2007年06月14日
コンテンツ番号9051
平成19年6月定例議会一般質問(第2日目)
平成19年北秋田市議会6月定例会の本会議が14日、市議事堂で再開され、4人の議員が一般質問を行いました。この日は、農業振興、個人情報流出問題、公立米内沢病院への赤字補てん、指定管理者制度、市の財政などについて質疑が行われました。
このうち、個人情報流出漏えい問題については、市民の皆様に不安とご心配をかけたことをあらためて陳謝しながら、情報管理の徹底とともに、漏えいのもととなった委託業者に対し損害賠償を求める対応策などについて説明しました。
また、秋田内陸線の存続に向けて、今年も夏限定の企画や地域の食材を活かした「うめーもん列車」などの利用推進策を示し、市民とともに存続にむけて努力して行く決意を示しました。
各議員の質問と、市長答弁の要旨は次のとおりです。
長崎 克彦 議員
(順位2-1)
1.農業振興について
市の農業への基本的な考え方は
【答弁】
議員が言うとおり、まさに農業は各集落・地域をささえているもの。北秋田市は従来より、稲作を中心とした農業を基幹産業としてきた。時代に見合う安定で効率的な経営に発展させるため、農家の皆さんが希望をもって取り組むことができる環境づくりが肝要である。現在の「柱」となる事業は、
生産基盤の整備と維持(圃場整備、農地の集団化、水路、農道整備)
経営基盤の強化(担い手育成支援、特産品の加工・販売強化)
環境に配慮した循環型農業の推進(土づくり、戦略作物増強)
都市と農村交流の促進夢プラン応援事業
などである。 国の支援体制が大きく変わってきたが、市としても、基幹産業としての農業を守り、継続・発展させることを心がけ、農業への支援は行っていきたいと考えている。
鷹巣地域15の集落営農組織へ、行政はどのような指導をするのか
【答弁】
「集落営農組織」での農業経営には、自己保全田の解消機械経費の削減水田の団地化各種補助事業を活用した「新しい水田農業」の展開等々のメリットがあることを述べてきた。稲作を中核に大豆、野菜を組み合わせた複合経営を関係機関と連携のもとに推し進めてまいりたい。
「夢プラン応援事業」について、市の負担1/12を2/12に引上げるべきと考えるが
【答弁】
他県においてはかなりの高率の補助事例もあるようだが、市においては、年度途中のことでもあり、既に事業が終了したものもあるので、新年度に向けて関係の機関、団体と協議して検討したいと思っている。
2.未収対策について
税、使用料等の滞納の総額は
【答弁】
市税2億6千2百万円、国保税 2億4千百万円、使用料等 1億1千6百万円で、全体で6億2千万円の滞納額となっている。
滞納整理(回収、欠損処分)の手法は、インターネットによる公売の考えは
【答弁】
市民への行政サービス上、大変不利益なことで残念である。このことから市では、今年2月に「市収納対策会議(本部長・副市長)」を設置して滞納額の縮減を目ざしている。関係各課においても、収納に取り組む体制が整いつつあり、18年度決算ではその成果あって、滞納繰越収入が増加した。例えば学校給食費の問題も、担税能力があっても個々の自覚が乏しいのであって、今後、協力な収納活動が必要だ。インターネットによる公売は、不動産等の差押えをした場合の「滞納整理」として有効な手段だと思う。今後、調査、研究を行ってみたい。
3.病院問題について
阿仁病院の医師1人の確保もできないのに、仮称市民病院の医師30数名はどうして確保できるのか納得の行く説明を
【答弁】
阿仁病院の件は、秋田県の方針で医師を引揚げざるを得なかった。自治体病院は医療体制の確保に難渋の最中と言ってよい。市民病院(仮称)の医師確保はこれまで何度も説明してきたとおり、相手方厚生連との連携・協力体制を密にして、県からの指導等をも受けながら医師確保の目途をつけたいと考えている。
指定管理を受け、市民病院を経営する予定の厚生連の11項目に渡る要望書は、どこまで協議が進んでいるのか(職員の問題、外来センター、跡地問題)
【答弁】
議員がいう11項目の要望については、合意を得たものとそうでないものとがあるが、「外来センター設置」「職員の派遣・身分の扱い」「原価償却費の取扱い」などは検討事項として協議中である。その他、「赤字経営の場合は市が負担」等の説明をしてきたとの指摘だが、あくまで、病院資産に対する責任は市に帰属するが、病院経営に対する責任は厚生連側との理解に立っている。
