2007年01月19日
コンテンツ番号2723
「情熱は可能性を生み出す」
(2007.1.19)
世界第2の高峰「K2(カラコルム山脈、標高8,611m)」の日本人初の女性登頂者となった秋田県出身の登山家小松由佳さん(東京都、24歳)の講演会「K2の空をめざして」(主催:北都鷹巣会)が19日夜、市文化会館で開催され、市民ら約400人が、人生をかけて危険な登山にチャレンジした小松さんの話に聴き入りました。
小松さんは1982年秋田市生まれ。秋田北高校入学と同時に山岳部に入部。1999年熊本国体、2000年岐阜インターハイに出場するなど競技登山に打ち込みましたが、「決められたルートを急ぐだけの山」に満足できず、進学した東海大学では、初の山岳部主将も務め、雄大な自然と格闘する本格登山を志しました。 東海大学山岳部では初の女性主将を務め、カラコンロン山群主峰(パミール・6355m)への初登頂など実績を積みます。大学卒業後は、スポーツ用品店に勤める傍ら、エベレスト(ネパール・8844m)など、世界有数の高峰にアタックしています。
K2に臨んだ「東海大学K2登山隊」は同大山岳部の創立50周年を記念し、6名の隊員を含めた計15名で結成。6月上旬に成田を出発、パキスタンの首都イスラマバードから同月22日にK2のベースキャンプ入りし、ルートづくりなどを経て8月1日、隊としてとりわけ難しい南南東リブ(支稜)ルートから8,611メートルの頂を征服しました。女性としては世界で8人目。
この快挙から、小松さんは昨年10月秋田県民栄誉賞を受賞しています。また、東海大学K2登山隊は、スポーツ界において優れた成果、業績をあげた団体、個人に贈られる 2006年度朝日スポーツ賞の受賞が決まり、荒川静香、王貞治監督、サッカーの中田英寿選手らとともに1月22日の贈呈式に臨むことになっています。
パキスタン北部に位置するK2は、標高こそ世界第2位ですが、平均斜度が45度を超えるなど険しい地形のため世界で最も困難な山と言われています。昨年は7隊が挑戦しましたが登頂したのは東海大隊とイタリア隊の4人だけ。小松さんは、登頂を目指すアタック隊のメンバーに選ばれ、「世界最年少登頂」となった後輩の青木達哉さん(22)とともにこの頂きに立ちました。
会場を埋め尽くした聴衆
講演では、ほぼ2ヵ月にわたったK2登山のようすをスライドを使いながら紹介、「多くのクライマーが挑戦し、2割以上の人が生きて戻れない」困難な山を、2人のアタック隊が挑み、極寒の斜面でのビバーク(露営)などをしながら下山、快挙を成し遂げたドキュメントに、聴衆も息を呑みながら聴き入っていました。