2006年11月12日
コンテンツ番号4768
〜秋田声楽研究会第23回定期公演「Akiya & Mozart」〜
秋田声楽研究会(三澤由美子代表)による第23回定期公演「Akiya & Mozart(明也とモーツアルト)」が12日、市文化会館で開かれ、市内外から訪れた音楽ファンらが、オペラ歌手の美声とコーラス、モーツアルトの歌劇を楽しみました。
同研究会は昭和63年、地域の音楽活動の活性化を目指し大館市を中心とした北鹿地方の声楽家やピアニストなど有志によって発足、以来19年にわたり、コーラスやオペラなどの音楽活動を続けています。平成5年、10年には、オペラ「フィガロの結婚」を上演、平成10年度の県芸術選奨を受賞しています。中央から著名な演出家や声楽家などを招き、会員らと共同作業で作り上げた公演は音楽の魅力を根付かせてきました。
今回のステージは、第1部が二期会会員のバリトン歌手・福島明也氏の「歌は美しかった〜ラジオの時代」と題するソロステージと研究会会員による童謡の合唱。第2部が今年生誕250周年を迎えたモーツアルト作曲による歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」のハイライトシーン。
福島氏は、東京芸術大学卒業で現在京都市立芸術大学教授。「コジ・ファン・トゥッテ」「ドン・ジョバンニ」「セビリアの理髪師」など多くのオペラに出演するなど、国際的に評価が高い日本オペラ会の実力者です。同研究会の公演にも、音楽監督、出演者の一人として10年ほど前から関わってきましたが、今回は初めてソロでの出演となりました。
プログラム第1部のタイトル「ラジオ歌謡」とは、戦前から戦後初期にかけて「NHKラジオ歌謡(戦前〜戦中は国民歌謡)」と題したラジオ番組のために作られ、放送された歌の数々。この中で「山小屋の灯火」「めんこい仔馬」「夏の想い出」など、今日でも歌い継がれてきた名曲が生まれています。
福島氏は、「たそがれの夢」「山のけむり」「白い花の咲く頃」などアンコールを含め10曲を軽妙なトークを交えながら情感豊かに歌い上げ、ホールはラジオの時代の懐かしさに包まれました。また福島氏のソロステージのあと、声楽研究会合唱団が合唱曲「ナイショ話」「雨のロンド」「故郷(ふるさと)」を披露、美しいハーモニーで聴衆を魅了しました。
第2部の歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」は、イタリアを舞台に、女性の誠実さが不変なものか否かをテーマとした物語。題名の日本語訳は“女性はみんなこんなもの”。相思相愛の恋人が、たった半日で心変わりして新しい相手と結婚しようとする、当時としては不道徳といわれたオペラですが、現在ではモーツァルトの代表曲の一つに数えられています。
福島氏、客演のテノール歌手高橋淳氏(二期会会員)とともに声楽研究会のメンバーが主要な登場人物として出演、会場を埋めた観衆は、会員らがこの数ヶ月にわたり練習を重ねた本格的な舞台に引き込まれていました。
(2006.11.12)