4.個人情報漏えいについて
識別可能な氏名、住所、生年月日など、細部に及ぶ情報が漏れたが、これの対応と責任は
【答弁】
市民の皆様に不安とご心配をかけたことに対し、改めてお詫び申し上げたい。流出情報のうち、個人を識別できるとされた鷹巣地域の各世帯へは、職員が今月の5日、お詫びと対応についての説明に伺ったところだ。今回の件は残念ながら、委託業者の基本的な義務違反によって発生したものだが、市としてもことの重大さを認識し、その責任は重いものと受け止めている。委託した業者に対しては、市が要した経費の補償や市民が被害を被った場合の対応を申し入れてある。
原田 醇一 議員
(順位2-2)
1.個人情報流出について
委託先に損害賠償を請求すべきと思うが
【答弁】
委託した業者に対しては、市が要した経費の補償や市民が被害を被った場合の対応を申しいれており、これについては業者からも、きちんと対応する旨の回答を得ている。これらのほか、各種の事務費などが想定されるが、市の(嘱託の)弁護士ともよく相談をしながら損害賠償等の請求を行わなければならないと考えている。
2.指定管理者制度について
1年以上指定を受けている4施設の今後はどうなされるのか
昨年公募した3施設と、非公募29施設の1年間の報告を受け、どのような指導をなされたか
【答弁】
市の条例において、会計年度終了後に実績報告書を提出しなければならないことになっている。これを基に、各所管部署で審査・検証する。指定管理料は単年度契約で、その実績等考慮双方協議のうえ検定する。報告書の検証等で、その管理内容に不適切な状況があったりすれば、改善の指導を行うこととなる。
支出の減は見込みどおりか
【答弁】
18年度と19年度の指定管理料金を比較すると、産業部所管施設で72万2千円、福祉事務所所管施設で2千739万7千円、地域福祉センターとサテライトステーションつづれこ(18年度〜19年度の契約の差額)が463万8千円とそれぞれ節減が図られている。
3.観光について
各種イベントは協会主催で行うべき
【答弁】 現在、実行委員会が主体となってるイベントは「ふるさと踊りともちっこ祭り」「たなばた火まrつり」「あじさいまつり」「花しょうぶ祭り」など。「米代川花火大会」「阿仁の花火大会」などは観光協会がその主体となっている。より合理的で効果を発揮できるよう、これまでの実施主体となっている各種団体間で話し合っていくことが肝要だ。
なお、米代川花火大会については、実行委員会方式に切り替えて開催できるよう準備を進めている。
鷹ノ巣駅周辺に案内所を
【答弁】
JR、秋田内陸線利用の観光客への対応として必要である。今年の国体、来年開催の全国植樹際へのアプローチとしても何らかの手段を講じなければならない。商店街の賑わいづくりへの一助ともなる効果も期待出来ると思う。
パンフレットを主要都市に配布すべき
【答弁】
これまでも、観光情報発信の手段としてパンフレット、ポスター類を活用してきている。秋田県や観光関係業者等と連携して関係会議、イベント等で宣伝活動を展開しているが、主要都市でのパンフレット配布については、県の東京事務所、大阪・福岡などの出先各機関を介してこれまで以上の効果が現れるよう努めてまいりたい。
4.(仮)北秋田市民病院について
周辺に遊歩道を設けては
【答弁】
北欧の杜公園を有効に活用できるようにと、病院敷地内へ、リハビリ用の庭園設置の計画を進めている。
森林浴(癒し)効果の高い樹種を植栽しては
【答弁】
北欧の杜公園と景観的に一体感、連続性を創出できるようにと、それにふさわしい樹木の植栽を考えている。
5.報奨金制度について
制度を廃止すべきと思うが
【答弁】
「報償金」を謳う市の条例は無いが、合併前の旧4町の条例・規則等に適用されていたものは、経過措置規定により引継がれているものがあるので、ご理解願いたい。
武藤 忠孝 議員
(順位2-3)
1.公立米内沢病院への慢性的赤字補てんと今後の対策について
市財政が厳しい折に、巨額な赤字補填を今後も続けられると考えておられるのか
【答弁】
米内沢病院の負担は平成12年度から5億超、17年度は6億を超えている。交付税分を差し引いた一般財源からの持ち出しも平成12年度から2億、15年度からは3億を超え、病院への負担が市の財政を圧迫しており憂慮している。18年度の不良債務について上小阿仁村では負担分2千3百万円を受け入れるよう議決したようだが、当市は2億5千5百万と、予算総額の1%を超える額であり安易に負担できない。したがって18年度分の不良債務に対する市の負担分は今議会には計上していない。市選出の病院議会議員に諮りたい。
