
(2005.2.13 ※旧鷹巣町当時の記事です)