2007年09月11日
コンテンツ番号9048
平成19年第6回議会定例会一般質問(1日目)
平成18年北秋田市議会9月定例会の本会議が9月11日(火)、市議事堂で再開され、5人の議員が一般質問を行いました。この日は、福祉行政に対する市の考え方、個人情報保護、仮称北秋田市市民病院、農業所得の向上などについて質疑が行われました。
このうち、個人情報漏洩に対する対応についての質問に岸部市長は「NECに対しては、住民説明に要した職員の時間外勤務手当てやチラシ印刷代を計算して総額185万円ほどを請求することになる」と説明。
また、委託先の選定については、「個人情報の適正な管理を遵守できる業者でなければならないこと、また契約の際に、個人情報の厳正な取扱いを遵守する旨を確約しなければならないことを定めている。いずれ、事業者のその管理システムを総合的に判断して委託契約を締結したい」と再発の防止を踏まえた委託方法について答弁しました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
小塚 光子 議員(千光会)
(順位1-1)
1.福祉事業は行政の担い手として北秋田市民の暮らしと命を守る「砦」
市としての捉え方について
地域福祉と施設福祉の役割は市の財産、それを取り持つ市の責務と理念について
市の総合計画に示してあるように、市民誰もが安心・安全に暮らすことができるように、また、誰もが健康で生き生きと暮せるようにと、市の生活基盤の充実としくみを整えることと考えている。
社会福祉法人、社会福祉協議会の設立の根拠と役割について
地域支援福祉とネットワークが、さらに重要視される途上をどう捉えるか。
社会福祉協議会は行政が立ち上げた地域福祉の向上と普及推進のための組織体だ。社会福祉のための事業の企画・実施を始め、その住民の参画や事業の健全な発達を目的に設立されている。今年は、146名の職員が市内6600世帯を訪問して住民の声を把握するなどの事業をおこなっていて、その反響もすこぶる良かったと聞いている。社会環境の変化の中、新たな課題などについては関係者での協議機関をたちあげてその問題解決に向けて対応して参りたい。
財団法人たかのす福祉公社の設立の根拠と役割について
安心と在宅の架け橋、医療・看護・介護・ターミナルケアの専門施設をどう捉えているのか。
(財)たかのす福祉公社は「市及び市社福協との連携を図り、保健福祉サービスの提供を通して地域社会福祉の形成に寄与する」ことを目的に、平成10年12月に設立された。旧鷹巣町時代から、「ケアタウンたかのす」の管理運営を受託してきている。ケアタウンの役割は、市の高齢者福祉政策充実の拠点施設としての機能の充実であることから、今後も利用者、地域住民等との連絡・連携を密にしてサービスの充実を 図って参りたい。
コムスン問題からみえる介護保険制度導入の矛盾について
コムスン問題は非常に残念だ。問題となった違反や不正請求などの発生と防ぐために県等との連携を強めていきたい。この背景は、経営上で人件費を抑えなければならない問題が大きい。介護保険料の値上げなどは簡単にできないので、施設経営・マネジメントの確立へ向けた方策が重要と認識している。
介護事業の柱はマンパワー。北秋田市内の事業所は若者の雇用の場を急激に広げた市としての支援の役割的存在は。
市の介護事業における(推定)雇用者数は約850名。若者雇用の一翼を担っている。市の定住促進を進めるうえで、多くの振興策がある中でも、今後も高齢者福祉政策の充実と合せ、この方面の雇用拡大に取り組んでいきたい。
指定管理者制度導入は必要。その中で市として公募、非公募の対象に係る各部門別あったものか。
この制度は、原則「公募」である。民間活力の導入、サービス強化、効率的経営を目ざしたもの。市発足直後は、激変緩和措置ということで柔軟に対応したが、今後はこの公募に徹した指定管理制度を充実させるべく、所管部署で対応していくことになる。
2.障がいを持った人・家族の暮らしを支援し発展させる障害者自立支援法について
乳幼児療育支援と、思春期療育支援をつなぐ地域の受け皿の現状と課題について
乳幼児療育支援については、関係機関で組織する「育成指導連絡協議会」を開催して検討などを行っている。思春期療育支援は、中学校卒業後の実態把握が困難なこともあって、その支援体制も稀薄になりつつある現状と見ている。議員の指摘するように、保健センター等を核とした支援のシステムを確立させ、的確な相談及び情報提供ができるようにするための体制を構築することが重要と考える。
障害者程度区分は介護保険と要介護認定がベース。特に知的障害、精神障害は外見的評価のみが顕著に出やすく、最も必要な内面的評価が薄い。市としてどう配慮しているか。
