2006年05月29日
コンテンツ番号4484
北秋田市ゆかりの作家・辻美沙子さん(1934-1999)原作による映画「林檎の花咲く町(昭和38年・東宝作品)」のスチール写真展が5月27日(土)・28日(日)の2日間、北秋田市文化会館で開催され、鑑賞に訪れた人々が昭和30年代の学園生活を描いた映画の懐かしい写真の数々に見入っていました。
原作となった辻さんの同名小説は昭和36年雑誌「家の光」の新人長編懸賞小説に第1席で入選、同誌に昭和37年新年号から1年間連載され、その後単行本としても出版されました。雑誌の連載後、東宝で映画化され全国で上映されました。主演は白川由美。監督はその後、加山雄三の「若大将シリーズ」などで知られる岩内克己(いわうちかつき)氏。同名の主題歌を歌った高石かつ枝が生徒役で出演したことも話題になりました。
原作者の辻美沙子さんは、戦後の昭和21年から26年まで5年間を鷹巣で過ごし、母校・鷹巣農林高校での学園生活が原作に色濃く反映されていると言われています。映画は、原作をもとに昭和30年代の高度経済成長期の高校生の姿を重ね、明るい青春映画として製作されました。
スチール写真は、昨年9月辻さんの生涯を広報紙で特集するため岩内克己氏を取材した際、岩内氏から北秋田市で活用してほしい、と寄贈を受けたもので、キャビネサイズの原版を展示用に半切サイズ(34×41センチ)に拡大したもの。全部で41枚。映画のイメージとなった林檎園でのシーンなどは、出演者の表情なども生き生きと表現され、モノクロ写真ながら林檎の花が咲く時期の風景を鮮やかに映し出しています。
また、写真のほか宣伝用のプレスシートや美術セットの青焼き図面、脚本家から監督にあてたハガキなど映画にまつわる資料や辻さんの小学校から鷹農時代の写真、単行本が出版された際の祝賀会の写真なども合わせて展示されました。
辻さんと鷹巣小・鷹巣中・鷹農で同期・同級だった斎藤禮子さん(71)は、「とても懐かしい。孝子さん(辻さんの本名)にはもっと長生きしていてほしかった。今になっていろいろな形で業績などが紹介されているが、天国で驚いているかもしれませんね」と話していました。
なお、写真展は当初2日間のみの開催予定でしたが、6月4日(日)まで延期されます。(一部の資料については鷹巣図書館に展示しています)
(2006.5.29)