2006年11月30日
コンテンツ番号4750
「知事の市町村懇談会」が30日、市広域交流センターで開かれ、観光や地域活動に携わる市民が寺田秋田県知事と北秋田市の5年後の夢について意見を交わし合いました。
懇談会は、県知事が直接地域住民らと対話し、率直な意見交換を行うことで、県民参加による優先型の行政を推進するための機会とするもの。「北秋田市の5年後の夢を語ろう」をキーワードに、自立に向けたまちづくりについて、フリートーキングが行われました。
参加したのは、岸部市長、織山盛二さん(北秋田市観光協会会長)、加賀隆之さん(NPO法人「冒険の鍵クーン」ガイド)、鈴木稔さん(大野台工業団地協議会会長)、長岐英幸さん(JA鷹巣町職員)、三浦浩子さん(合川婦人会副会長)、三杉営子さん(阿仁婦人会会長)、湊屋啓二さん(市子ども会育成連絡協議会会長)、和田テヱ子さん(鷹巣町商工会女性部長)の9人。また市の各部長と北秋田地域振興局の部課長のほか、北林照助、津谷永光の2人の県会議員がオブザーバーとして参加しました。
参加者の皆さんは、それぞれの立場で自由に意見を述べました
はじめに北秋田地域振興局の武藤冨士雄局長が開催の趣旨などを説明したあと、岸部市長が市の状況や今後の取り組みについて触れながら歓迎のあいさつ。
この後、寺田県知事があいさつの中で、「安部総理が言う『美しい国』は、北秋田地方にあてはまる。経済優先の国づくりから、これからは自然に囲まれ、心の豊かさをめざす時代に入る。私は自然が一番大切ではないかと純粋に考えている。これからは、地方財政もたいへんな時代。切り詰めた予算の中で質を落とさない行政サービスが求められる。しかし、北秋田市であれば、たとえば空港のそばにできる病院には首都圏の方にも利用してもらう、統合高校も、他にはないユニークな学科で魅力を持たせるとか、大きな夢を持って取り組んでほしい」などと、市民をはじめ行政関係者に前向きな考えを求めました。
懇談では市観光協会の織山会長が口火を切り、「5年間を考えると、最初の2年は秋田わか杉国体、全国植樹祭と全国規模のイベントが続くが、その後が課題。植樹祭の終了時点ですぐに森吉の観光を売り出すための拠点づくり事業に取り組み、自然をそのままの形で提供するような観光をめざしたい」と述べました。
これに対し寺田知事は、「森吉の原生林のような手を加えない素材は大切。定期路線を利用し秋田を訪れる韓国からの観光客なども関心を持っているようだ。ただ、売り出すためには、具体的な観光計画やネットワークづくりなど目標設定が先。お金がないというなら知恵を出し合って」と述べ、そのためには市も『支所』の存続などにこだわらず、職員を企画づくりに向けるなど、柔軟なシステムづくりを進めるべき、との持論を述べていました。
また、森吉山のガイドボランティアなどを行っている加賀隆之さんは、依頼者が多人数の団体から少人数、夫婦2人などでのグループで訪れることが増えてきた傾向を説明しながら、より自然に親しんでもらえるように「5感を通して自然と一体になれる自然体験ツアーを作りたい」と提言。
寺田知事は、「秋田県民は、県民性なのか“もうける”といった意欲が足りない。自然を売り出すにしても、温泉など他の観光資源とも組み合わせ、各団体が連携したネットワーク作ることで利益や雇用につながるのでは」と、ネットワークづくりの重要性を述べていました。
子ども会活動に取り組んでいる湊屋啓二さんは、親子でのカヌーづくりやホタルの観察、川漁体験などの活動について紹介しながら「空き店舗を利用した子どもの居場所づくり」を提言。
また、「これからは、心の豊かさをはぐくみ、地域に誇りを持てる教育が必要」との意見に寺田知事は、県が考えている統合高校の構想に触れ、「学校は地域の文化の拠点。北秋田ならではの特色が必要。普通科のほかに緑地環境科や特別進学コース、スポーツコースなどの設置を検討しているほか、アグリビジネスやグリーンツーリズムに対応したコースも考えている。さらに特色のあるコースがないかについても探っている段階」と、統合高校の構想を紹介していました。
(2006.11.30)