施設地域移行も鑑み、適切な支援体制と連絡協議会の整備が求められると思うが、具体的な方向性について
障害程度の判定に当たっては、認定調査、医師の意見書などに基づき審査会の審査で行っている。議員ご指摘のとおり、「内面評価」の部分が十分とはいえないと思っている。これらのことから、認定調査では、保護者や介護者などからの聞き取り調査を行って、内面的な状態の把握を行えるなど、適正な判断ができるように努めているところである。障害者及びその家族の地域生活を支える拠点施設「市障害者生活支援センター」がこの4月オープン。 関係者の利用が高まっていて何よりと思っている。今後の充実のため、関係機関との連携を高めながら、協議会を立ち上げて支援ネットワーク構築を進めて参りたい。
3.北秋田市公的医療機関再編整備計画について
北秋田市公的医療機関再編整備計画と北秋田市議会への提出の北秋田市医療整備基本構想概要について
県に再編整備計画を提出している。内容は当初の整備計画と比較するところの精神科床や一般病床の変更である。このあと、結核病床を4床にする申請もこの4月に行っている。医師確保などの詳細は、同じく県の審議会にこれから明らかにすることになっていくので、その段階でお知らせしていきたい。厚生連との(指定管理者の)折衝に係る部分も12月議会に示すことができるものと思っている。
病院建設に最も重要な要素である、ライフラインの確保について
上水道などのライフラインは建設工事とは別に敷設整備されている。水道は地下水を使用するものとなる。浄化槽整備も3億4千万円の予算で施工される。上水の使用量、浄化槽の処理量(両方とも1日あたり)それぞれ347トン、490トンを予定している。ほかに、耐震構造(震度7)、停電3日対応などとなっている。
佐藤 文信 議員(新創会)
(順位1-2)
1.行政改革について
限界集落への認識と、対応・基本計画や実施計画に変更があるのか。
人口減少、とりわけ「限界集落」の認識を高めてその対応が重要となってくる。少子高齢化の伸展で生活の維持が極めて困難な状態となって、「地域・集落」として成り立たなくなることだから大変である。この対策としては、とりも直さず定住対策であり、都市との交流、雇用の場の確保などであり、全力で対処していかなければならない。いま、企業誘致の関係で精力的に当たっているが、男子型企業の2社と交渉中であることをお知らせしたい。定住人口の増加に結びつけるようになって欲しいものである。
財政健全化法への対応
財政指標の適正化が図られるのか。
主要な財政指標について県からヒアリングを受けた。「経常収支比率」は17年度が97.3%で、18年度が94.9%だ。数値の減少(好転現象)は、人件費、除雪費の減少分であるが、この秋田県平均値は17年度で92.2%となっている。次に「実質公債費比率」は、18年度で17.7で、18%を超えると「公債費負担適正化計画」が義務づけられ、厳しい財政運営が増すこととなる。県内ではこれを超えた市町村が4市5町となっている。
財務計画の策定について
合併3年となるが依然として財政事情は厳しいものがある。その主な原因は、国からの「地方交付税」が3年間で10億円の減少となっていること他の自治体と比較して職員数が大幅に多いことを原因とする人件費負担増、の2点だろう。向こう23年度までの財政をシミュレーションすれば、20年度以降は歳入不足が継続するということになって、ますます経費削減(人件費を中心とした)が必要となって、事業選択の吟味も行わなければならないと考えている。
病院事業への地方公営企業法の全部適用について
確かに、自治体財政事情の悪化を要因とする「法の全部適用」とするところが増えてきている。市民病院は、指定管理者に経営を委任するものであるから、むしろ「公営企業法の全部適用」より厳格なものになると考えている。これとは別の米内沢病院への法適用についても、近く構成機関らと協議の場をもってその検討を進めて行きたいと思っている。
指定管理者、補助金交付団体の検証について
市の持ち出しや補助金交付などが、目的遂行のためのものとなっているのか、その検証を高めていきたい。
個人情報保護対策について(個人情報漏洩後の対応)
賠償金の請求
NECに対しては、住民説明に要した職員の時間外勤務手当てやチラシ印刷代を計算して総額185万円ほどを請求することになる
規則の整備
この3月に新たに制定した個人情報保護条例を根拠とした規程集(要綱、訓令の類)として、「市個人情報取扱事務委託基準」「市指定管理者が行う公の施設に係る個人情報取扱基準」など4つの規程を定めて罰則の規定、契約の点検・見直しなどの指示を行うなど、事業者に対して徹底した管理の強化を求めているところである。
委託先との情報管理システムの整備・委託業者の選定基準の整備
