2005年12月15日
コンテンツ番号5252
岸部市長の選挙公約、農家の経営所得安定対策などについて6氏が一般質問
一般質問で6氏が登壇した北秋田市議会12月定例会本会議4日目=市交流センター、15日
第7回北秋田市議会12月定例会の本会議が12月15日(木)、北秋田市交流センターで開かれ、6議員が一般質問を行いました。この日は一般質問の最終日。鈴木茂雄、武石隆憲、松田光朗、春日一文、福岡吉巳、三浦克昭の6議員が市長の政治姿勢、18年度予算、市の農業振興など多岐にわたる分野で質問を行ないました。
このうち、市長の選挙公約はどれだけ実現されたか、との質問には、公約した具体的な政策を列挙し、それぞれについて成果や進捗状況などを説明しました。また、農業振興策についてはこの日も2氏が質問、平成19年から始まる農家の経営所得安定対策などに関し行政の役割をただしました。これに対し岸部市長は、農家の7割が政策についてまだよく理解していない状況を説明しながら、安定経営のためには「関係団体とも協力し説明会なども開催するが、まず農家が自ら動いてほしい」と、農家の積極的な関わりを求めました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
鈴木 茂雄氏
(順位4-1)
市長の政治姿勢について
平成18年度予算編成について。
歳入については国による制限が加えられ、地方交付税、税収とも大変厳しい状況。しかし、合併していなかった場合、財政再建団体に陥った町があったかもしれず、現状の下で努力すべきだろう。平成18年度はシーリング方式による予算編成。予算要求が歳入見込みより10億ほど多いので、場合によっては事業縮小もありうる。しかし、サービスは落とさない、負担は大きくしないなどの条件も抱えており、類似施設の見直しなども検討しながら予算編成に臨みたい。
選挙公約の具体策について。
「選挙公約」は実現できなければ責任をとらなければいけない、というものではなく、実現に向って最大限努力する、という目標と考える。私が掲げたのは「統合病院の建設」「永続性のある身の丈福祉」「幹線道路の整備」「健康増進」「雇用拡大」「企業誘致」「農林業の振興」「学力向上」など。統合病院については17年度スタートを目標にしたが、まずは順調に進んでいる。身の丈福祉については、指定管理者制度の導入により目標に近づいている。幹線道路は中岱橋につながる太田川口線の一部や東根田線、鶴田線など、整備に目途がついている。健康増進は肺炎球菌ワクチンの予防接種実施や市営プールの建設、雇用拡大については、平成19年の大型店出店、企業誘致はまずは2社の進出、農林業の振興については担い手育成制度の整備など、とりあえずは成果が出ているものと考えている。
行財政運営について
企業的感覚の行財政運営について。
臨時職員を含めた職員の適正化について。
最近の報道では7つの県で成果主義を取り入れているとのこと。ぜひその例なども研究して取り入れたい。これまでは計画(Plan)と実行(Do)という方法が主流だったが、これに評価を加えることで事務の効率性などを事業に反映させるなどの方法も検討したい。臨時職員については、資格のある職員もおり、すぐには減らせないが、幼稚園のように退職予定者もいる場合など、施設の統合も含めながら適正化を図りたい。いずれ、サービス低下を招かないよう組織全体を考えながら見直しを進める。
農業振興対策について
集落営農対策について。
(市長答弁)平成19年度から始まる新たな農業振興策については、農家にアンケートをとっても7割が知らなかった。JAや商工会などにも協力してもらい、まずは制度の周知徹底を図りたい。また、できれば現在市に2つあるJAにも合併してほしいと願っている。
(助役答弁)日本の農業は家族経営が望ましいが、農業の国際化を考えるとそうはいかない。もうすぐ農地の集約など効率化を求められる政策が始まる。農協もできるだけ早く合併することが望ましい。
集落後継者対策について。
農業後継者の確保の一つに結婚問題がある。イメージ農業は近代化され、土をいじる昔のイメージとは違う。魅力がないわけではないので、PRなどで後継者支援を図りたい。
武石 隆憲氏
(順位4-2)
新年度予算編成の大綱方針について
主な歳入の見込みは。
国勢調査の結果も反映されるため、人口の減少などにより地方交付税は約1億7千万、5%減の見通し。市税は約1億1千万、4%減の見通しで、大変きびしいのが現状。
予算編成規模は。
予算の編成方針は。
予算規模は210億から212億前後を想定。予算要求額の上限を設定するシーリング方式で編成している。歳入見込みより要求額が10億ほど上回っているので、議会終了後査定を行ない、確定させる予定。
主な事業は何か、その方針を。
統合病院のほか、ダム湖周辺や奥森吉などを中心とする観光対策にも力を入れたい。
市の農業振興について
農業指導機能をどのように進めるか、市長の基本姿勢は。
