2018年01月15日
コンテンツ番号3246
農家の伝統つなぎ田の神に豊作祈る
(2018年1月15日)
今年の稲作の豊凶を占う小正月行事の雪中田植えが、1月15日(月)に大太鼓の館前で行われ、JA鷹巣町などの関係者約50人が田の神にお神酒を供え、豊作を祈願しました。
雪中田植えは、農家が一年の仕事始めの儀式として1.8m四方の水田に見立てた雪の田んぼを作り、稲わらや豆からを束ねた「稲」を植え、一年の作柄を占う民俗行事で庭田植えとも呼ばれています。
かつては、干ばつや台風などの「邪気」を祓い、神聖な田の神に、五穀豊穣を祈る大切な儀式で、秋田県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残していますが、現在では綴子のほか、湯沢大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
綴子地区に伝わる雪中田植えも、一度途絶えたものを昭和58年、稲作作りに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎さん(綴子上町)によって復活されました。昭和61年に高橋さんが他界したことで、また一時途絶えましたが、昭和63年より地域の農業後継者である旧綴子農協青年部がその遺志を継いで「再復活」させ、現在はJA鷹巣町青年部(岩谷政崇部長)が継承し今日に至っています。
この日は、厳しい寒さの中、大太鼓の館前に特設された雪田の前で儀式が行われ、JA鷹巣町青年部の小坂亮太さんが田植え人を務め、けら、菅笠姿の昔ながらの装いで30cm間隔で4条に4束ずつ計16束の「苗」をていねいに植え付けました。
田植えの後には、虫除けのためスス払いのワラぼうきで雪田をお祓いし、田の神の目印としてそのワラぼうきを逆さにして雪田の中心に立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒を供え、参加者が豊作を祈願しました。
雪中田植え終了後、田植え人を務めた小坂さんは「初めて田植え人を務めることになり緊張したが、今年は豊作になるよう一つ一つ願いを込めて植えた」などと話しました。
2月1日には豊凶を占うため稲刈りが行われ、その際に「稲」が直立していれば実が入らない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏を意味し、それぞれ「凶作」で、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば「豊作」という一年のお告げが出るとされています。