制定した「市個人情報取扱事務委託基準」の中で特に、個人情報の適正な管理を遵守できる業者でなければならないこと契約の際に、個人情報の厳正な取扱いを遵守する旨を確約しなければならないことを定めている。いずれ、事業者のその管理システムを総合的に判断して委託契約を締結することが重要と考えている。
企業立地促進法への対応について県との協議は進んでいるのか。
法律の趣旨は、その地域特性のうえに業種の立地を促進し、産業の活性化を目ざす、というものだ。現在、市では、「資源リサイクル・医療関連」「木材関連」の各協議会の設立へ向けた県及び関係市町村との協議に参画している最中で、今後、今月中には協議会が設立されて基本計画の策定も行われ、10月中には国との協議になる見通しである。
原田 醇一 議員(公明正大)
(順位1-3)
1.農業所得の向上について
北秋田市の農業ビジョンを考える時と思いますが、お考えは。
農業経営基盤強化促進法に基づき、市では平成18年に農業経営基盤強化の促進に関する基本的な構想を定めており、農業を魅力ある職業となるよう農業経営の発展の目標を明らかにしている。年間の農業所得では農業従事者一人当たり400万円程度、労働時間では年間2,000時間程度の水準を実現できるよう目指すものとしている。「おいしい米」と、その加工品づくりを、生産者やJAなど関係者一体となって取り組みたい。
知恵は現場にあり、成功している方々との懇談が大事な基本になる思います。
市内には、「つまもの」の生産などで大臣表彰を受けるど、多彩で活力ある農業経営を実践している方も多く、このような方々と懇談を行うことなどで地域農業の発展、活性化に貢献していただくことも大切と考えている。
林業者との協力による山菜等の栽培、観光農園作りの推進、商工会による加工、販売等が考えられると思います。
たいへん重要。市には阿仁地区に5つの山菜栽培組織があるが、これらの組織を核としながら栽培農家の育成・強化を図り、地場特産品として普及活動に取り組むことも方法の一つ。商工会や観光協会とも連携を密にしながら進めてまいりたい。
2.防犯灯、街路灯について
昼も点灯している水銀灯、蛍光灯の対策は。
器具の不具合である可能性があるため、早急に調査を実施し対応したい。
暗いところの今後の対策は。
自治会、町内会で設置するカ所については、市防犯街灯補助金要綱を定め、自治会等の申請により補助金を交付しているが、補助の方法などについては再検討したい。
福岡 由巳 議員(共産党議員団)
(順位1-4)
1.病院問題について
合併協議会時の病院資料、基本構想及び基本構想概要で新病院の計画はかなり変化している。基本方針はどのように変わったか、なぜ変えざるを得なかったのか。
基本構想から外来患者数(450人→780人)、病床数(354床→320床)などが変更になっているが、基本構想の数値はあくまでも関係機関との協議のためのたたき台であったもので、その後関係機関との協議や医療審議会等での審査結果、指摘事項を尊重し現在の数値となったもの。特に、構想時点では設けられていた「地域医療支援病院」制度がなくなるなど、国の進める方針や、求められている医療体制に合わせてきたことが大きい。
なお、外来センターについては、病院の完成に合わせこれから計画を示したい。
病院設置条例が提案された現在おいてなお、新病院設置には高いハードルが多過ぎると思うが、これらの見通しを説明することなくここで条例を議決しようとするのは早計ではないか。
北秋中央病院の改築は難しく、また公立米内沢病院は市財政の大きな負担となっている、といった事情などから既存の医療体制を維持するのは困難。このため、効率的運営が期待できる「指定管理者制度」により新病院を建設し、より信頼される医療体制を構築することは喫緊の課題であると考えている。このような考えで計画を進め、今回の条例提案となったもの。
2.国保税の減免申請について
国保減免申請拒否処分取消等請求事件について、市長の考えを問う。
7月11日付けで市を被告とした訴状が提出されたことから、事実内容を踏まえ、弁護士とも相談しながら対応したい。なお、「公平負担」という納税の基本原則から、減免申請手続きについても厳正な審査が必要なことをご理解願いたい。
今回の住民訴訟は、一昨年以来の一連の問題である。この件についての私の一般質問に対する市長答弁が実行されていない。十分に調査すべきでなかったか。
その時点で平行して減免不承認に対する異議の申し立てがあり、その棄却決定に至ったのが18年3月22日になっている。したがって、減免判定についての一連の審査事務がさらに継続されており、調査・報告という形は難しい状況があったことによるもの。
「同意書」、「取扱要綱」は、上位法との関係で違法性はないか。
