2005年12月13日
コンテンツ番号5258
介護保険事業、統合病院へのアクセス態勢などについて7氏が一般質問
第7回北秋田市議会12月定例会の本会議が12月13日(火)、北秋田市交流センターで開かれ、7議員が一般質問を行いました。この日の一般質問も、介護保険事業、雇用の場確保、統合病院、前田小又道路の拡幅、旧米内沢小学校にある二宮尊徳像の移転など多岐にわたりました。
このうち統合病院の経営を懸念する質問に対しては、1次と2次医療の住み分けによる充実した医療ネットワークをつくり、充実した医療を提供することで患者が圏域外に出ることも防ぎ、結果として経営安定につながることなどを説明、また、国の医療制度改革にも対応した在宅医療を進めることにより、さらに安定した病院経営が可能になることなどに理解を求めました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
工藤 敏雄氏
(順位2-1)
介護保険事業について
北秋田市の利用状況について多くの高齢者が、「介護の必要性」ではなく「いくら払えるのか」によって受けるサービスの内容を決めざるを得ない状況となっているのではないか。また、経過措置の入所者の取り扱いについては。
介護度の状態と自らの意志によって、数多いメニューの中から選択できるものと認識している。また、介護保険法施行日における特養ホーム入所者の経過措置(負担軽減措置)は、平成17年4月から5年間の延長と決定している。
北秋田市の入所待機者についてこの5年間で、施設の入所待機者(申込者)が各地で増えていると聞く。旧町ごとの入所待機者は。
17年10月1日現在の概算値は、旧鷹巣町〜77人、旧合川町〜32人、旧森吉町〜45人、旧阿仁町〜11人の合計166人となっている。
北秋田市の介護保険料について介護保険料は3年毎に改定される仕組みとなっている。来年4月からの第3期事業計画の3年間は、1号保険料19%、2号保険料31%と政令で定められる見込みとのことだが、北秋田市の状況は。
介護給付の50%は公費(国25%、県と市町村がそれぞれ12.5%)。後の半分は、1号被保険者、2号被保険者の保険料で賄っている。第3期介護保険事業計画では、1号〜19%、2号〜31%となっているが、市においては、国の調整交付金が6パーセントと見込んでいるため、1号の方々は実質18パーセント位となるだろう。交付金のアップに向けて今後も努めていきたい。
見直し後の介護認定について介護サービスを受けるためには、原則として市町村に介護認定を申請し、認定されなければならないが、今回の見直しではどのようになるのか。
「二次判定」において現行の「要介護1」に該当する方は審査のうえに、「要介護1」または「要支援2」と審査判定されることとなる。
新予防事業等についてこれまでも、多くの市町村が介護保険とは別に高齢者向けの福祉サービスを行なってきた。新予防事業・地域支え合い事業ではどのようなサービスが受けられるのか。
現在実施されている介護予防・地域支えあい事業のうち、「介護予防事業」として実施できるのは新制度への移行を検討したい。また、栄養改善や市の体育施設の活用あるいは、健康教室などといったものも併せて検討している。
地域包括支援センターと運営について新設される「地域包括支援センター」の役割はどういうものか。今回の改定の大きな特徴の一つとされている。地域における高齢者を総合的に支えていくための拠点として発展させていくことが重要とうたわれている。市の取組み状況と市長の考え方は。
地域包括支援センターは、介護のケアマネジメント、対象世帯への総合的な相談・支援、被保険者に対する虐待等の防止など包括的な支援事業を行なう基幹センターとなるべきものである。19年度末までに全ての市町村に設置が義務づけられている。市では、既存の基幹型在宅介護支援センターを再編し、そのスタッフなども増やしながら市で設置・運営する地域包括支援センターを設けることとしている。
介護労働者の労働条件について介護保険がはじまって以来、そこで働く人の労働条件確保については、サービスの質にかかわる問題として対策が求められてきた。専門職にふさわしく介護労働者の身分と待遇を改善することは当然の措置と思うが、北秋田市の現状と市長の考え方は。
介護サービス事業者の待遇面等の具体的な状況は把握していないが、仮に、著しく労働条件が悪かったり、介護者への接遇やサービスの低下などがあったりすれば問題である。市であっても事業者でもこれらのことへはきちんと対応しなければならないと考える。
中嶋 力蔵氏
(順位2-2)
雇用の場の確保について
大型店誘致問題は順調か。
