2008年12月02日
コンテンツ番号2704
「幸せ」の本当の意味を知って
(2008.12.2)
北秋田市の心配ごと相談事業への理解を深めることを目的とした市民公開講座が12月2日(火)、市交流センターで開かれ、相談員や民生児童委員、地域住民ら約150人が自殺予防をテーマとした講話に耳を傾けました。
北秋田市では、各地域ごとに相談員を配置し、住民の方々が少しでも安心して暮らせるよう、身近な心配ごとや悩みごとの相談に応じています。この事業は、平成17年から市が社会福祉協議会(高坂〓治会長)に事業を委託する形で行っているもので、これまでは、旧4町の体制を引き継ぐ形で実施してきました。(〓は示へんに右)
しかし、開催回数や時間等が地域によって異なっていたたことから、今年度からは全住民に等しい対応となるよう内容を市全体で一本化し実施することにしました。相談事業への理解と周知を図るため、相談員や民生児童委員に参加を呼びかけ講演会を開催したものです。(相談内容については下記に記載)
講演に先立ち、市社会福祉協議会の高坂会長が、「福祉は、公助、共助、自助の三つが支え合ってうまく機能する。財政事情などから、福祉でも自助が求められているが、大切なのは共助。社協はこの部分をプロデュースするのが役目。新しい時代に則した助け合いのシステムを住民とともに作っていきたい」などと事業の趣旨などを説明しました。
岸部市長のあいさつの後、藤里町・曹洞宗月宗寺住職の袴田俊英(しゅんえい)さんが、「幸せについて」と題し講演しました。
袴田さんは、昭和33年能代市生まれ。駒澤大学仏教学部を卒業後、永平寺での修業を経て出家、得度。札幌市大覚寺、能代市長慶寺勤務ののち現職。この間、秋田県や藤里町で自殺者の多い現状に対応しようと平成4年には「心といのちを考える会」を結成、自殺予防について取り組みをスタートさせました。その後も、町の人が気軽に集まって話ができるコーヒーサロン「よってたもれ」を開設するなど、積極的な活動を続けられています。
講演でははじめに、人気を集めたテレビ番組『おしん』」の生き方や時代を引き合いに、「ドラマのおしんやその時代の人々にとって、貧しさから抜け出、豊かになることはお金を得ることが最短の手段だった。しかし、現代では、豊かになることが必ずしも幸せではなくなっている」と、豊かさの意味が時代とともに変わってしまったことに言及。
自身の子ども時代を思い起こしながら、「それが大きく変わったのは昭和40年代。貧しい農家の暮らしを変えようと、農業の機械化や住宅の建て替えなど生活の近代化が国の政策によって進んだ。その結果、水の管理など労働力を提供し合う『結(ゆい)』や、家族が一つの部屋に寄り添って暮らす生活様式が失われて行った。家族や地域が互いに言葉を交わし、支え合う機会が少なくなってしまった」と、振り返ります。
また、「『心といのちを考える会』の活動だけでは自殺者の数は減らなかった。『よってたもれ』は、かつて民家の縁側に人が集まり世間話をしていた『がっこ茶』をヒントに始めたもの。さらにその後、公共施設などを会場に飲みながら話を聴く場所も設けた。集まった人たちは、家で聴いてもらえない話でもここでは延々と話すが、そのことで気持ちを発散させている」と、活動を紹介。
最後に、「貧しい、苦しい、悲しいといった気持ちは悪いことばかりではない。お腹がいっぱいになると食べ物の本当の美味しさを感じないように、豊かさに満たされているだけでは幸せを感じない。苦しいこと、不快なことにも意味がある」と述べ、困りごと、心配ごとは人に相談し、共同作業で解決するよう努力することで生きることの意味が出てくる、と語りかけていました。
心配ごと相談所の開催について
開催日時
毎週月曜日〜金曜日の午前10時から午後3時まで(祝日、お盆・年末年始期間を除く)。なお、土日しか相談できないという事情のある方は相談日時を予約してください。
各地域の担当曜日
月曜・金曜=鷹巣地域/火曜=森吉地域/水曜=阿仁地域/木曜=合川地域
対応方法
- 電話の場合は、62−6868(4地域とも同じ)へおかけください。
- 面談の場合は上記に電話し、相談希望場所等を確認の上予約してください。
弁護士による無料法律相談
2カ月に一度定期開催します。今年度は実施分を含め5回開催予定です。開催日時等はお問い合わせください。