2007年06月07日
コンテンツ番号9776
佐藤卓史・佐藤俊介デュオコンサート
(2007.6.7)
世界の舞台で活躍しているピアニスト佐藤卓史(たかし)とヴァイオリスト佐藤俊介のデュオ(2人)コンサートが6月7日、北秋田市文化会館で開催され、詰め掛けた音楽ファンが若き2人のミュージシャンの奏でる情感豊かな演奏に魅了されました。
佐藤卓史さんは秋田市生まれで現在ドイツ・ハノーファー音楽演劇大学に在学中。幼少時からピアノを始め、小学校4年生のとき全県ピアノコンクールで大賞を受賞するなど、数々のコンクールに入賞、高校は両親の方針で埼玉県に転居し芸大付属高校に入学、プロを目指すという音楽に徹した生い立ちを送りました。
東京芸術大学入学後は第30回日本ショパン協会賞を最年少で受賞、2006年に同大卒業後もプーランク国際ピアノ・コンクール(フランス)で第3位に入賞するなど数々の国際コンクールでも評価を受け、将来を嘱望されたピアニストとして活躍しています。佐藤さんの父・孝逸さんは元教諭で綴子の二本杉出身。この日の公演には、ご親戚の皆さんも大勢駆けつけました。
ヴァイオリンの佐藤俊介さんは1984年東京生まれ。2歳でヴァイオリンを習い始め9歳でフィラデルフィア管弦楽団の学生コンクールに優勝するなど早くから才能を発揮、最近ではヨーロッパを中心に活動の場を広げている俊英です。
第1部で演奏された曲はモーツアルトのヴァイオリン・ソナタ第30番と、今年没後100年を迎えるノルウエーの作曲家グリーグのヴァイオリン・ソナタ第2番の2曲。それぞれ一曲が20分を超える名曲を、卓史さんのテクニックと力強さにあふれる伴奏で俊介さんがヴァイオリンの旋律を繊細かつ優美に表現、会場から大きな拍手を受けていました。
休憩をはさんだ第2部では、はじめに佐藤卓史さんがピアノソロを続けて演奏。最初の曲・グリーグ「夜想曲」ではロマンティックな曲調を、同「トロウドハウゲンの婚礼の日」では晴れやかさをダイナミックな演奏で弾き分け、聴衆を魅了していました。
この後、シベリウスやシューベルト、リストの曲を演奏。特に超絶的な技巧で知られ「ピアノの魔術師」と呼ばれたリストの代表曲「ラ・カンパネラ」では、リスト顔負けの技巧と迫力ある演奏で聴衆を圧倒し、さらに大きな拍手を浴びていました。
そして再び佐藤俊介さんが登場すると、2人はクライスラー作曲のピアノとヴァイオリンのための楽曲「愛の喜び」「愛の悲しみ」を演奏、一瞬も乱れることのない緊張感を保ちながらも叙情性豊かな2人のアンサンブルに聴衆も再び引き込まれていました。
プログラムの最後は、音楽の教科書にも載っている名曲サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。ハンガリー民謡に題材を採ったといわれる華やかで劇的なヴァイオリン曲です。俊介さんはこの名曲を、弦を指ではじく「ピチカート」と呼ばれる奏法などあらゆるテクニックを駆使しながら、また卓史さんはヴァイオリンを堅実な伴奏で支え、ホールを2人のフレッシュでのびやかな表現で満たしました。
この後、2人は会場からの鳴り止まぬアンコールの拍手に応え2曲を演奏。観客は約2時間にわたりクラシック音楽の醍醐味を堪能した初夏の夜となりました。