市の基本構想と土地利用計画が現在審議中である。それに沿った事務事業を進めている。
7号線沿いのジョイス店の進捗状況は。
18年度中には手続きが終了して、土地の造成工事が実施されるものと思われる。
ジャスコの誘致がマックスバリューに変更になったようだが、雇用が予定どおり見込めるのか。
ジャスコもマックスバリューもイオンの傘下である。約400人ぐらいの雇用を見込んで19年秋のオープンということになると思う。
当初からのいとく、ジャスコの関係で競合されてきた一画にパチンコ店も噂されているが、パチンコ店を認めるのか。
パチンコ店は風俗営業で無いので、特段規制するものとも思わない。ただ、敷地(エリア)内の有効的活用という観点からの中嶋議員の問いかけとすれば、子どもたちのための空間なども必要となろうが、設置側としてもそのような設備の設置も検討するだろうと思う。
男子型の企業誘致を考えられないか。(遊休地の利活用で)
「男子型」というのは製造業を指すものと理解する。先に市内の企業の方々との懇談会を行ったが、席上、「高速通信設備」の必要性などの将来へ向けた課題を提起してもらったが、製造業も現在は、少人数で対応できるなど状況は厳しいものがある。当面の雇用拡大は、大型店の進出ということになろう。
公共下水道と農業集落排水事業について
公共下水道の区域の変更見直しができないか(綴子地区があまりにも遅れる)。
現在の計画では、綴子地区は平成24年度以降となっているが、事情が許される限りできるだけ早い供用開始を目指して事業の推進に努めたいと考えている。区域の変更(見直し)については、現在までの経緯から、現事業計画の継続となっているものの、今後においても様々に検討を加えて事業の普及、促進に向けて努力していきたい。
カラス対策を考えられないか
糞害で住民も困っているようだが、他に公共施設の屋根カラーも考えるべき。
鷹巣地区でも旧町内のカラスが目立っている。歩道なんかも糞害でひどい。各種の実験等からカラスは「黄色」を避けるようだと言うことだが、聞くところによるとそのためのコストも高いそうだし、公共施設のカラー仕掛けもそう簡単にはできないものと考えている。ゴミ処理の対策としてはケージに入れるのが一番いいと思うが、ゴミ袋を黄色にすることも検討してみたい。カラス対策の良いアイディアを皆さんから募りたい。
米澤 一氏
(順位2-3)
税金滞納に対する考え方
滞納ついて、どのように認識しているか。
-
納税能力があって滞納しているか
-
納税能力がなくて滞納しているか
納税は「負担の公平」の大原則。「納税能力」は様々と思うが、滞納の場合には相談活動あって、事態に応じた調査も行っている。この調査は法の規定に基づくもので段階的に実施している。把握が困難なのは「未申告」が多いのもあげられる。
国保税について。
-
国保税条例第19条をどのように考えているか
-
国保税滞納世帯の所得別、所得額をどのように把握しているか
-
資格証明書、短期保険証の発行状況は、平成17年4月1日現在どのくらいか
- 国保税条例第19条は、保険税の減免を規定しているもので、貧困、生活苦などが対象。納税免除の申請が可能としている。
- 滞納世帯の所得は市・県民税の申告状況をもとに把握。未申告者、滞納者は国保資格を喪失している例が多く、把握が極めて難しいものとなっている。
- 短期保険証の発行状況は377件となっている。
国保税減免申請に対する対応は。
-
同意書の正当な理由
-
施行規則にある判定委員会はいつ開かれたか
- 国保制度の公平な運営のために必要。「生活保護関連の同意書でないか」との指摘に対しては県とも確認したが、手続きの結果としては問題無し、ということであった。申請書を受けてから回答するまでかなりの時間を要したのは、申請の内容に対して慎重に調査する必要があったからである。
- 判定委員会は17年10月4日に開催している。
生活保護制度の改悪に対する対応
国が一方的に生活保護費の国負担分を減じることに対してどのように対応するか。
厚生労働省の一方的なものに対して、地方6団体(全国市長会含む)は反対の行動をとってきたし、市としても、県選出国会議員に要望書の提出など強い反対意思を表明している。
現在市内の生活保護者に対してどのような説明をしているか。
世帯には、直接の影響が無いことを説明している。
事務返上などの対応を考えているか。
今後も全国市長会との連携を密にして、生活保護の関係には留意しなければならないと考えている。
(仮)市立病院に対する厚生連の対応について
市の計画に対して厚生連は11項目の要求書を出しているが、その後の対応は。