減免に関する取扱要綱は、条例及び規則に関して必要とされる内容を定めているもので、法の趣旨に沿った内容が定められているものと認識している。なお、地方税法707条は、徴税吏員に調査権がある、といった趣旨の条文。同意書はあくまで条例及び規則に定められた事項を執行していくために必要な様式として定めたもの。
3.非核・平和都市北秋田」宣言の具体的取組みについて
「非核・平和都市北秋田」宣言を早期に具体化すべきと考えるが、当局の計画はどのようになっているか。宣言に関わる北秋田市でのイベント開催に積極的な支援を
6月定例議会での議決後、7月16日付け広報に全文を掲載し、市民への周知を図った。今後、看板設置などでさらに周知、啓発を図りたい。 内容にもよるが、支援できるものについては検討したい。
湊屋 啓二 議員(新創会)
(順位1-5)
1.少子高齢化問題に全市民と行政が協働して真剣に取り組んで行くための方策について
北秋田市における少子高齢化の状況について
40年前の旧4町当時と比べ、出生数は27.9%減少している。また、平成19年7月31日現在の高齢者人口は13,990人。昨年同期で人口は735人減少しているが、高齢者数は150人増加している。また高齢化率は33.97%。
北秋田市における人口動態予想と市民生活への具体的影響について
基本構想の将来人口の推移で示したとおり。平成22年で37,100人(高齢化率予測36.1%)、27年で34,300人(40.1%)、32年で31,400人(43.6%)、37年で28,600人(46.0%)。この結果、人口減少による地域経済の衰退、少子高齢化による賑わいの減少、限界集落が増える(近づく)ことへの懸念、山林の荒廃、などが予想される。
市民に対する説明責任を果たすための具体的方策と計画について少子高齢化問題に、市民と行政が協働して取り組むためのシステム作りについて
まず雇用の場の確保。今後も誘致企業の推進などに積極的に取り組みたい。また、市民が行政に参加していただくことも一つ。都市計画マスタープランへの意見提言、提案型補助金事業への参加、コウノトリ委員会が進める事業への協力などもその一例。「市民と行政の協働のまちづくり」がシステムづくりには不可欠。
2.国体・植樹際を契機とした観光・物産振興への取り組みについて
国体・植樹際が北秋田市の観光・物産振興にもたらす影響の分析もしくは認識について
国体・植樹際を契機とした観光・物産振興への取り組み計画について(民間ベースにかかる調査結果があればその結果についても)
特に、昨年度制度がスタートした「推奨認定特産品」を中心に、関係機関と連携を図りながら来訪者向けにPRを図りたい。経済的な観点かからは、昨年度開催された兵庫「のじぎく国体」での経済波及効果として生産誘発額470億円、粗付加価値誘発額250億円などと数値が現れているように、当市においても多大な波及効果があると認識している。
JR鷹ノ巣駅の旧「アッキー」(ファーストフード店)跡地利用については、開催に合わせ案内所を設置の予定。また、厨房施設もそろっていることから、国体終了後も、地域のおいしい「食」を提供する施設として借り上げ、活用することを考えている。
3.北秋田市の特産農畜水林産物を活用した食品加工・製造業の振興について
北秋田市当局が特産品として認定若しくは注目する農畜水林産物の品目と生産量・生産額について
18年度の実績として、比内地鶏528,892千円(182,470羽)、きりたんぽセット95,396千円、スープ90,463千円、あゆ(阿仁川漁協)100,800千円、などが上げられる。
北秋田市産業構造における食品加工・製造業の位置付けに対する当局の認識について
食品加工・製造業は、大型産業とは工場・店舗等の規模内容に大きな違いがある。農林水産生産物を原材料として行う食品加工・製造業は、地域産業として活性化につながるもので、その企業で製造する商品は、市民の消費生活の中で欠かすことのできない必需品となっているものがたくさんある。市としても企業支援のため、各企業からの提案による「特産品活性化事業」を継続的に実施することにより、活性化につなげたい。
特産農畜水林産物を原材料とした食品加工・製造業の現状と分析について
自社での研究開発や提案で努力が見られる企業も多い。市としても頑張る企業、研究開発に努めている企業への支援を今後も進めてまいりたい。
食品加工・製造業振興のための具体的方策について
食品加工・製造業振興のためには、県・商工会、農協等の地域の関係団体との協議が第一。現在は、市が支援している協議会を中心に、空き店舗を利用するなどし、市が認定・推薦する特産品を食材とした「食事処」「売店」等の店舗を開設するため検討を進めている。