2008年12月20日
コンテンツ番号2683
北秋田市の森林を代替エネルギーに
(2008.12.20)
ガソリン代替燃料として注目されているエネルギー・木質バイオエタノールの製造実証プラントを北秋田市に建設することを記念する講演会が12月20日(土)、北秋田市文化会館で開かれ、市内外から訪れた聴衆が講演で森林資源を活用したニュービジネスについて関心を高めました。
主催は独立行政法人森林総合研究所。同研究所では、林野庁による平成20年度森林資源活用型ニュービジネス創造対策事業「木質バイオエタノール製造システム構築の実証事業」を行うため、本市坊沢地内のクリーンリサイクルセンター敷地内に実証プラントを設置し、5年間にわたり、技術実証や施設改良を行うことになっています。
プラントでは、全国に普及可能な基本となる製造システムを構築することを視野に、年間125リットルの規模で生産を行い、5年後には木質バイオマス1トン当たりバイオエタノール250リットルの収率と、100円/リットルの生産コストを目指したいとしています。
講演会には、研究所員及び市、県など行政関係者、林業関係者、消費者団体など約400人が参加。 はじめに同研究所の鈴木和夫理事長があいさつに立ち、研究所の事業概要を説明した上で、「国では、長期国家戦略の目標としてイノベーション(技術革新)を掲げている。イノベーションとは、言い換えれば社会が豊かになること。北秋田市でのバイオエタノールの実証実験も産業面での大きな政策の一つ。5年間見守ってほしい」と、理解と支援を求めました。
また、岸部市長は、「たくさんの候補地の中から北秋田市を建設地に選んでいただいたのはありがたいこと。世界で始めての方法でバイオ燃料が製造されるが、今後4年間でどのようにコストに見合うよう量産できるかが課題となっているようだ。プラントは森林の保護、産業育成にもつながる。皆さんからも意見を述べてほしい」などと、期待を寄せました。
講演では、林野庁森林整備部の高濱美樹研究企画官が、同事業の概要について、森林総合研究所の山本幸一研究コーディネーターが、木質バイオエタノール製造技術について説明しましたほか、森林総合研究所の研究紹介や、北秋田市のバイオマスタウン構想について紹介が行われました。
このうち山本研究員は、「日本で使われているエネルギーの総量は石油換算で6億キロリットルといわれ、その多くを石油や石炭、ガスなどの化石資源に依存している。日本の年間木材生長量は0.8億立米だが、毎年すべて伐採しエネルギー変換すると仮定しても、6億キロリットルのせいぜい2%しか賄えない。しかし、秋田県の森林成長率は全国で北海道に次いで第2位であり、地域の重要な資源となる」などと、秋田県で事業を展開することの意義を強調していました。
※参考→北秋田市バイオマスタウン構想