その後も厚生連とは協議を重ねている。相手方は理事長などが対応している。厚生連とは、「地域医療のこれからの望ましい在り方」を核に、協議を続けて基本合意をめざすものだ。ベット数の関係なども厚生連の参画のもとに調整、決定されるものであって、地域における望ましい医療像を描くためのものと理解してほしい。
(仮)市立病院の運営形態は公設民営と言っているが、指定管理者制度によるものか。
指定管理者による運営を考えているものである。当初、厚生連では指定管理者制度の意味合いを呑み込めていなかった面もあったと思う。協議を重ねていく中で理解も深まってきたものと認識している。
秋元 修一氏
(順位2-4)
北秋田市高校統合について(職業高校も必要)
阿仁部に県立高校の存続。
-
生徒、保護者の選択が必要
-
4校による統合教育学科の方針では、中途退学生が多くなる
県立高校3校の統合が計画されたのは、少子化によって単独では存続が難しくなることなどが主な理由。合川高校を含めた4校統合案も成案として教育委員会や市議会でも承認されているため、統合を前提とした取り組みが進んで行くものと思われる。
阿仁部に県立職業学科・鷹巣に普通学科の2校にする。
-
在学中に資格の取れる職業高校も必要であり、観光学科も取り入れる。また、電子工学学科も必要
-
社会には多種多様な職業がある
-
社会でも職業資格のある生徒を求めている
職業学科は、鷹巣農林高校の農業科学科、環境土木課のように複合化される傾向にある。また、普通科を志望する割合が高くなっており、米内沢高校の電子学科なども募集を停止しているのが実態。
統合病院基本構想について
病院経営の基本医者不足、高度医療、医療機器等いろいろな問題があるが入院患者の流出理由。
-
医者不足
-
秘密がもれているようだ
-
入院患者に対する言葉なさけの不足以上3点が欠けると必ず赤字経営になる。一度信頼、信用、安全が落ちた病院には2度と患者がもどらない。
まずは、1次医療は開業医、2次医療を統合病院で、という住み分けをすることで、より充実した医療ネットワークをつくることが大切。現在の診療報酬はその3分の1が1次医療である外来によるもの。医師が忙しすぎることなどで単価の高い2次医療に関われないため報酬にも反映されない。住み分けすることで余裕のある診療ができれば、開業医とデータを共有するなど充実した医療を提供でき、患者が圏域外に出ることも止められる。2006年の医療制度改革では、在宅で見取られるまでの医療ネットワークが求められるようになる。そのための医療単価は高くなるため、地域をバスで回る巡回診療など、先行して取り組む必要がある。
3次医療体制の取組が必要。救急患者の運搬にヘリコプター。
統合病院にはヘリポートを設置する予定だが、ヘリでの患者搬送はむしろ時間がかかる。道路整備などにより、交通アクセスを高めることが効果的だろう。
前田小又道路の拡幅要望
駅前地区の発展、奥地観光の取組においても道路幅がせまくて死命的な欠点がある。
森吉町時代にもできなかった、との話は聞いている。土地の問題もあるので、地元の意向などを聞いて対処したい。
北秋田市長野岱地域に花による道の駅を提言
地域活性化のためにも、また観光誘客にも、花による公園、体験学習、ふれあい広場、ブルー・メッセ、豚肉によるハム、ソーセージ作り工房。
アグリハウスは現在建設中の道路の完成を前提に玄関の場所を決めたとも聞いているが、道路の高さとの高低さができてしまっているようだ。敷地には石碑などもあるようなので、夢のある広場として検討してみたい。
二宮尊徳像の移転要望と図書館の活用
旧米内沢小学校敷地内にある石像を現在の小学校に移動する。
子供に読書の大切さで図書館の利用を増やし、学校教育のためにもなる。
二宮尊徳像は小学校の歴史を伝える上でも貴重。ただ、小学校統合計画もあるので、さらに置き去りにされないように配慮しながら検討したい。
吉田 仁吉郎氏
(順位2-5)
企業の誘致について
誘致のための助成策は。(富山県や三重県のように独自の施策で誘致活動を行っている自治体もある)
市の施策としては雇用1人につき奨励金10万円、固定資産税の5年間課税免除という制度がある。また秋田県では、最大20億円の助成や10億円の融資なども行っている。全国的にも充実した制度だが、先進的な県の例なども研究し、よりよい助成策なども考えながら取り組みを進めたい。また、立地条件を高めるため、高速通信回線の整備を進めたい。これは地域全体のインフラ整備のためでもある。企業の誘致については、業種などは選んでいられないだろう。現在のところ、大型店3店舗のほか、ホームセンター1件、2000坪の敷地がほしいという企業などの進出が予定されているほか、森吉出身者からは縫製工場立地の打診を受けた。
