2006年07月08日
コンテンツ番号4579
市内・栄地区の湿地で
梅雨明けはまだ先のようですが、濃い緑に覆われた市内の里山はハナショウブなどの野の花で彩られ、また、トンボやセミなどの昆虫たちが姿を現し、本格的な夏の訪れを感じさせ始めました。
鷹巣地区・栄の山林の一角にある湿地では、「赤い妖精」とも言われるハッチョウトンボが羽化し、今年も可憐な姿を見せています。このトンボは、体長が2センチにも満たない日本最小のトンボ。10円玉で隠れてしまいそうなほどの大きさです。成熟したオスは深紅、雌と未成熟の雄は黄色と茶色の縞模様で、7月上旬から8月上旬にかけて見られます。
背の低い草が生え、きれいな湧き水のある湿地にしか棲めないため、市内でも生息地が限られています。栄地区のこの周辺でもかつてはこのトンボのいる湿地が点在していましたが、山林の伐採に伴う湿地の減少と環境の変化によって、今ではごく一部でしか見られなくなっています。
秋田県版のレッドリストでも、ムカシトンボやエゾトンボなどとともに準絶滅危惧種※に指定されています。またここの生息地は、山林の奥にあるため人目につかず、サワランやトキソウ、カキランやキンコウカ、モウセンゴケなど希少な植物も自生しており、たいへん良好な環境が保たれています。
環境省の指標昆虫にも指定されているこのトンボ、美しい自然を守り、ふるさとの財産として後世に伝えたいものです。
準絶滅危惧種
現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧種」に移行する可能性のある種。