2007年01月20日
コンテンツ番号2722
世界遺産の登録に備え、さらに学習・PRを
(2007.1.20)
昨年暮れ、大湯環状列石とともに世界遺産暫定リストへの登録申請を行った国指定史跡・伊勢堂岱遺跡。この伊勢堂岱遺跡について自由に語り合う「伊勢堂岱遺跡を語る会」が20日、市中央公民館で開かれ、遺跡の謎や、これからのボランティア活動などについて意見を交換しました。
伊勢堂岱遺跡は秋田内陸線小ヶ田駅付近の台地に位置する、縄文時代後期前半(今から約4000年前)の遺跡。平成7年、大館能代空港のアクセス道路建設に先立つ発掘調査で発見されました。環状列石や配石遺構、掘立柱建物跡、土壙墓、捨て場など、多くの祭り・祈りの施設が見つかり、大規模な祭祀場の跡ではないかと言われています。遺存状態がよく学術的価値が高いことから、平成13年1月、伊勢堂岱遺跡は国の史跡に指定されました。
旧鷹巣町では平成9年、住民と行政による「文化遺跡ワーキンググループ」を組織し、遺跡のガイドや「縄文まつり」などのイベントを行うなど、遺跡の保存と活用に向けた活動を行ってきました。その後、「伊勢堂岱遺跡ワーキンググループ(佐藤喜美男代表)」と名称を変更し、遺跡を閉鎖する冬期には遺跡について学ぶ集いを開催しています。

小ヶ田駅を「伊勢堂岱遺跡」に名称変更できないか、との意見も
今回の語る会にはワーキンググループのメンバーほか、地域住民合わせ約50人が出席。はじめに佐藤代表が住民参加型の組織としてスタートしたワーキンググループの経緯を説明しながら「遺跡をより深く理解し、今後の活動につなげること、また世界遺産登録に向けて動き出したこの遺跡のすごさを実感していただくことが語る会を開催したねらい。遺跡についての疑問や意見を忌憚(たん)なく述べてほしい」などとあいさつ。
続いて、市教育委員会の榎本剛治主任学芸員が、発見からこれまでの調査成果など遺跡の概要と世界の4大文明などと比較しながら遺跡を作った縄文人が世界でもまれな「平和な」縄文文化の世界観などを説明したあと、自由討議に入りました。
討議では、「環状列石をみて縄文人に聞けるとしたら何を問いたいですか」「縄文人の姿を想像する」など4つの項目を軸に意見を交換し合いました。
出席者からは、「わざわざ遠い小猿部川から重い石を運んでサークルを作っているが、全員が理解していたのか不思議」「遺跡の北側に見える白神山地や田代岳を、当時の人たちは名前をつけて呼んでいたものだろうか」「広い場所に4つのサークル。なぜデザインが異なるのか。またそれぞれが造られた年代はいつなのか」「縄文土器になんらかの文字(記号)を残してほしかった」「マツリの場だとすれば酒も飲んだろう。しかし当時は米がない。なんで酒をつくったのか」「小牧野式といわれる石組みは小牧野遺跡の影響を受けたものか。また大湯環状列石との関係は」などと、縄文人に尋ねてみたい質問が出されていました。
また、遺跡PRのための方法として秋田内陸線小ヶ田駅を「伊勢堂岱駅」として名称を変更できないか、また特に小中学生に理解してもらうことが必要、との意見も出され、世界遺産登録までは道のりがながいものの、観光面での効果も大きいことなどから、今後も市民一丸となった取り組みが必要であることなどについて認識を深めました。
なお、世界遺産(文化遺産)の候補としてユネスコ(国連教育科学文化機関)の暫定リストに新たに掲載される国内遺産は、23日(火)の文化審議会文化財分科会で決定される予定です。