赤字補てんをこれからも続けるとした場合、市として財政負担するための対応強化を即急に講ずべきと思うが
【答弁】
病床稼働率も60%と低く、職員の意識改革を含めた抜本的な改善策を打ち出さないと好転は見込めない状況。まずは患者数を増やすことや病棟再編が必要。最も大切なのは、改革しようという職員の意識。現場に指示したい。
平成21年秋の病院新体制に向けた事前作業として、北秋中央病院、公立米内沢病院との人事交流を今から始めるべきと思うが
【答弁】
21年の新病院開院後は米内沢病院からの職員派遣を予定しているので、その前倒し措置として人事交流は有効であると考えられる。 ただ、現在中央病院ではコンピュータによるシステムを導入しているため、慣れるだけでも3ヶ月ほどかかるようだ。派遣された職員がすぐに馴染めるかの心配もあるので、厚生連とも十分協議の上検討してまいりたい。
2.秋田内陸縦貫鉄道の運営継続について
安全運行に重大な危険を承知で運行を続ける事は絶対に避けるべきと思うが、安全運行の判断基準についてどのように考えておられるのか
【答弁】
安全運行は鉄道事業者の使命。会社では、地方鉄道安全性評価事業を平成18年度に実施し、全線のレール、橋梁、枕木など鉄道設備を調査した。19年度からは評価基準に基づき緊急度の高いものから順次安全対策工事を実施することにしている。また、人為的事故防止対策として定期的に研修会などを開催し社員教育の徹底に努めている。
運行継続には阿仁部乗車に向けた切実な熱意が一番と考える。年間乗車10万人運動など実質経営改善策など目に見える運動こそが一般市民や県民の心を動かすものと思うが
【答弁】
昨年は乗車促進対策として北秋田市の全事業所を回り利活用のお願いをしたほか、医療相談列車、仙北市との協賛によるグラウンドゴルフ大会の開催などの新企画、紅葉シーズンにわせたイベントを開催したが、すぐに目に見えるような形で数字が上向く状況ではない。今後も、内陸線存続に向けてさらなる乗車運動を展開してまいりたい。
また、高齢者は駅までの足や下りてからの足がないのが利用しない理由の一つ。それを解消するため新たな車両として、道路と線路を相互に乗り入れできるDMV(デュアル・モード・ビークル)が一部で研究されている。内陸線に導入可能かどうか、近く、北海道の研究機関に赴き、実際に見てきたい。
県知事は、この1年間の成果で補填存続の判断を下すとのことだが、バス路線並みの赤字負担であれば補填継続は可能とのこと。現在年間3億の赤字を半分に減らせるよう目標値を定め、市民の協力を得て取り組みを進めたい。
阿仁部住民にとって、観光と内陸線が今後の存亡を左右するとしたら、四季折々のイベントや特産品開発により、角館からの内陸線利用客を誘客が最重要課題と思うが
【答弁】
会社とJR東日本では、7月1日から9月30日までの期間利用できる「秋田・内陸線回遊パス」を新たな企画商品として発売した。内陸線全線と鷹ノ巣駅から田沢湖駅間のJR線を格安料金(大人2,000円、こども1,000円 2日間有効)で利用できるもの。また夏期限定の企画※や地域食材を生かした企画「うめーもん列車」の運行も検討しており、生き残りをかけた利用拡大策に全力で取り組んでまいりたい。
※農協倉庫で劇団わらび座の指導による「おばけ屋敷」を開催するもの
3.指定管理者制度について
今後益々制度の導入が増加すると思うが、北秋田市独自の基準を作る必要があると思うが
【答弁】
基本的な事項については、条例・規則に定めている。平成17年9月、市の指定管理者制度の基本方針を策定したが、これは導入にあたっての基本的な考え方と事務処理などをまとめたもの。制度導入後、試行錯誤しながら効果的運用を模索している状況。他市町村の事例等を参考にしながら必要に応じ見直しを図ってまいりたい。
公設民営である以上、一般公募による契約には、基本的に減価償却残がある場合受託者の負担とすべきと思うが
【答弁】
減価償却費等相当分を含め納付していただくのが原則。
一般公募による契約においては、基本的には複数による競争原理に基づいた選択という公明な制度に基づくべきと思うが
【答弁】
必ずしも複数の団体が応募するとは限らない。公募団体が1団体(少数)であったとしても、指定管理者選定委員会で内容を精査し、適否を判断した上で決定する。