来年度の予算編成について
基本的な考えは。
18年度予算は実質的に市としてはじめての予算とも言える。財政事情も厳しくなかなか思うような予算が組めないのが実情だが、夢の持てるような予算にしたい。例としては、今年度の商工会の歳末大売出しに対する補助事業。商工業活性化のため1,200万円という大きい補助を行った。成果に注目している。
合併協議会における調整事項をどう反映させるか。
現在まちづくり協議会で協議中。2月議会で調整案を示したい。国保税は18年度で調整する。水道料と下水道使用料については3年間で調整したい。
財政基盤をどう構築していくか。
-
地方交付税
-
臨時特例債
-
合併特例債
-
人件費の抑制
国の三位一体改革とは名ばかりで、地方交付税は減らされるが税源委譲はない、といった厳しい状態。合併特例債も病院事業や高速通信網整備などで有効に活用したい。国では人件費を5年間で5%削減といった目標を立てているが、市としては職員の生活もあり給与を下げるようなことはしたくない。むしろ、職員に勉強してもらい行政事務の効率化を図りたい。県や企業への派遣ということも一つの例。有効に仕事をしてもらう環境づくりが先だと考えている。
教育振興について
制度改革による対応が必要でないか。(委員会)
教育委員会制度は、教育の中立を図るために設けられた制度で予算は市長部局に依存する。スポーツなどお金のかかることは市長部局の支援が必要になる。国や県の事業にも積極的に手を挙げ、独自の教育環境づくりに取り組みたい。現在は、「スクールガード事業」や「生活サポート事業」など、児童生徒の安全や問題行動に対応した事業などを行っている。
佐藤 文信氏
(順位2-6)
介護予防計画の策定について
介護予防事業への取組み。
-
拠点施設の整備・指導者の養成
介護予防事業の最も大きな目玉は市民プール。来年5月に完成の予定で、指導者の育成と合わせ活用を図りたい。運営は直営か指定管理にするか検討中だが、市内には運動指導士などの資格のある人材もそろっており、指導態勢などもオープンまでには方向付けしたい。また、ユニカールやターゲットバードゴルフなど、より地域に近い場所でできる軽スポーツのグループもあるので、介護予防への協力を働きかけたい。
包括的支援事業について。
-
地域包括支援センターの設置
平成19年度末までに設置が義務付けられている施設。現在、「高齢者保健福祉・介護保険事業計画策定委員会」でも協議されている。5人ほどのスタッフが必要となるだろう。
医療と介護の連携について
在宅医療体制への取組み。
急性期から回復期を経て自宅に戻るまで切れ目のない医療を提供する在宅医療、今後国の方針でますます重要視されてくる。診療報酬も27%手厚く付けられる。先行して取り組むことが大切。医療と介護の連携も来年度からでも取り組みたい。
指定管理者制度への公募と非公募導入の判断基準は
従来委託している事業者に対しては、制度を導入を理由に即やめてください、とは言えない。その事業者が委託によって生活している、という実情が大きな判断基準になっている。もちろん公募する場合の条件と比較し、協定が条件に合わなければ公募に代えることも当然ありうる。
中村 信一氏
(順位2-7)
森林資源整備促進とこれに係わる地元雇用者の拡大について
本市の林野面積は96,373ヘクタール。市の面積の83.8%と大きな自然資源となっている。森林資源の活用を図るために、奥見内林道や森吉林道をはじめとする林道整備を進め、また補助制度などを活用しながら流通態勢の整備なども進めたい。大館北秋田森林組合からは乾燥工場設置に向けた補助の要望を受け850万円ほどの補助金を交付することになっている。このことによって雇用拡大につながる。
ブナ森トンネル路線地すべり対策について
観光路線としても重要だと考えている。すでに県に申し入れている。本年度の市長会の場で来年度調査するとの回答を得ている。
新病院交通体制について
統合病院の建設予定地周辺には、今後、消防や警察、市庁舎などの立地も予定されていることから、アクセス道路の整備は急務。中岱橋は平成21年に完成予定だが、全国植樹祭が開かれる20年までにできないか折衝中。国交省に陳情し、建設促進について快諾を得た東根田路線は来年度調査に入る予定。鶴田線も整備予定。バスなど病院への交通は、雄勝病院の循環バスの例なども研究し開院までに確保したい。秋田内陸線大野台駅の移設についてははっきりとは決まっていない。病院立地にあわせるというよりは観光の点から検討すべきだろう。