2006年10月07日
コンテンツ番号4739
〜第6回北秋田市縄文まつり〜
国指定史跡「伊勢堂岱遺跡」をPRする秋のイベント「縄文祭り」が10月7日(土)、市交流センターホールを主会場に開催され、子どもたちや歴史ファンらが縄文づくしの1日を過ごし、古代のロマンに思いをはせました。
このイベントは、同遺跡が国の指定史跡に指定された平成13年、遺跡に関心を持ってもらい、また子供たちにも体験学習の場を提供しようと始まったもので、今年で6回目になります。
伊勢堂岱遺跡はあきた北空港(大館能代空港)そばの台地上に位置する縄文時代後期前半(今から約4000年前)の遺跡で、平成7年に同空港アクセス道路建設に先立つ発掘調査で発見されました。環状列石(ストーンサークル)や配石遺構、掘立柱建物跡、土壙墓、捨て場など、多くの祭り・祈りの施設が見つかり、大規模な祭礼の場ではないかと推測されています。遺存状態がよく学術的価値が高いことから、平成13年1月、国の史跡に指定されました。
午前10時から行われた開会セレモニーでは、三澤仁教育長が、伊勢堂岱遺跡の発見からこれまでの調査のあらましなどを紹介しながら、「今年は、直径5mの竪穴住居跡が見つかるなど、新たな発見もあり、さらに遺跡への関心が高まってきた。今日は、一日縄文人になりきって楽しい時間をすごして」などとあいさつ。このあと、開会を知らせるのろしを打ち上げ、まつりが始まりました。
会場では、土偶や当時の装飾品だった「勾玉(まがたま)」づくりコーナー、弓矢の的当て、火おこし体験コーナーなど盛りだくさんのイベントで、縄文時代をPR。土偶づくりでは、伊勢堂岱遺跡出土の土偶ほか、白坂遺跡から出土した「笑う岩偶」の型も用意され、伊勢堂岱遺跡ほか市内から数多く発見されている縄文遺跡にも関心を持ってもらおうとの工夫もされていました。また、会場から伊勢堂遺跡の現地までバスで移動し、現地説明会も行われました。
このうち、「火おこし体験コーナー」は、「舞いぎり式火おこし」という道具を使って火をおこすもの。道具を回転させ、心棒と床に置いた板との摩擦熱で発火させますが、子どもたちは、なかなかコツがつかめず、回し続けても出るのは焦げ臭いにおいばかり。スイッチ一つで火がつく現代生活の便利さをあらためて感じていた様子でした。
各コーナーでは、伊勢堂岱遺跡ワーキンググループのメンバーや遺跡に関心のあるボランティア、また陶芸教室のみなさんなどの60人ほどのボランティアがスタッフとして協力、訪れる人たちのお世話や案内で活躍していました。
また、会場となった交流センターの展示ホールでは、7日から4道県のストーンサークルを紹介する「北の縄文文化回廊展」が開かれ、伊勢堂岱遺跡ほか、北海道と秋田、青森、岩手3県のストーンサークルのある遺跡の写真パネルや出土品などが展示されています。
この展示は、秋田県が北海道・北東北3県の地域間交流として進めている「北の縄文文化回廊づくり事業」の一環。県教育庁生涯学習課文化財保護室の主催で15日まで開かれ、最終日には「北の縄文文化回廊フォーラム」として研究者による特別講演も行われます。
紹介されている遺跡は、伊勢堂岱遺跡のほか、大湯環状列石(秋田県)、鷲ノ木5遺跡(北海道)、小牧野遺跡(青森県)、湯舟沢遺跡(岩手県)など10遺跡。ストーンサークルは、その形や出土品などから「墓地」や「祭祀場」ではないか、といわれているものの謎が多く、縄文人の世界観を知る大きな手がかりとなっている遺溝です。展示された写真からは、さまざまな形のストーンサークルがあることがわかり、大きなロマンを抱かせる内容となっています。
展示は15日まで(入場無料。開催時間/午前9時30分〜午後4時)。最終日の15日午後1時からは、盛岡大学教授・熊谷恒正氏と、弘前大学教授・藤沼邦彦氏による「ストーンサークルとマツリ〜伊勢堂岱遺跡をめぐって」と題した特別講演が行われます。お問合せは県教育庁生涯学習課文化財保護室(TEL:018-860-5193)まで。