4.予算配分にはアメとムチを使い分ける対応について
赤字補てんのような無駄な歳出については、徹底した調査追求をし最小限に止め、市民に夢を与え活性化に繋がる予算には前年対比において上乗せをも考えるべきと思うが
【答弁】
単なる赤字を埋めるような事業は続けられない。継続性のある事業にのみ予算を使うのが原則。
合併以前の各々における遊休施設を整理し、北秋田市として今後必要性の高い施設には英断を持って望むべきと思うが
【答弁】
4町合併により、類似施設や活用頻度の低い施設もあり、維持補修費の増大にもつながっている。指定管理者制度活用などにより、経常経費の節減を図るとともに、市民からの要望が高い施設については、利用を高める工夫をしてまいりたい。
将来展望の見える予算には積極的に対応し、経費削減の進まない部門には徹底した厳しい対応で望むべき
【答弁】
市の基本構想に基づいて各事業を総合的に推進しているが、引き続き厳しい財政事情が予想される。施設についても、既存のものをなくす場合、当然抵抗もあると思うが、厳しく対応したい。
議板垣 淳 議員
(順位2-4)
1.財政について
大型公共事業よりも、もっと市民生活を重視した予算配分に切替えるべき
【答弁】
平成19年度の当初予算は前年度比4億1千百万円の減(2.0%)となった。歳入は基金の取り崩してまかなっている状況。歳出ではすべての科目で減額となっているが、増加したものは、国体関連の補助費が2億7千7百万増(18.6%) 、下水道特別会計、簡易水道特別会計の繰出金が1億5千8百万など生活関連の事業にも相当額をかけている。
内訳では、土木費が4億9千万の増(25%)となっている。これは、道路新設改良費の増加が要因。これまでの継続事業のほか、県でも実施している太田川口線工事関連や、大野台アクセス道路の工事などが新たに加わったものだが、いずれも最も経済効果の高い計画で市民の生活に直結する道路を整備しようとするもの。
新規事業については、起債も償還額を超えない範囲で進める計画。公共事業だけでなく、市民生活に関わる福祉や健康、誰もが安心して暮らせる環境づくりなど、厳しい財政事情の中にあってもあらゆる制度を活用したまちづくりを進めてまいりたい。
現状のままでは、さらに財政難に陥ってしまうのではないか
【答弁】
地方財政は今後も厳しい状況が続くと認識している。引き続き有利な制度を活用しながら、事務事業の見直し、組織機構改革の推進、民間委託の推進、集中改革プランの実行など、今後の行政改革と財政の健全化を推進し当面する諸課題に取り組んでまいりたい。
2.医療整備基本構想について
これまで指摘してきた疑問点(建設費、運営費、医師確保、慢性患者対策、北秋中央病院跡地などについての現状と到達
【答弁】
政策的医療にかかる機器の導入が決定しているのものは現在「FUS(集束超音波治療)」のみ。維持・保守に係る経費は2千万程度とみている。
基本設計費や測量費は、病院建設を判断するための費用であり、建設費88億7千万の中には含まれていない。
病院の医師確保について厚生連では「努力する」としたもので「確約」ではないが、県の関係者立会いの下で得た返事であり、信頼している。
精神科は政策的医療。病院全体として運営するわけではない。黒字になればそれは市に入る分。
病床数が当初より減ったのに建設費は6億5千万円増えたが、これは、当初4階建てだったのを地下(設計上)を設け、また地震に対応できる免震構造や採光システムの採用、ゆったりとした病室設計となった分、建設費が増額となったもの。しかし、88億7千万の総額は変わっていない。
外来センターは、新病院発足後、中央病院跡地か現在の旧秋北バス営業所跡を考えているが、都市計画にもとづき、地域の皆さんとも話し合いながら進めたい。
慢性疾患の患者等長期の入院患者に対しては、米内沢病院に65床の入院病床と90床の老人保健施設整備を計画しておりそこでの対応を考えている。
病院建設は市民の健康を守り、維持するための事業。現状では患者が市の外に流出していることなどを考えると、経済効果も大きい。むしろ市民生活に直結した「身の丈」にあった施設だと考えている。
意見聴取会などを開催して、もっと住民の意見を聴くべきではないか
【答弁】
基本構想完成後、4町単位で説明会を開催した。500人ほどの出席者だった。説明会での意見を参考に、その後の計画に反映させ建設に向けて取り組んでいる。 これからも機会を見て開催したい。