2006年12月11日
コンテンツ番号4808
〜中央公民館「ハッピーライフ講座(公開講座)」〜
市中央公民館第7回ハッピーライフ講座「暦(カレンダー)の話」が8日、同館で開かれ、暦(カレンダー)の歴史や暦に記載される日時・方位などの吉凶をテーマとした講話に、参加した多くの市民が耳を傾けました。
ハッピーライフ講座は、12ある定期講座の一つ。さまざまな分野の専門家の講話を聴いて人生を豊かにすることなどを目的に毎月第2金曜日に開催されており、今回は市民を対象とした公開講座として行われました。
講師は、青森大学大学院環境科学研究科環境管理学の藤井正美教授。宇宙物理や環境科学などを専門とされ、大学では太陽光・風力ハイブリッド発電の研究、ソーラーバイシクルの設計と製作などに携わられています。藤井教授ははじめに、青森県の竜飛崎や六ヶ所村、本県の能代市落合浜など、各地に設置されている風力発電の風車の写真を見せながら、自身が研究されているテーマを紹介、講演に移りました。
興味深いお話をわかりやすく講義いただいた青森大学大学院の藤井正美教授
教授は、「昔の人は、一年が何日かはわからなかった。それを知るために決めたのが月の満ち欠けを基準とする太陰暦。ところが、少々困ったことが起きた・・・」と切り出し、昔は世界中で使われていた太陰暦や、現在の太陽暦が普及するまでの歴史や文化について紹介します。教授は、
▼1年が354日の太陰暦
「太陰暦は月だけを基準にするため、平均すると1カ月は29.5日。1年に換算すると12を掛けて354日。1年365日とすると11日の差。3年で一ヶ月ずれる。それで3年に1回一月を増やし13カ月にするなどして、暦と季節を調整しようとした」
▼太陰太陽暦から太陽暦へ
「しかし、毎年少しづつ季節感とはずれが生じてくる。そのため閏(うるう)いう考えが入り太陽の運行とも調整を図ろうとした。これが太陰太陽暦。しかし太陰太陽暦もまだ正確とは程遠い段階。この太陰暦や太陰太陽暦を『太陽暦』に変えたのがユリウス暦。太陽暦では地球が太陽の周りを一周する日数を1年とする。正確には1年=365.2422日なので、100年で24日ずれてしまう。ユリウス暦(紀元前45年)では1年を365日とし、4年に一度閏を入れると1年=365.2500日になる。したがって、365.2500-365.2422日なので、ずれは100年で0.7日」
▼1000年で0.3日しかずれが生じない「グレゴリオ暦」
「このように、ユリウス暦でも長い年月には実は誤差がたまってくる。そこで登場したのが今の暦になっているグレゴリオ暦。400年に97回の閏日を入れる。4で割り切れても400で割り切れない年は閏年としない。97/400=0.2425日なので1年は365.2425日。差し引くと0.0003日なので1,000年で0.3日しかずれない。しかし、厳密に言えば、月や地球の軌道が完全に分かっていない事などから、やはり観測と照らし合わせながら使わないといけない」
などと、実際にそれぞれの暦の一年間の日にちを参加者と一緒に数えながらわかりやすく説明しました。
▼「節分」は立春や立夏の前日のこと
また、日本では年の呼び名を十二支(甲乙丙・・・)と十干(子牛寅・・・)を組み合わせ、壬申(じんしん)、戊辰(ぼしん)、丙午(ひのえうま)などのように称していたこと、「節分」は二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前日のことで、文字通り季節を分ける雑節であること、などを紹介しながら、日本人が持つ独特の季節感とともに暦が使われてきたことを説明。また、「先勝」や「友引」「仏滅」などの「六曜」は、中国で生まれた吉凶占いが室町時代に日本に伝わったもので、仏教に由来するものではない、といったお話に、参加者もメモを取りながら熱心に聴講していました。
今回の講座は、青森大学の講師派遣事業(出張講義)を活用し開催されたものです。30人以上の人数で開催する公的な講演会であれば、旅費のみで出張していただけるそうです。自治会、婦人会など各団体でこの事業を利用されたい場合は、市中央公民館までお問合せください(TEL:62-1130)
なお、来年1月12日開催予定の次回のハッピーライフ講座では、大館市の映画通の公民館職員を講師に、大館を舞台にした映画の話、収集しているポスターの話など、映画にまつわる話を熱く語っていただく予定です。開催時間は午後1時30分から3時まで。関心のある方はぜひご聴講ください。
(2006.12.11)