2006年12月12日
コンテンツ番号4806
〜合川地方史研究会〜
合川地方史研究会(福岡龍太郎代表)ではこのほど、会誌「史友(しゆう)」第28号を発行しました。
同研究会は平成2年12月、旧合川町在住者及び出身者を中心に、合川の郷土史に関心を持つ87人の会員で発足した地方史研究団体。現在会員は110人。年2回、地域の歴史・文化などについてのレポートや紀行文などを掲載する研究誌の発行ほか、歴史家による講話会の開催、文化財の保護顕彰、見学会の開催などの活動を行っています。
「史友」第28号はB5版54ページ。表紙は、今年の春彼岸に小阿仁川流域で行われた「まとび」の写真で飾られています。掲載されている記事は、「村の女たちの美意識〜野良着に魅せられて(福岡サヨさん)」「喜三郎家『オンジ』の周辺(藤嶋喜八郎さん)」の3編の連載ほか、大仙市(旧仙北町)の国名称「池田氏庭園」を訪ねた津幡トシさんの訪問記、旧森吉地区の藁人形を用いた民俗行事を考証した福岡代表の「避疫艸霊(くさひとがた)」、編集部による五城目町大川地区での研修記録「大河兼任の故地を訪ねて」など、力作10編ほどと、4編のコラムなどで構成されています。
このうち、福岡代表の研究レポート「避疫艸霊(くさひとがた)」は、ダムの建設によって消えた小又川流域の集落の一つ「小滝」で伝承されていた藁人形を用いた民俗行事を考察したもの。市内在住の小滝集落出身者から聞いた藁人形の儀式を、江戸時代の紀行家・菅江真澄が小又沢を訪れた際に見た藁人形の記録や、阿仁川・小阿仁川流域や鹿角地方で伝わっていた虫送り行事などを引用・比較しながら民俗学的に論じられています。
福岡氏は、害虫や病魔などを避けるために行われたこれらの行事は合川地区でも見られる「塞(さい)の神=しめ縄を結んだ村端の木や石」と目的が変わらず、そのためかつては(塞の神も)人形か人形的なものを立てていたのではないか、と推測。また、「虫追い行事などもほとんどの村で消えた。しかし、そうした(災いを避けたいという)昔からの人々の願いを、今残っているものや記録などで確かめ感じること、それが歴史の心を感じるということだろう」と結ばれています。
「史友」は市立図書館・図書室などで閲覧できるほか、市内の書店にも置かれています。1冊1,000円。詳細は合川公民館(TEL:0187-78-2114)まで。
(2006.12.12)