平成19年から始まる新たなしくみの中でも、農業者自身が努力しないと支援ができなくなっている。農家は、実施を前に具体的に何をすればいいかわからいのが現状だが、これではいけない、農家が自ら積極的に動くべきで、はじめに行政が意識を伺うのは本末転倒。その説明は関係団体とも協力して徹底を図りたい。
農業に対する旧町単独補助事業をどのように進めるのか。
国の指導も補助金政策からシフトしてきている。
2007年度からの経営所得安定対策の取組について
生産農家に一定規模要件を課したことで農地集積の進めは。
担い手、認定農業者の誘導計画は。
説明会などで意見を聞きながら、進めたい。
現在国の定める要件をクリアできる認定農業者、経営体の数は。
認定農業者数は160人、経営体は2団体。
行政改革について
職員の能力開発は。
旧町では県の研修所などで研修を行っていた。今年度は合併ということで行っていないが、来年度は企業誘致と財政部門で職員を県に派遣する予定。
管理職の部下に対する指導は。
市民への接遇などで悪い印象があってはいけない。徹底させたい。
松田 光朗氏
(順位4-3)
市道の整備について
小又地区の市道拡幅改良事業について。
土地の関係もあり、旧森吉町時代もできなかった場所。拡幅場所を右側にするか、左側にするかなど、住民の協力が必要。松田議員も含め、実現のため協力してほしい。
市道町栄線のバイパスについて。
神社線については急勾配ということもあり懸念している。調査の上対応したい。町栄線については、105号バイパスが平成19年に供用開始、285号バイパスが23年に供用開始予定ということで、交通量の減少も考えられるので、こちらも調査の上対応したい。
春日 一文氏
(順位4-4)
人事管理と財政計画の見直しについて
人事管理の見直しについて。
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合併に住民が最も期待したのは「議員・職員の減少」で、間もなく議員数は26人に減少する。また、合併協議では540人の職員を20年間で類似団体の定数と同数の378人に削減し、その間の補充は退職者の1/3にするものだったが、現在の職員は662人と120人も増え、現実は不可能と思われる。更に常用的臨時職員約300人を抱えるというが、臨職については合併協議に一切出されなかった。こうした実態は合併協議に反する事態であり、直ちに「定員適正化計画」を策定し、改選前の議会に示すべき。また、20年間で類似団体の定数まで削減する具体的な対案を示せ。
(合併協議会で示した)職員数:540人は、消防関係、広域の職員及び合川高校に係る職員が入っていないことをご理解願いたい。臨時職員も有資格者等も含めて配置しているものであるが、ご指摘のとおり望ましい姿とはいい難いと思う。
この件については、18年度に早急に適正化計画を立ててみたい。臨時職員についてもその配置先を精査するなどして、減らせろものはそうしたいと考えるので、市民にもこの辺をきちんと知らせていきたいと思っている。あと、市役所全体の組織の見直しが急務だ。部署の減少も考えなければならない。
財政計画の見直しについて。
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歳入の地方交付税は、国勢調査の係数確定により減収が見込まれる。国と地方の三位一体の改革で補助金は減、税制改革で税収・特例交付金の変動が予想される。地方債も目一杯の計上で厳しい財政状況。歳出では、人件費・物件費・補助費・普通建設事業に大鉈を振るわねば計画達成は極めて困難。扶助費は微増だが、高齢化の進行を勘案すると過少計上。早期に財政計画の見直しが必要と思うが、その見通しは。
ご承知のとおり「財政計画」は合併協議会で策定されたもの。これが国の「三位一体改革」の影響を受けて、当初の財政構成の変化が生じている。交付税は、合併補正での交付額の 9,300万円をはじめとしてその他も決定してきたが、厳しい状況である。予算編成においても、昨年度に引き続き財調基金を取り崩しての編成を余儀なくされるだろう。財政を取り巻く種々の情勢から見直しは当然に必要。17年度決算を基に来年度中に計画の変更を見直すこととしたい。
合併協議会未調整事項の早期履行について
国民健康保険税の早期均一化について。
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合併協議では、当初17年度から均一課税だったが、合意直前になって「合併後3年以内に均一化されるよう、段階的に調整する」と変更になった経緯がある。その結果、一人当たりの税額が最も高い森吉地区と阿仁地区の差が17,208円。合川地区との差が12,086円。鷹巣地区との差が10,239円と不公平な課税実態にあり、法の下の平等に反する。 直ちに不公平課税を是正した新税率を改選前の議会に提案すべき! 。
現在、国保運営協議会で審議していただいている。この中で、「3方式」が望ましいとの意見が出ている。ただ、税率に関しては「税の申告」「医療費の動向」などに影響されるためなかなか定まらないので、運営協議会での協議を踏まえたなかで、18年6月議会に提案したいと考えている。ご指摘の議会改選前の提案は難しいと考える。
その他、下水道負担金・合併浄化槽への嵩上げ補助・各種料金等、未調整事項が多いが、改選後の新議会で多数議決するより、旧4町の均衡がとれた在任特例期間中に解決したらどうか。
「未調整事項」は検討を行っているが、大小含めてたくさん残っている。重要度の高い行政課題については早期の決定が待たれるが、いずれ、2月定例議会までには各事務事業の進捗状況を示したいと考えている。(下水道関連)負担金は基本的に今後も求めていきたい。合併浄化槽の嵩上げ補助については、来年度中に検討して同一の負担となるよう調整したい。料金についても、19年度までに市内の各処理区ごとの経営状況を調査して設定したい。
福岡 由巳氏
(順位4-5)
国保税減免申請に対する北秋田市の対応について
7月25日に国保税減免申請をしたが、決定通知が出たのは10月14日である。この間どんな審査をしたのか。国保法、行政手続法に違反するのではないか。
納期まで要否の決定を出せない場合は当然申請者に「納期の変更通知」を出さなければならない。なぜ、納期が3回経過しても放置していたのか。
申請書を受け付けた後、記載事項の確認、調査等を慎重に行う必要があった。安易に減免を認め る(収納率はアップするが・・・・)ことを避けたいことのあり、時間をかけた調査となる。今回の事務の流れ等について、再度調査を行って報告したいと思う。
申請者の預貯金、資産調査の関係先調査のため「同意書」の提出を執拗に求めた。しかも、この「同意書」は生活保護の要否判定のために使うものと全く同じものであった。どうして同じものを使ったのか、その法的根拠。また、使用にあたり県の意見を求めたのか。
市の国保条例施行規則に規定する調査に必要と考えて依頼したもの。減免理由の収入の調査から生活保護の同様の内容となった。県では、「協力依頼となるので問題は無いのでは」と言っている。
国保税減免申請者に対する市の対応は、行政手続き条例第30条、第33条に違反しないか。
任務、事務の範囲以内であると考えている。
税法上の「調査権」の行使について当局はどのように考えているか。
今回の件に関しては、調査権は及ぶものと考える。
山村留学センター廃止の動きについて
北秋田市は山村留学センターの縮小・廃止を考えているのか。その理由は何か。
センターは全国的にみても縮小・廃止の傾向が高まってきているようだ。理由として、「留学生の減少」「里親確保の困難」「運営財源減少」などで、県内では当市のみとなっている。効果の面でも地域の活性化に結びつく度合いが低いと判断されるものと思う。これらの理由から、18年度は地元関係者等の意見等を参考に検討を加え判断したいと考えている。
山村留学センターの利用増は市教育委員会の意欲にかかっていると思うが、今後、特に力を入れようとしている点は何か。
留学生の受入れ事業は見直しが必要であるが、センターを市の児童生徒の健全育成の場に活用すべく方策を見出したいと考えている。
三浦 克昭氏
(順位4-6)
指定管理者導入について
指定管理者に事業を移行するだけで解決できない問題をどうするか。
所期のねらいが芳しくなく、事業の効果なども充分発揮されないものとすれば、当然に施設の統廃合や事業の見直しを行わなければならないと考える。
市の事業委託のバランスを考えているのか。
指定管理者制度がスタートする18年度以降の各施設や各種事業等の取り巻く状況が変わっていけば、当然に指定管理の状況も変わっていくものと思う。旧町からの事業形態や働く職員などの問題もあるが、あくまでもこれ(スタート時点)で全てではないものであって、他の「民間事業者」が管理・事業内容が勝ればそれらの統廃合も考えられ、施設の売却や事業権限の委譲なども行なわれることも想定される。
北秋田の学校教育について
北秋田らしい人材育成のための教育構想と、具体的な進め方について。
学校においては基本的に、それぞれの地域の実態があって目標を定めた教育を実施している。市内の児童・生徒は「明るい」「純朴」「優しい」等の良い面を持ちつつ、自主性、根気に乏しい面も目立つ。子ども達に目標や希望が無ければ成績や生活態度の向上に結びつかないので、家庭はもちろんだが、学校現場においては教師の情熱と高い指導力が求められるので、来年度は、市内の先生方にチームを組んで授業の研究をしてもらいたいと考えている。
教職員の人材確保について。
市内の小中学校においても、他地域出身の教師が多いと思う。地元の先生が少なく残念に思っている。志望が少ないからか、先に述べた目標を持って志願する姿勢が低いことも要因の一つとなるのだろうか。
山村留学の活用について
都市の委託事業として。
都市と山村の交流に効果が出る事業として実施してきたが、全国的傾向としてこの事業の縮小・廃止されてきている。地元の児童・生徒に充分な教育を施してやることからも、センター設備は活用していくことが良いと思っている。
教職員の再教育施設としての活用はどうか。
センターは、教職員の研修施設として有効活用したい。